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「スタートアップ躍進ビジョン」から読み取る今後のスタートアップ支援

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概要

経団連から「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」を読んだ内容の総括と感想になります。(76ページもあるので、さらっと読みたい方向けでもあります)

結論ファーストということで。。。感想。

  • 要改善点は、非常に多いです。。。

  • 但し、「スタートアップを取り巻く環境」について、経団連が問題点を纏め、改善していく姿勢を表したことそれ自体が、スタートアップ企業への大きな後押しを感じました

  • 旧来の官公庁的な対応に対する危機感を、当局も持っているのでは?

    • デジタル庁としてセキュリティ対策を進めたいという意向は強いと想定されている一方、理想として求めたい水準と現実的に対応可能な水準のすり合わせをしたい、という意図が見て取れております

    • 「理想」と「現実」のすり合わせが多岐に渡れば、更にスタートアップにとっては本質的に事業を伸ばす方向に注力できる環境が整っていくことに期待できると考えています

注目した記載①: 制度変更

SO(stock option)については、日本だと「退職したらはく奪される」というのが多い一方、海外は退職してもSOは権利として残ることが一般的です。

現状は、スタートアップ業界への参入障壁として、どの程度SOや株に関する制度設計・常識の遅れが影響あるかというと、かなり限定的な気がしております。ただ、何故限定的なのか、というのを考えると、「SOがはく奪されてもされなくても変わらないから」ではなく、単純に「SOに対する理解不足」があるのではと考えております。

「スタートアップ企業に行くと、Stock Optionで夢を描けるかも」という認識が正確に伝わることがスタートアップ業界の人材確保には大事であり、この認識が広まっていけばいくほど「制度変更」の影響は大きくなると考えています。
そういう意味では、早期金融教育も大事ですし、大学機関との連携の中で高度教育において実務的な金融知識をつけていくことへのフォーカスも高まるのではないかと考えております。

注目した記載②: 公共調達の拡大

私自身もスタートアップ業界に来て、更に今の相場になって強く思うことではあります。
売上が順調に伸び続ける、という会社は少数派だと考えています。スタートアップ業界が何かしらの壁にぶつかったときに、公共性のある資金の出し手が調達困難な環境においてもサポートすることは、将来性のあるスタートアップを救うには大事だと強く思います。

注目した記載③: 制度改善

デジタル庁としてセキュリティ対策を推進している中で導入されているISMAPが名指しでスタートアップ業界におけるハードルとして名指しされたことに驚きました。
確かに、日本は諸外国と比較するとコスト(金銭・人的双方)の高い対策が求められることが多く、ISMAPも無数のスタートアップのハードルになっていることは想定がされる中で、スタートアップ目線に立って現実的な制度導入をしよう、という発想はスタートアップ業界にいる人間としては明るい未来を感じることが出来る内容だなという印象です。

注目した記載④: GPIFによるベンチャー投資促進

単純にGPIFの母体を考えると、GPIFによる投資が本格化する際は、スタートアップ業界への猛烈な追い風に間違いなくなると確信しています。

とある巨大投資家はクレジット投資(金利系商品において、信用力の高い国債などにマクロの観点から投資する金利投資ではなく、企業の信用力を見てミクロの観点から投資するようなものをクレジット投資といいます)だけで、月5,000億~10,000億円の投資ポケット(=消化目標金額)があります。

GPIFがオルタナティブ投資やスタートアップ投資に今後どれくらいの金額を配分するのかはまだ確定しておりませんが、10億とか20億みたいな水準だとGPIFにとっても意味がない規模だと思います。(個人的には月100~500億円程度はあるのでは。。。と推測しています。。。)

纏め

スタートアップ業界成長・支援・投資に関するハードルは引き続き高い状況ではありますが、当局のサポートしたいという意思を非常に感じる内容だと私は感じました。
スタートアップ業界に既に参入している投資家、経営者、メンバーがスタートアップ業界の魅力を更に発信して、当局側の働き掛けだけではなく、実際に関係しているメンバーも盛り上げていくような活動をしていくのが大事だと感じて、励みになりました。是非みんなで業界を盛り上げていきましょう!

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