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SeriesA6.5億円資金調達に関する振り返り(主に、自戒を込めて)

自己紹介リンク (@Yshimogawara)

初めに:SeriesA資金調達概要

2022年11月1日に発表させていただきました通り、株式会社EventHubは同日付でジャフコグループ株式会社及び株式会社ユーザベースより、合計6.5億円の資金調達を実施しました。累計調達金額は、これにて10億円を突破しております。今回の調達に関しては、弊社代表の山本よりNoteが出ておりますので、そちらもご参照ください。

また、ユーザべース様とEventHub上にて、今回の調達を受けたイベント「B2Bイベントマーケティングの未来を考える - EventHubとユーザベースの目指す共創 -」を開催予定です。こちらも、もしご興味をもっていただけるようであれば、参加いただけると大変うれしいです。

記事の目的

この記事の目的を書く前に、僭越ですが自分のバックグラウンドについて改めて触れさせていただきます。

2011年にUBS証券の債券部門に入社した後、2013年よりゴールドマン・サックス証券の債券部門にて勤務し、2015年より同社の投資銀行部門にて2020年6月まで勤務しておりました。マーケット部門・プライベート部門両方での勤務経験があること、金融機関での勤務経験が丸9年あるという自信(≒驕り)を持って、初のスタートアップ業界・事業会社への転職として、2022年6月より株式会社EventHubにて勤務をしております。

なぜ自分のバックグラウンドについて再度触れたのかというと(冒頭にリンクも入れているのに。。。)、こちらの記事は事業会社側の立場として、大型の株式資金調達を初めて行ったことから学んだ、自分なりの反省点や学びを自戒を込めて時系列順に綴りたいからです。

今回の資金調達は、ジャフコ様・ユーザベース様は勿論、公私にわたり大変色々な方のご支援・アドバイスを基に達成しております。今回調達における「いい話」は山本が上記のnoteでしているので、自分のnoteでは「この点は更にうまくできた」という「自戒の話」を振り返ります。

スタートアップには大変優秀な人材が集まってきており、個人的な知り合いでもスタートアップ業界に来る方が増えてます。特に、自分と似たようなバックグラウンド(金融→スタートアップ)というステップを歩まれる方に参考になれば嬉しいのと、何より自分が同じ間違いを繰り返さないようにという自戒を込めての記事になります。

SeriesA調達の過程

まず、今回弊社が調達に至るまでに経た過程を振り返りたいと思います

  • 2021年

    • 株式調達を複数回検討。結果的に調達は都度延期

  • 2022年初頭

    • 市場環境の変化を受けて、ランウェイ確保のために融資での調達を検討開始。一部融資着金

  • 2022年5月下旬

    • 市場環境の更なる変化を受けて、cash in / cash out の両輪でのランウェイ確保を早急に実施

    • cash out の方が即効性が高いため、コスト削減を優先的に対応しつつ、仕掛途中だった融資調達+株式調達を同時並行で進める

  • 2022年7月~

    • 「融資の追加着金」+「コスト削減によるランウェイ確保」を受けて、株式調達への一本集中を開始

  • 2022年11月1日
     ジャフコグループ様及びユーザベース様を投資家としたSeriesA着金

2021年末までの振り返り

反省ポイントは3つあります。

  1. マーケットがその後大幅に下降トレンドに入った結果、調達環境が悪化したこと

  2. 金融機関勤務としての仕事へのかかわり方と、スタートアップ財務担当としての仕事へのかかわり方が違うことを正確に認識していなかったこと

  3. 「自分は何も知らない」というメンタリティを持っていなかったこと

1. 調達環境悪化

会社としては調達を延期した結果、厳しい調達環境での準備となってしまったことを、まず振り返ります。

引き締め環境について警戒するアナリストは2021年下旬多かったのは事実です。一方で、自分の経験上、過去10年以上「来年はリセッションだ!」と語っている投資家やアナリストは必ずいましたし、その後も上昇トレンドが継続するという状況が続いており、2022年以降も結果的に上昇トレンドが続く可能性はあると考えていました。また、マーケットサイクルの決定的なトリガーはウクライナ・ロシア間の戦争激化と、それに伴うコモディティ流通量の制限+価格高騰+インフレではあったので、「結果論」と考えることもできます。ただ、昨年秋に調達を完了している企業も一定いる以上、その点は要反省だと考えております。

今回は従前より密にご相談させていただいていたジャフコ様、当初より顧客としてサービスを活用いただいて同じ未来を想像して歩んでいけるユーザベース様に投資家として入っていただいたので、その点を踏まえると今回の調達は大成功と自信をもって言えます。
「マーケットは結果論かも」+「今回の調達は結果的に大成功」を考え、「かもしれない」にしています。

自戒: マーケットをシビアに見る。ワーストケースを想定した際に、今調達が必要かどうかを常に考えておく。

2. 働き方の違い

今回の調達プロセス+投資家様とのコミュニケーションを受けて、最も反省している点です。

過去の勤務経験上、非常に大事なポリシーとして徹底的に刷り込まれていたのは、「パーフェクトなものを作ること」でした。

  • ドラフト段階でも資料をある程度完璧に作って展開する

  • 社内確認の際でも、ミスなどの指摘を受けないような資料を作る

  • 外部に見せる資料は、当然ミスや指摘事項のない完璧な資料を作る(=指摘を受けることは悪

同じような業務方針で、2022年春先までの社内外コミュニケーションを行っておりました。結果的に「資料がまだ完璧に準備できていないから送れない」や「投資家へのコミュニケーションに遅滞が発生する」という影響が発生したと猛省(反省ではなく猛省)しています。

今回体験として学んだのは、スタートアップに求められるのは「自分たちでパーフェクトな資料を作って見せること」ではなく、「未来を一緒に見ていただけるであろう外部関係者と一緒に作りあげていくこと」でした。

完璧な資料を作ることを美徳とされている業界から来る方は、このギャップに悩む(既に悩んでいる)方が多いかもしれません。少なくとも自分は、「ギャップを認識すること」「認識した上で乗り超えること」で、「外部の方と資料・方向性を作り上げていく」という思考回路にたどり着くのに苦労しました。(勿論あまりにも内容がない資料を作るのはそれはそれで問題ですが。。。)

当時、コミュニケーション取らせていただいた外部の方がこのnoteを読まれているかは分からないですが、もし読まれていらっしゃるならば、この場を借りて改めてお詫び申しあげます。

自戒: 「完璧さ」が常に求められるわけではない。スピードも大事。外部の方に、目指す方向へのアドバイスを求めよう。

3. 「自分は何も知らない」

これも、大きな反省点です。

金融機関で短くないキャリアを築いていた自分にとっては、「こういう時は、これが原因」「こういう時は、こうした方がいい」などの固定概念がありましたし、振り返ると「金融に詳しい自分」という驕りがあったように感じます。

「事業会社の財務担当としての経験がない自分」を直視していれば、「自分は何も知らないから、教えてもらおう」「経験上はXだが、本当にXなのか確認しよう」という発想を持てますが、無駄な驕り・プライドがそれを邪魔していたと感じています。

勿論、自分のキャリア・経験に基づいて自信を持つ部分まで捨てるつもりはありませんが、「事業会社の財務担当としては、駆け出しの初心者なんだ」という点を改めて認識して、諸先輩方・外部の方にアドバイスを引き続き求めていく姿勢を持ちたいと思っています。

自戒: 「自分は(この世界では)何者でもない」を認識し、「初心を忘れない」こと。

2022年初頭の振り返り

年が明けてランウェイ確保に動き出しましたが、ここでも反省するべき点がありました。ワーストケースを見据えた上でのバーン調整を行っておくべきだったことです。

4. ワーストケースを見据えたバーン調整

世の中のスタートアップに、バーンに関する懸念は2022年初頭から徐々に広がっていましたが、これが衝撃的に伝わったのが2022年5月にSequoia が投資家に送った「冬の時代に備えよ」メッセージだと理解しています。

弊社のランウェイ確保は、このメッセージが伝わる前には既に取り組みが進んでましたが、もっと早く社内外の状況を見据えてコントロールを始めていれば、業務委託や外部アドバイザーの方々に唐突にコスト調整に伴う打診をしなくてよかったと反省しています。

今まで一緒に歩んできたメンバーに対して、困難な連絡を結果的にせざるをえなかったことは深謝してもしきれません。大企業のサラリーマンと違い、自分のアクションが場合によっては大勢の方に影響を与えてしまう、という点について、情けなさを持って実感いたしました。

自戒: 常にワーストケースを頭に入れ、打てる備えは前もって準備しておくこと。自分の決断が、時には色々な人に影響を与える可能性を認識すること

2022年5月末の振り返り

ランウェイ確保のため、cash in / out の両軸を検討しましたが、特にcash out の調整が即効性が高いため優先しました。ただ、キャッシュアウトのみを見ると、どれくらいバーンが減るか・ランウェイが延びるかという観点に目が向きがちだが、「本業によるキャッシュインをどれだけバランスしていくか」という観点から考えるマインドセットを忘れないことが大事というのが学びでした。

5. ポジティブマインドセットを常に持つ

バーン削減」のマインドセットになった場合、「どのコストを最大で、いくら削減できるのか」から検討を始めるため、どうしてもネガティブな思考回路に陥りがちだと感じました。コスト削減は大事ですが、(あたりまえですが)それ以上に本業のcash in をより一段と伸ばす・改善することが大事です。ポジティブな思考をベースに「ここは本当に削減するべきなのか」を考えることも大事だと感じました。

自戒: コスト管理を徹底的にルーティンとして行うこと。万が一、コストカットを大胆にする際にも、トップライン・利益を伸ばせるという自信をもって見直すこと

それ以降

割愛するわけではないのですが、これ以降については振り返りは特にありません。細かい振り返りはありますが、上記5点の振り返りと比較すると、些細な点だなと思っています。

纏め

纏めると自戒は5点です。

  1. マーケットを常にシビアに見よう

  2. 自分だけで完璧なものを作ろうとせず、外部の方にアドバイスを求めよう

  3. 無駄な驕りを捨てて、初心者の自分を認め、初心を忘れないようにしよう

  4. ワーストケースを常に想定しよう

  5. コスト管理は徹底的に行おう。但し、コスト削減の際にも、ポジティブなマインドセットは忘れないようにしよう

こう考えると、同じような経験を歩まれる方には全く参考にならない話で、自分が単純に個人として至らなかった、みたいな話かもしれませんが、同じような経験をされている方がもしいれば、ご参考になれば幸いです。

最後に。。。スタートアップ業界に優秀な方が沢山来てほしいという話

EventHubメンバー募集

会社を加速させるため、一緒に働いていただけるメンバーを募集しています!詳細は下記のリンクにありますので、少しでも気になった方は見ていただけると嬉しいです!

スタートアップ業界を盛り上げていきたい

EventHubで一緒に働きたいと思ってもらえるのが一番ありがたいです!!

ただ、優秀な方がスタートアップ業界に増えて、イノベーションを生む力が強くなっていくことも同じくらい大事だと思っています。EventHubでご一緒いただけなくても、優秀でやる気に満ちた方がスタートアップ業界に来てくれると嬉しいですし、その際に困った時にこの記事が参考になれば幸いです。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
暫く時間が空いておりましたが、今後note更新については徐々に再開をしていく予定ですので、何卒よろしくお願いします!


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