朗読 日本婦道記『横笛』 山本周五郎作 AudiobookChannel 2020年9月26日 23:32 幕末、坂下門外の変の当事者であった大橋訥庵とその妻(大橋巻子)の物語。訥庵(順蔵)さんは、作中の通り儒学者で、輪王寺宮や坂下門外の変に関係しているわけですが、端で見ていたわけではなく、実際には首謀者です。ではなぜ、山本周五郎の短編では、血気をいさめる役回りになったかというと、巻子夫人の書き残した「夢路の日記」が影響していると思われます。-------------------------ちなみに、坂下門外の変には、巻子さんの弟の教中も関わっており、訥庵と共に投獄され、二人は作中の通り、出獄されるのですが、直後には両者ともに病のため死去されています。伝馬町の牢獄は過酷だったそうですから、すっかり体がよわってしまったんですかね。-------------------------タイトルは日記となっておりますが、内容は弟と夫が捕らえられ(息子も捕縛されてます)、帰らぬ人となるまでを和歌を随所にまとめた歌物語として構成されており、婦人の孤独と悲嘆をつづっております。訥庵の死の直後に書かれたと言うこともあってか、事件は冤罪という立場を取っており、志士としての過激な活動は描写されておらず、獄中の二人を救おうと佐野屋の豊富な資金を利用して、さまざまな働きかけをしているのですが、「夢路の日記」にはそのような描写はありません。そのため「横笛」でも、奥さんも吟味うけたけど、うまく切り抜けたよー、的な描写にとどまっています。とまれ、「夢路の日記」は写本の形で志士の間に流通するようになり、巻子さんの基にも、夢路の日記をもとめて、長州、肥後などの勤王家が訪れています。大橋訥庵さんが、勤王の志士として名を残したのは、婦人の功績が大きかったんですね。 #小説 #youtube #朗読 #山本周五郎 #日本婦道記 出版社「丸竹書房」を運営しています。 サポート