試行錯誤

｢生きること｣って難しい。
生きているだけでお金が発生するんだ。
税金、年金、保険…

何度も死にたいと思った。
病気で働くこともままならない。
でも生きるためにお金を払わなければいけない。


なんだよ、
苦しむ為にわざわざ
人生に金払ってまで、もう生きたくねえよ。


何度も思った。

でもね。
本当は自分が｢普通｣だったら生きたいんだよ。
なんだかんだ生きていたいの。

だって、どんなに小さいことでも

やりたいことだってある。
行きたい場所だってある。
達成したい目標もある。
経験したいことだって、

沢山あるんだ。

｢今を生きる｣ことは本当にしんどい。
何の為に生きているのかも本当にわからない。
生きる絶対的な理由があるわけじゃない。

過去を振り返れば、
今まで自分は他人の為に生きてきた。

男女関係なく、誰かが困っていたら
自分のことなんて後回し、できる範囲で助ける。
お金だってくれてやる。

小さなサプライズもよくしていた。
相手が喜んでくれるなら相手のために動くし、
相手のためにお金を使う。躊躇なんてない。

だってきっと彼ら彼女らは
それ以外で苦労しているから。

少しでもほっこりしてくれたら嬉しい。
少しでも心が軽くなるような、
そんな存在でいられたらうれしい。

でも、自分のことはそうやって後回しにしてきたんだ。
もちろん破綻しないようには生きてきた。
だけど自分のことは自分で満足させられない。
相手が居てこその満足感しか味わったことがなかった。

自分の代わりに喜んでもらいたい、
幸せになってもらいたい。
そういう思いが中心となって人生を生きていた。

音楽をしてるのだって結局似たようなものだ。

歌うことで自分の言葉にできない思いを
表現しているんだって思ってきた。

だけどきっと違う。
結局は人に聴いてもらうことによって
誰かの人生が豊かになればいいな、
幸せになればいいな、なんて綺麗事を思っている。
そんでもって有名になりたいだなんて
夢を見ているんだ。

でも、血反吐吐く程努力してそこに辿り着くくらいの
モチベーションがあるわけじゃない。
だって今まで人の為に生きてきたから。
自分を求めてくれるからそれで動けるんだよ。
だから自分だけの為には動けない。
言い訳にしか聞こえないけれど。

しかも傲慢だと思うのは、
少ない母数(リスナーさん)からの応援だけでは
自分の中でのモチベーション維持として成り立たない。
応援してくれている人が居るのに。
なんて傲慢なんだ。我儘だ。

そんなこんな考えていると、
やっぱり生きるのって難しい。
自己肯定感なんて腐る程低いのに
自分の為になんて生きてられない。

今後自分の為に生きていくとしても、
本当の意味で、「自分の為に生きてあげられる」
ってところまでの道のりがきっと壮絶だ。

今まで人の為に生きるのが
存在意義だと思ってきた自分の人生は、
自分にとってはそりゃ無価値なものだよな。

どう生きていくのが正解かわからない。
生きている人間は人生の途中だから
誰も教えられる人が居ない。
人生を全うした人達はもうこの世には居ないから。

死人に口なしなんだよな、
肉体が死んでも
会話できるようにしてくれたっていいのに。

生きるか死ぬか、も
生きる理由が見つかるか見つからないか、も
心臓を動かす為の
最低限の酸素を取り入れる為に息をして
無駄な時間を過ごさなければわかる筈もないんだ。

生きるも死ぬもどっちを取ってもしんどいよな。

「無価値な人生」を
どう価値あるものにしていくか。
自分自身で人生に
装飾をつけていかなければいけないんだ。
それこそ芸術作品を作るのと変わらない。

消したいのに時間が経っても褪せない記憶もある。
試行錯誤しながら昇華させなければいけない。

自殺が未遂に終わってしまった過去が
明日からの未来にどう影響するのかもわからないまま
今日も天井を見ながら人生について考えていた。