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4.22 パリあれやこれや~パリ

本来は2泊してすぐ南下、そのまま巡礼に入る予定だったが、お腹がごろごろするのと巡礼に行きたくない(あ、巡礼行きたくないからごろごろいってるのか)というダブルの理由でまだパリにいる。まだまだ先が長いもんだから「ひとまず3泊くらい延泊しとくか」とざっくり決める感じが我ながら豪快でかっこいい。3ヶ月もあるんだから3日くらい伸びてもな。なんか自由だな、51の俺。

ところがだ。

私が開発したクッション腹当て療法が効果を発揮したのか、下痢が次第に収まってきた。最悪のリキッド状態は超えてきた。それで少し余裕が出て、サン=ジャン=ピエ=ド=ポーまでの電車や宿を押さえるかとPCを開いてみると、またもや大変なことが起こっていた。

電車のところに「完了」と書いてあるのだ。

私はせっかくフランスに来たんだから「てーじぇーべー(TGV)」なるものに乗ってみようと思ったのだが、フランスのJRらしきSNCFのサイトで検索してみると明日も明後日も「完了」「完了」「完了」と書いてある(Google日本語訳)。

完了?

いやな予感がした。日本の新幹線みたいにふらっと行ってすぐ乗れるもんだろうと思っていたが、もしかして「てーじぇーべー」なるものはそんな甘いもんじゃないのではないか。じゃあ、いったいいつだった乗れるのか「てーじぇーべー」?

・4月25日(火)05:50 パリ・モンパルナス駅発

それを見た瞬間、私は反射的に下卑た言葉を吐いていた。

「頭おかしいんじゃねえか、この国!!!!」

次の「てーじぇーべー」は4日後までありませんよ、と。全部埋まってますよ、と。しかも出発は早朝5時50分ですよー、と言ってやがるのだ、こやつらは。言ってることめちゃくちゃじゃないか。だが、それ以外にサン=ジャン=ピエ=ド=ポーに行く良さげなルートはなさそうで…………しょうがない、朝5時50分で手を打つか。

ということでさらにパリ、もう1日おかわり!――延泊は4日になって、ほぼ1週間近くパリにいることになってしまった。

なので、もしフランスに行く人がいたら「てーじぇーべー」の予約だけはお早めに――というか、さすがに自分でもどうかと思うぼんやり具合にますます先が思いやられているところである。

気を取り直して。

今日はパリ4日目(もう日にちも曜日の感覚も相当危うい)。少しだがパリのことがわかってきた。メトロも乗ったし、スーパーで買い物もした。周囲を散歩してるし、中心地のパトロールも敢行した。だらだら寝てばかりいると思ったら大間違いだぞバカヤロー!

気温に関しては到着時にめちゃくちゃ寒かった(アブダビの夜も寒かった)から、これは装備がやばいなぁと思ったが、朝晩寒く日中暑い大陸性気候であることがわかった。午後になって太陽が出ると気温が上がるが、雲に隠れると急に寒くなる。観光客の格好を見てもダウン着てる人と半袖Tシャツの人がどっちもいる。でもやっぱり日本よりは寒い。ちょうど桜の頃くらいの感じだろうか?

桜といえば、あちこちで桜みたいな花が咲いているのには驚いた。ソメイヨシノではないが、たぶん桜の仲間だろう。だとしたら日本と1ヶ月くらい違うイメージかもしれない。

あと慣れないのが日の長さだ。日没はほぼ21時。21時だよ!? もう、ずーーーーーーーっと明るい。私は暗くならないとやる気が出ない夜行性のいきものだから全然スイッチが入らなくて困惑する。

街中ではあちこちでシェア式電動キックボードみたいなものが走っている。シェアサイクルも多いけど、ちょっと大きめの電動ボードは本当にみんな使ってる。スマホをセットするところがあるから、あれでカチャッとやって乗り捨てるのかな。

物価に関しては、いまユーロが高くて1ユーロ=150円くらい。メトロの最低区間が2.1ユーロだから315円。「ル・ビッグマック」のセットが8.9ユーロだから1,300円強。だいたい日本の1.5~2倍って感じかな。まあ高い。シーズンだからもあるだろうけど宿も高い。パリだし!

あと、ヨーロッパではYahoo! JAPANが見れない。Yahoo!天気もスポナビ野球速報も見れない。カープ! 新井さんの「おまえで打たれたら本望」発言!(泣)

日本と同じところもいっぱいあるし、違うところもある。

地下鉄の中ではみんなスマホ見てる。ゲームやってる人は少なそうだけど、動画やSNS見てにやにやしてる(のぞき見した)。昼間っから飲んだくれてるおじさんも結構いる。タバコは外ではバカスカ。あ、マスクは9割方いないが、たまーに付けてる人を見る。あれはコロナ以外の何かだろうか?

個人的におお!と思ったのは、みんな平気で赤信号を渡るとこ。車来てないと普通にさくさく渡る。車来ててもビューと渡る。ルールはルールとして、あとは自分が判断する。パリには自粛警察もいなければ、「さあ、マスクを外しましょう!」の一斉号令もないのだろう(田舎はどうかな)。

当然ながら人種もファッションも気持ちいいほどバラバラだ。アフリカンルーツの人の比率が想像以上に高いし、中東風、イスラム女性のスカーフ、めっちゃ太ってる人、ハイブランドな人、なまいきシャルロット、アジア人もいるが日本人は少なそう……さすが人種のるつぼ、パリである。

面白いのは、これだけ多様性が極められてバラバラだと、だんだん何がおしゃれで何がおしゃれじゃないか分からなくなることだ。あまりに基準が違いすぎて何も比べられない。勝負自体が成立しない。道往く人を見てても、ハイブランド着てる人がコスプレイヤーに見えたり、めっちゃ腹出てても堂々としてる人がすごくCOOLなようにも見えてくる。誰もが勝手に自分の世界を生きて、勝手にその世界を追求しているのだ。

いいな、この風通しのよさ、この自由さ……エトランゼなせいもあるが、滞在4日目で早くもパリに惹かれている自分がいる。


そうそう、最後にひとつ!

パリはとにかく街が美しい。詳しくはまた書くが、その半分を支えているのが緑の多さだ。本当に通りには常に木々が植えられ、こもれびがある。それは今の季節まさに最強で、街を彩る新緑、どこにでも座れるベンチ、あちこちで咲いている花々(そしてケチケチせず配置されているごみ箱の数!)にどれだけ旅人の不安が癒されたことか。おじさんの心が洗われたことか。

まさに「樹々はどんな人にも恩恵をもたらします」。

私も神宮外苑の木々伐採はやめた方がいいと思います。


ただ、今のパリに色気は感じないな。そういう場所もあるのかしらん? あ、街に大人になったなまいきシャルロットがいた。ええ、シャルロット、俺と同い年だったんかー!

タメかよシャルロット






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