第14回市民ゼロポイントブックトーク
開催日:2022年11月13日(日) 於:松本市中央公民館 紹介した本:岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』(中公新書、2021年) 紹介者:能勢(企画運営委員) 参加者:11人(企画運営委員含む)
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開催レポート 久々のブックトーク会となった今回は、計11人(男性7人、女性4人)の方が参加しました。まず前段として参加者の宗教観(無神論者 or 信仰をもっている、あるいは信じている宗教的なものがある)を簡単に確認してから、近代化によって宗教組織離れが進んでいる日本と欧米の現状(序章)、従来の信仰中心の宗教と従来の宗教観が当てはまらない日本を比較した上で「宗教観」を改めて捉え直す本書の基本視座(第1章)、葬式仏教について(第2章)までを解説したのち、参加者でフリートークを行いました。
以下、会場の声です。
基本的に無神論者ではあるが、立て続けに交通事故に遭った事から、「お祓い」「お守り」のご利益を信じたいところもある。
身内が新宗教の信者で、話をされても自分は入るつもりはないが、その教義によって身内が救われている面はあると感じている。
全ての物事を疑ってみる、というスタンスから無神論者ではあるが、その結果、なにか信仰をもっていると思われる事がある。キリスト教のような古くからある宗教は、物事を大局的・安定的に説明出来るだけの背景があるので、論理的思考という点で近づいていくのでは?
(パワーストーンやパワースポットといった)スピリチュアルなものに関心がある。また、諸外国で各地の宗教に触れたり、身の回りで新宗教に入った人もいて勧められる事もあり、以前から「宗教」には興味をもっていた。
宗教に私的信仰はあるが、「宗教組織」やそこに属する人間には組織の利害も絡んでくるので不信感をもっている。
特定の信仰はないが、スピリチュアルなものに興味はある。以前、ブッダの解脱に倣う10日間の瞑想に参加した時に自身を構成する粒子や波動の動きを意識するという経験をした。瞑想によって分泌された脳内麻薬のようなものの効果かもしれないが、新宗教の中にはテクニカルに再現出来るところもあるという話を聞くが、確かにこのような体験をしたら神の存在や信仰にハマってしまうかもしれない。
葬式仏教には意味がないと思っていたが、いざ身内の葬儀を考えた時に、改めてありがたさを感じた。
ブッダが解脱したインドで仏教が流行ってないのが不思議だ。
精神医学的に(49日、1周忌、3周忌といった)葬儀の周期にも根拠があると聞いて、葬式仏教にも意味があるのだと知った。
ウクライナ情勢に関するドキュメンタリー番組で、今までは「すべてを許しなさい」と教えていたウクライナ正教の神父が今の状況下でそれを言えなくなったと聞き、どうしたら良いのだろうかと辛い気持ちになった。
宗教にのめりこむ人は、生活状況が厳しく孤立無援ということがあると思う(安倍元首相を狙撃した容疑者の母など)。そのような時、どうすればいいのか?アウシュビッツで生き残った人はいくつか特徴があるそうだが。
本書で解説されている日本の宗教観は概ね中立的で好感がもてる。このような日本の宗教観もありだと思う。そもそも明治初期の頃から「日本は無宗教だ」という言説がはじまり、なにか問題があると「無宗教だから」という言い訳につかわれてきたのではないか?
参加者それぞれの宗教観を聞く中で、無宗教といわれる日本も、実は身の回りには宗教に関わることがたくさんあり、日々の暮らしの中に宗教があるのだと改めて感じる回となりました。
(加藤)