見出し画像

【開催レポート】第15回市民ゼロポイントブックトーク※当日レジュメあり

第15回市民ゼロポイントブックトーク

開催日:2022年12月11日(日) 於:松本市中央公民館
紹介した本:岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』(中公新書、2021年)
紹介者:能勢(企画運営委員)
参加者:8人(企画運営委員含む)

当日のレジュメはこちら↓

企画概要のわかるチラシはこちら↓

開催レポート

前回に引き続き『宗教と日本人』を解説した今回は、計8人(男性5人、女性3人)の方が参加しました。
前回(序章~第2章)のおさらい、「信仰なき所属」としての神道について(第3章)、スピチュアル文化の隆盛と拡散する宗教情報について(第4章~終章)の解説のあと、参加者でフリートークを行いました。

以下、会場の声です。

(縄文信仰などの)スピリチュアルなものは、ミーイズム(自己中心主義)につながる一方で、ナショナリズム(国粋主義、国家主義)的な考えと結びつきやすいと感じる。本書で「教義なき宗教」として新興宗教のもつ問題について述べられていないことが残念。

日本社会は、「雰囲気」「同調圧力」といった「空気」によって動いているのではないか?
戦時中、「悠久の大義」という曖昧な目的のために、命をかけざるを得なかった特攻隊。それまで認めていなかった「集団的自衛権」を閣議決定による「9条解釈改憲」で織り込んだ2015年の「安保法制」。そしていま進められている、「専守防衛」の枠内での「反撃能力」の保有や防衛費の拡大。論理的思考に従わず、なしくずし的に「同調圧力」「声が大きい方」に従って物事が進められている事に危機感を感じる。

自分の家庭は、天理教・創価学会・幸福の科学…あらゆる新興宗教に溢れていて、こどもに「本当の神様はどこ?」と尋ねられ困った。
自身は、学生の頃、キリスト教のことを知りたい…とたまたま訪ねた教会がモルモン教だったが、学校である署名運動に関わった時に教会で「アカになるな」と言われて、逆に教会から離れて社会運動に関心を持つきっかけになった。

学生時代、カナダに留学していた時は新興宗教の勧誘も盛んで、パーティーなどもよく催されていて、バンクーバーで「幸福の科学」のパーティーに参加したこともあった。コミュニティ(所属)を求めている人にとっては魅力的だったのではないか?友人に菜食主義を教義とする新興宗教の信者がいて、彼女のためにベジタリアン料理を作ってもてなそうとしたが、肉料理にも使ったことがある鍋を使用したということで食べてもらえなかった。友人が自分のために用意してくれたものを拒否するまでの「信仰」とはなんなのか?自分には出来ないと思った。

(下記の)トルストイを読んでいるときの宗教とのかかわり方は、本書で参照されている柳川啓一の「宗教なき信仰」という考え方に近いのではないか。さらには本書でいう「所属なき私的信仰」としてのスピリチュアル文化的な、宗教との消費者的なかかわり方とも関係があるのではないだろうか。

トルストイ著「文読む月日」を読んでいる。取り上げられている言葉の元となる宗教はひとつではないが、その言葉それぞれが、「普遍的」で「正しい」ものと感じ、日々感銘を受けている。(現代の)日本の宗教観には、普遍的な正しさが欠けているのではないか?

日本人の宗教観を考えることで、改めて現代日本の社会構造のあり方の根本にもふれる回となりました。

(加藤)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?