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企業文化とコミュニティの考察。POOLOを終えて考えたこと。

1年のまとめとして記事をずっと書いたのですが。あまりにも1期生たちがエモい記事ばかり書いてたので、少し真面目な文章になってしまいました。この1年間で考え続けたことを(TABIPPO代表・清水直哉)

昨年6月からスタートした「POOLO」の第1期がコロナ渦の5月末に終了しました。

僕らTABIPPOとしては、旅と教育を掛け合わせたあたらしい挑戦であり、社会に対してのあたらしい意思表示でもありました。

200名の仲間と過ごした1年間を、文章で振り返りたいと思います。(最後に、大好きなPOOLO1期生のみんなへのメッセージも書きました、恥ずかしい)

▼こんな人には読んでほしい
・ビジネスでコミュニティ作りに関わっている人
・教育のあたらしい形を模索している人
・旅の価値を信じている人
・POOLOに興味のある人
・大好きなPOOLO1期生のみんな

ちなみに。はじめましての方も多いと思いますが、POOLOは次世代のグローバル人材が育つあたらしい大人の学校です。

1期生として、20-30代の社会人と大学生が200名集まり1年間のプログラムを共に過ごします。校舎が特定の場所にあるわけではなく、全国各地から参加者が集まってくれました。

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初めて集まったキックオフにて。

旅をテーマにした学校なので、参加者の200名は全員が「旅好き=旅人」です。訪問国数が20-30カ国以上というツワモノがたくさん集まっているのが最大の特徴です。

ちなみにPOOLO第2期の募集を、いままさにやっていますので、この記事を読んで興味をもった方はぜひご応募ください!

それでは、学びを振り返ります。

POOLOで挑戦したかったこと

まず、僕らがこのPOOLOを通じて挑戦したかったことがたくさんあります。立ち上げをするにあたって、TABIPPOのコミュニティチームで中心として動いてくれている恩田倫孝(みっちー)と一緒に議論を重ねました。

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責任者であるTABIPPOの恩田倫孝(みっちー)が、この1年間でPOOLOに費やした時間は計り知れません...本当にすごい。


僕らが、最初に考えていたことはこんな感じです。

▼POOLOでの挑戦
1:グローバル人材の定義をアップデートすること。
2:自律分散で受け身ではないコミュニティと学びをつくること。
3:教育を掛け合わせることで旅の価値をあげること。
4:旅の経験を、利他の精神で外向きに還元する仕組みをつくること。
5:多様な個がエンパワーメントされる場をつくること。

これに対して、1年間で何ができたのか?

結論としては、全て狙いを達成することが出来ました。もちろん出来なかったことや反省はたくさんありますが。正直、自分たちが当初に思い描いていたPOOLOよりも、想像以上に密度が高く熱のあるコミュニティが出来上がったと思っています。

まず、「1:グローバル人材の定義を変えていくこと」関しては、まだまだ道半ばという感じです。自分たちの信じる価値観を元に、講師や参加者のみんなとディスカッションや会話はしていましたが、正直これは短期的に達成ができる目標ではありません。ただ、POOLO1期生が終わり、彼らがもつ熱量をみると、中長期的な視点で考えてみると「あたらしい何か」がここからどんどん生まれていく予感がしています。数年後が楽しみで仕方ありません。

次に、「2:自律分散で受け身ではないコミュニティと学びをつくること」に関しては、僕らなりの社会実験としてかなり大きな成功を収めることができたんじゃないかなと思っています。後述しますが、自律分散でフラットな組織形態の中では、主体性が試されるのですが、結果として熱のあるコミュニティに1年間をかけて成長していきました。

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最初は初対面で不安なメンバーも、対話を繰り返すことで信頼関係が生まれます。スタートして3ヶ月目、2019年8月くらいの様子。


「3:教育を掛け合わせることで旅の価値をあげること」に関しても、新しい発見や学びがたくさんありました。旅との掛け合わせで語れるキーワードはPOOLOでは扱いきれないくらいの数があります。例えば、WELL-BEINGやポジティブ心理学、サステナブルやSDGs。例えば、地方創生やDMO、コミュニティ論やカルチャー。そして、マーケティングや組織マネジメントなどのスキルもそうです。旅をすることが何を生み出すのか?それを整理できた1年間でもありました。

4つ目は「4:旅の経験を、利他の精神で外向きに還元する仕組みをつくること」です。旅をした経験を自分にとどめておくだけではなく、その経験を利他な精神で社会に還元してもらうことにこの1年間は注力をしてきました。この1-2ヶ月でPOOLO1期生メンバーたちが卒業制作として書いたnoteをみて、彼らの中にあたらしい気付きがあったことを確信しました。旅は必ず世界を平和にします。

時間がある方は下記からPOOLO1期生が書いたnoteをぜひ読んでもらえると嬉しいです。どれも素晴らしい記事。


最後が「5:多様な個がエンパワーメントされる場をつくること」です。POOLOには20代前半の大学生もいれば、30代で上場企業に働いている人もいます。フリーランスのエンジニアやデザイナーもいれば、看護師や先生もいます。自身のスキルを深堀りしたい人もいれば、転職や起業を考えている人もいて、都会に住んでいる人も、地方や海外に住んでる人もいます。そんな多様なメンバーの個をエンパワーメントするために、とにかく「フラット」であることを強調し続けました。結果として、多様性を許容する中でい周囲の仲間から良い刺激をもらえる環境がつくれたと感じています。

この5つが、僕らが挑戦して得ることができた答えです。

POOLOの第1期を通じて、自分たちの信じる未来についてさらなる自信を持つことができましたし、これからの未来がもっと楽しみになりました。

関わってくださった講師のみなさま、1期生のみんな、スポンサーであるハワイ州観光局のみなさま。本当にありがとうございました。


失敗から学んだこと

初めての試みだったので、失敗もたくさんしました。当たり前ですが、失敗から学ぶことも多かったです。

▼失敗01:主体性が生む爆発的なコミュニケーション量を想定する。
無料のSlackをコミュニケーションツールとして利用したのですが、参加者の熱量が想定以上に高かったため、1ヶ月ほどで上限のメッセージ量に達してしまいました。そうすると過去の会話を遡ることができません。また、部活やサークスに関しても当初想定していたよりも、あまりにも多い数が立ち上がってしまったことによる弊害がたくさん起きてしまいました。熱があること自体は全く悪いことではないため、それを想定した上で全体の場を設計しておくべきでした。
▼失敗02:想定以上に参加者が生み出せる余白を残しておく。
学校にはカリキュラムが必要なのですが、正直最初に作り込みすぎたなと反省をしています。もっと参加者とフラットにやっていくためには、余白を残しておくこと、その余白をどう埋まるかを、みんなで会話していくべきだったなと思います。
失敗03:遊ぶ、学ぶ、創るのバランスを正しく。
POOLOの行動指針は「共に遊び、共に学び、共に創る」です。しかし、仲が良くなってくると、まずは「遊ぶ」というところにフォーカスしてしまうんですよね。これは人間の真理です、たのしいことってたのしいので。そうなると、元々の目的であったビジョンに対して「学ぶ」ことや「創る」ことは足りているのか?そういう議論がスタートして半年で浮き彫りになってきました。ここについてもカリキュラムとコミュニケーションの設計で変えていくことはできると思っています。
失敗04:運営メンバーと参加者のコミュニケーション設計
個人的にはもっとPOOLOのみんなと仲良くやりたかったのですが、どうしても講義以外の場所でのコミュニケーションを200名に対してフラットにやるわけにはいかず。「もっとTABIPPOのメンバーと関わりたい」と思っている方がたくさんいることは知っていても、リソース的に解決が出来ませんでした。後半で、オンライン飲み会などの工夫をしたことで一気に距離が縮まった感じもあったので、最初から想定して工夫が必要でした。

そして、この1年間で一番の学びとなったことは「コミュニティと企業文化の関係性」について深く考察ができたことです。


コミュニティに必要な企業文化という話。

何が言いたいかというと、TABIPPOというブランドが作り出すコミュニティには、TABIPPOという会社/組織がもつ企業文化が色濃く映し出されるよね、ということです。そして、それがコミュニティの正しいあり方だなと。

僕らTABIPPOは、少し特殊企業文化をもっています。

例えば、根本として大切にしているVALUEとして「ビジョンの共創」という言葉を掲げているので、コミュニティや組織におけるチームワークやパートナーシップを重要視しています。

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また、組織としては4つの組織ポリシーを軸として、制度やルールを策定しています。ヒエラルキーな組織構造ではなく、自律分散型の組織を目指していることや、管理がなく自律して1人ひとりが働く仕組みになっている点など、他の会社にはあまりないようなユニークな取り組みが多いです。


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例えば、左上にある「役職や上下関係、管理がないフラットな組織」です。

TABIPPOでは、1人ひとりが主体的に働くために、ヒエラルキーを無くしてフラットな組織構造を作っています。そのため、上司部下という上下関係も、部署という縦割りな組織も、決まった形の「承認」のフローもありません。自律して働く個に対して、とことん「性善説」で向き合うことで、管理やコントロールをしない組織を目指しています。

興味のある方は、ぜひ下記の株式会社TABIPPOの公式WEBサイトからご覧ください。WEBメディアと統合されたサイトになっています。

▼理念や想い
https://tabippo.net/company/philosophy/

▼組織文化
https://tabippo.net/company/culture/

このようなTABIPPOがもつ「企業文化」からブレることなく、POOLOという「コミュニティ」にそのまま色濃く反映させていくことが重要だなとこの1年間で学びました。

なぜなのか?

それは、コミュニティには何かしらのビジョンや方針、ルールが必要であり、それらを具体化して表現したものが「文化」であり、企業が主体となっているコミュニティ作りに最適なのはその企業がもつ文化=企業文化だと確信したからです。

--- ここからCMです(*´ω`*)! ----

POOLO第2期の募集を7月末までやっています。この記事を読んで興味をもった方はぜひご応募ください!

---- ここでCMは終わり ----


TABIPPOの文化を、コミュニティに映し出す。

例えば、POOLOはフラットで自律分散なコミュニティであること、そして受け身ではなく主体的に参加者が学べる場作りを意識しました。TABIPPOの組織構造がヒエラルキーではなくフラットで自律分散であること、そして、1人一人が自律して当事者意識をもって働くことと同じです。

例えば、TABIPPOでは個を掛け合わせることで成果を生む組織を目指しています。管理をせず、自らが得意なことを活かして進めることで、個をエンパワーメントする考え方です。POOLOでも、多様な個を尊重して、自分たちの得意なことを活かし合うことで新しいものがたくさん生まれました。

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参加者が主体になって千葉県睦沢町にある廃校で大規模なイベントを開催したのも、個性を掛け合わせた良い事例となりました。


例えば、POOLOではビジョンを何よりも大切にします。それは、個人のビジョンでもあるし、POOLO自体がもつビジョンでもあるかもしれません。これはTABIPPOが「ビジョンの共創」というVALUを掲げていることとマッチします。

例えば、TABIPPOには「Pay Forward(ペイフォワード)」という行動指針があり、人や社会のために行動することを大切にします。POOLOでは、旅の経験を自分に活かすだけじゃなく、社会に還元することでサステナブルな社会を作っていこうと発信をし続けました。

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ハワイ州観光局にサポートをして頂き、「サステナブルツーリズム」をテーマにして、参加者30名ほどが実際にハワイに渡航しました。


持続可能な経営には、コミュニティと企業文化を。

僕らTABIPPOという会社がもつ最大の強みは、熱のあるコミュニティを生み出せることにあります。これは、長く変わらない価値であり、今後失われることがない価値だと信じています。

企業が本来もつべき競争優位性を考えたときに、それは、「他社には真似ができない強み」だと言い表すことができます。

短期的にはポジショニングによる競合との差別化、中長期的にはオペレーションの強さなどを競争優位とするケースが多いですが、これらはすぐに模倣が可能ですし、すべては企業文化の影響下にあると思っています。

だからこそ、「企業文化」こそが中長期に強く影響をもてる経営戦略と信じていますし、それをこのPOOLOで強く確信することが出来ました。

僕らは、会社のビジョンを持ち続けている限り、その理念を達成するための企業文化を大切にしている限り、POOLOのようなコミュニティが生まれ続けます。そうすることで、ビジョンを共創する仲間が増えていくので、企業のの持続可能性を高めてくれるのです。

これからも、自分たちにとっての正しい道を進めるようにコミュニティを生み続けたいと思いますし、そのために自分たちの信じる「企業文化」を大切にしていきたいです。


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PEACE DAYという野外フェスを一緒にやっているLIFULL代表の井上さんの講義にて。LIFULLこそ、企業文化を戦略上の強みにしている最たる例です。


最後に、感謝の気持ちを。

POOLO1期生のみんなへの感謝の気持ちを、しっかりと言葉で伝えたいなと思います。

不安を乗り越えてPOOLOに飛び込んでくれて、1年間という期間を主体性をもって臨んでくれて、本当にありがとうございます。仲良くしてくれてるみんなも、少ししか喋れなかったみんなも、大好きです。

最初はPOOLOにどんなメンバーが集まるのか、不安もありました。グローバル人材がテーマだと、ちょっと真面目なメンバーが多いのかな?とか、ちゃんと僕らがやりたいことを理解してくれるかな?とか。

はじまってしばらくたって、そんな不安なんて全くなくなりました。

まさかこんな歳になって、30代になったもこういう仲間が、友達ができるなんて本当に考えてもいませんでした。

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POOLOのみんなに、32歳の誕生日を祝ってもらったときの写真。社長にパイ投げできることが、企業文化が影響してコミュニティがフラットになったことの証明(ちがう)


POOLO1期生のみんなとは、まだまだこれからも、たくさん関わることになると思います。そして、まだ仲良くなりきれていない人、関わりきれていない人とも、もっと会話をしたい。2期生のみんなとも仲良くしてほしいし、一緒に何か仕事をすることも増やしたい。

1期生のみんな、本当にありがとうございました!

第2期の募集について

POOLO第2期は、コロナの影響を受けてオンラインで大前提のコミュニケーションが行えるような設計にしました。

自粛による孤独に対しては、これからの仲間を。
生まれた時間的なゆとりを使って、新しい学びを。

ぜひ、POOLOに求めてくれたら嬉しいです。


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