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セレッソ大阪vs柏レイソル~3バックの攻略法~

今回は、2020年J1第32節セレッソ大阪vs柏レイソルの試合を分析していきたいと思います。

1.スタメン

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注目ポイント
・ミラーゲームの中で両チームがどのような戦術をとっていくか
・柏の高速カウンターにセレッソがどう対応するか

2.試合情報

得点
0-0

交代
後半0分(柏):IN5小林↔OUT27三原
後半7分(セレッソ):IN14丸橋↔OUT3木本
後半15分(セレッソ):IN32豊川↔OUT20ブルーノ
後半33分(柏):IN6高橋↔OUT13北爪
後半37分(柏):IN19呉屋↔OUT10江坂
後半41分(セレッソ):IN49西川↔OUT17坂本

3.セレッソの攻撃修正

前半初めのセレッソはディフェンスラインの瀬古・水本から相手のWB・CB間を狙うロングボール中心の攻撃であった。
瀬古・水本がボールを持って前を向いたタイミングでサイドに張っていた松田・坂本が落ちてくることで柏のWB・CBの距離感を広げ、そのスペースにIHが走り込むパターンが散見された。

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しかし、瀬古・木本のロングパスの精度があまり良くないことや、相手のCBの好対応に遭ってチャンスにつながらない。
相手がワントップに対して3バックのままビルドアップをしていたことも要因の一つであろう。

それを修正するためか前半30分過ぎから木本が右サイドの高い位置を取るようになったことでサイドで安定した起点を作れるようになり始める。

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SPORTERIAに掲載されているヒートマップを見ると一目瞭然だが、瀬古と木本、特に木本がサイドラインの高い位置をとっている。また藤田も奥埜と比べると低い位置をとっている。
これによって柏のIH、特にクリスティアーノに対して、CBとSBへの意識を分散させることで前進を容易にしたのである。

4.木本交代による試合展開の変化

スコアレスで迎えた後半、開始早々アクシデントによって木本が負傷退場して丸橋が入るが、これにより大きくセレッソに流れが傾くことになる。
実際にFootball LABのデータを見てみると、時間帯別シュート数も増えてスタイルもポゼッションへ移行している。

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セレッソの攻撃が機能するようになったのは、この交代で何が変化したからだろうか?

これは前半は左サイドでの存在感が希薄だった片山のポジションに丸橋が入り、サイドラインの側でボールタッチを繰り返したことで柏のWB・CB間の距離が広がり、清武がハーフスペースで余裕をもってボールを保持できるようになったからである。

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実際に丸橋投入後は、清武がハーフスペースでボールを保持してWB・CB間を狙った攻撃が何度も見られた。

5.対オルンガ

セレッソは柏の絶対的エースであるオルンガに対し、基本的にヨニッチがマンマークでついていた。
柏は右サイドのクリスティアーノからオルンガにボールが供給されることが多いが、オルンガがファーに逃げた際に非常にスムーズに木本へマークを受け渡していた。

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守備時に5バックであるが故に、終始オルンガに対して有効な守備をセレッソは見せていた。

柏としてはオルンガをターゲットとしたロングボール・ロングカウンターに頼りすぎず、後半の江坂のようにハーフスペースを生かした戦い方の方が今回の試合は良かったように思われる。

6.総括

両チームともゴール期待値が1を超えているように、得点が入ってもおかしくない非常に見ごたえのある試合展開ではあった。

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セレッソはヨニッチのオルンガへの冷静な対応、柏はキムスンギュの好セーブに救われた形とはなったが、両チームの攻撃の特色が伺える一戦だった。

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