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ちょっとしんどくなってきた若手SIerにオススメする本5選

今回は新入社員が入る時期ということで、私が新卒入社した10年前にあれば読みたかったなという本を紹介します。もちろん新卒だけでなく、3年目とか5年目とか、「俺、このままでいいのか・・・?」と感じてきた方々も読んでみて欲しいです。

お前誰よ

- 都立高専機械工学科卒業
- 札幌の大学(情報系)卒業
- 札幌にあるN○Cの子会社に新卒入社
- 入社5年で長時間残業によりうつ病になり休職→退職
- 半年だけiOSアプリを開発
- 丸2年くらいコールセンターの会社で部内SE→ヘルプデスク→製品メールサポート
- 現在受託企業でPHPer

はい、よーいスタート

1.情熱プログラマー

当時の私はいわゆるSIer(ご時世的にはギリギリSIerという言葉が一般化するかしないかくらい)の、全くコードを書かずにExcelとにらめっこする方でした。元々コード書く興味はありましたが、大学や新入社員教育でやったJavaがあんまり馴染まずに、フェードアウトしてしまった感じです。

しかしながら、現在のIT業界を見渡してみると、この著者も含めて結構情報系以外の分野を学んだ人たちが一線で活躍しています。一体何が違うんだ・・・と思った時に、情熱が足りないのかもしれないと思いました。

今考えると、Java(をはじめとしたプログラミング言語)で何かを作りたいとか、何かを成し遂げたいみたいなことが足りなかったなと思います。ただ単にパソコン使ってぽちぽちするのが好きだっただけでこの業界に入ってきてしまった感があり、前述の会社を選んだのもガチガチの開発会社を避けた結果でした。大学の同級生の一部がすごく感じて、あれくらいやれなきゃダメなんだろうな、って勝手に諦めてしまいました。

それを感じたのが2回目の転職活動の時で、いくつか書類が通り面接に挑みましたが、自分の回答が「やりたいです!」みたいな、相手からしたら「やってないんかい!」と思うような返答しかできないことに気付いた時でした。もちろん全落ち。いやー確かにね、やりたいって思っているんならやればええやんお前もう30ぞ、と今の自分も思います。あとはある程度の技術を持っていることはもちろんですが、ITに対する熱意も見られていたかなと感じました。その熱意を具現化したものを、何らかの個人の成果物として提示できればよりよかったんですがね・・・。

んで、この本は情熱を持ったソフトウェア開発者になろうぜ!っていう内容です。死んだ目をしてExcel台帳に記入し、死んだ目をしてスクショをExcelに貼って終電過ぎてタクシーで帰っていた自分に早く読ませて、同じことをやるにしてもただのIT作業員ではなく、本来の意味でのSIerとして熱意を持って仕事をして欲しいですね(叶わぬ願い)

機会を与えられるだって!そんなの僕だってなかったよ!僕は学ぶ機会を自分でつかまえたんだ。

2.独学プログラマー

1/3くらいはPythonの入門で、1/3くらいはプログラミング全般(オブジェクト指向とかデータ構造とか)で、1/3くらいはプログラマーとしてチームで働くための知識(Bash,パッケージ管理、バージョン管理など)です。

私もコールセンターの会社に入ったくらいから、独学でPythonを勉強し始めてSIerの普段のお仕事で使えそうなPythonスクリプトを書いたりしています。Qiitaにも投稿しました。おらっLGTMしろよしろよ。

SIerといえばExcel。ExcelといえばSIerですが、VBAかPythonを覚えると普段のお仕事が楽になります。それにコードを書かない方のSIerだからって仕事でコード書いてはいけないってことはないし、やっぱり自分で書いたコードで問題点が改善されるのは気持ちいい・・・。

SIerの会社にいると、なんとなくマクロとかPythonとかで定型作業を楽にすることが悪みたいな雰囲気が漂っています。コード書かない部署だと特に、先輩方はツールとか自作しないどころか既に無料であるツールすら使おうとしません。なんのためのITかと、なんのためのSIerかと。確かにシャドーITの問題もありますが、より効率が上がるツールや方法があるのに採用しない手段はありません。

ただ一つ、アドバイスするならば「周りにバレないようにやれ」です。

バレないようにやれ、というか、次に紹介する本にも少しかかるのですが、やってしまいがちな過ちとして、本を読んだり勉強会に参加したりすると、今の仕事が非常に非効率的でバカらしい方法に見えます(事実だとしてもちょっと置いておいて)。
なので、まずは自分だけの仕事において自動化してみて、ある程度試してからチーム内の仲のいい人に「実はね・・・」と紹介してみると円滑に導入できる確率が上がります。
※フリーソフトなんかは勝手に使うとガチで怒られる場合があるので、これは流石に確認してね!

あと、大きいSIer企業入った人あるあるとして、比較的多くの社員が入社後は勉強しません。なのでおじさんとかは自分が大学卒業した20年とか前のITスキル、常識のままだったりします。会社が用意する教育だけちょこちょこ受けて、たまに資格とったからヨシ!ってなりがちです。それでもまだその会社にずっといれば、業務知識とか秘伝のタレのレシピとかでなんとかなったりしますが、レールから脱線した時にどうにもなりません(1敗)

そのレールから外れて自分の興味がある方面でいいので、仕事に関係なくてもいいので、日々少しずつ学ぶ習慣をつけておくと脱線にも対応できると思います。「学び方」もこの本には書いてありますので、自立して独学できるエンジニアを目指していきましょう。その為には定時で帰ろうね☆

プログラミングを学ぶということは繰り返し作業から生涯自由になれるのです。

3.カイゼンジャーニー

現代の老舗のIT企業だと、非常に役割分担がはっきりしています。営業、現地SE、パッケージ開発、サポート窓口、導入部隊、インフラ、調達などなど。「これらの人々がONE TEAMとなって!」なんてよく言っていますが、内情はドロドロです。新入社員当時もそうだけど、今でも他の担当部門とはお互いに「ほんとアイツら使えねーな」といがみ合いながらやりとりすることが多いです。

それもそのはずで、それぞれのゴールや評価軸が異なっている状態でONE TEAMなんてのは到底できないのです。いまだにそのレベルの話をしなきゃならないんだよなぁ。まぁこれは単なる愚痴で、ここを解決したいなら「エンジニアリング組織論への招待」を読むと良いみたいです。まだ私が読んでいないので今回は紹介できませんでした。

で、この本は、SIerのコードも書く部門の人々の物語仕立てで話が進んでいきます。追体験しながら、日本現場でよく起こる問題をアジャイルでどういう風に解決できるかを学べます。一番の特徴は副題にもある通り「越境」していくことにあります。

よくある自己啓発本とかのような、方法と解説だけをだらだらと載せている本ではなく、物語形式で読みやすいです。ここを入り口として色々なアジャイル的ツールがあること、その使い所がイメージできたら「正しいものを正しくつくる」などを読んでより深い理解と実践をしていけると良さそう。

先に愚痴った通り、どうしてもSIerとして仕事をする際にはお客も含め多くの(グループは同じかもしれないが結局会社が異なるような)部外の人と関わる必要があります。意外と壁が厚いのよね、これ。全体最適化が全然できないの。メールでやりとりするのどう考えても辞めた方がよくてもどうにもできないのよ。いつまでsvn使ってんねんと思ってもね。

それで諦めたら試合終了なので、是非この本をみんなで読んで、みんなでじわーっと越境していけば、本当の意味でONE TEAMとして気持ちよく仕事して、お客さんが手放しで喜ぶような結果を生み出せるんじゃないかなーと思います。見果てぬ夢ですね。

「許可を求めるな謝罪せよ」という言葉を胸に、まずは"小さく試みる"ことだ。

4.仕事論

御存知、水曜どうでしょうのD二人の本です。HTBというローカルとはいえテレビ局なので、よくある大企業的な堅苦しさとか、型に嵌めたやり方とか、全く向かないのにやらされるのをどう乗り越えるか、みたいな話が1冊の本にまとまっています。

最近は役者をやったりコーヒーを売ったりYouTuberになったりしているお二人で、会社員という立場ながら非常に自由にやっているな、と外側から見てると思いますが、決して「どうでしょうが人気だから」ではないことが伺えます。というか、こういう風な考えで仕事をしていたから、どうでしょうが面白い番組になったんだな、と。

「腹を割って話した」でも書かれていましたが、「仕事」は辛いのが仕事なんだと、楽しく仕事するなんてもってのほかだみたいな考えがまだまだあると。そうじゃなくて、自分が仕事をしていてて気持ちいい所、通称「温泉」を掘り当てると自分も幸せだし、成果も出やすくなって社会全体にいい効果があるよね、みたいな内容です。

SIerやっているとね、板挟みだったり過剰な要求だったり裁量はないのに何故か責任を持たされたり、どうにもならない閉塞感を感じたりして、諦めた死んだ目をして受け入れて日々をやり過ごすようになり、さらに仕事が辛いだけのモノになっていく負のスパイラルに入りやすいです。

その流れに無気力に流されるのではなく、今の仕事を楽しい方向になんとか持っていけないか、というのを模索していく方法の引き出しを増やすために読んでおくといいかなーと思います。なかなか上司受けしなさそうですが。

うれしーの「ぬかよろこび」もいいぞ。

自分の本性に従って生きはじめると、自分が成果を出すために、やらねばならないことがどんどん具体的に思いつけるようになる。だから自由を感じるんじゃないのかなと、私は思うのです。

5.完全SIer脱出マニュアル

「しがないラジオ」というSIerからWeb系の会社に転職したポッドキャストパーソナリティの方が執筆した本です。私は技術書展版を読みました。

1、2は入った会社で情熱を持って、色々な技術を日々追い求めて、マッチョでタフなSIerを目指しつつ、最終的にはSIerの枠を超えていくようなキャリアを目指す最初の一歩的な本でした。

3、4はSIer、大手IT企業またはその関連会社で、いかに働きやすく、成果を出していけるかの引き出しを増やすような本です。この時点だとちょっとつら味を感じつつ、それでもまだなんとか踏ん張っていこう的な本でした。

完全SIer脱出マニュアルは最終的にSIerに見切りをつけて別の進路を取るための本です。賛否はあるかもしれませんが、私は昭和脳なので、新卒入社した会社でずっと働こうと思い無理をしたのが祟って結局10年もたなかったので、その立場からしたらその選択肢もありかな。

無理に転職する必要はもちろんないんだけど、身体ボロボロになって働けなくなってもどうせ会社は責任取りませんから、そうなるよりかは日々転職できるような人材を目指して研鑽し、外部も睨みながらスキルアップしていくと良いでしょう。「ブラック企業から逃げたい」みたいな転職理由より、「あの会社でこう言う仕事したいんだ」みたいな転職理由の方が、人生楽しめるしね。ただ、自分の理想を目指すためには情熱と技術と経験が必要です。だから日々研鑽する必要があったんですね。

俺?まだ残業が過激化する前は定時後に同期とボウリング行ったりしてたし、月60〜100時間の残業を4年くらい続けてて勉強する時間なんかなかったから当然無スキルで、休職後に復帰できなくて退職後の転職はクッソ苦労したしなんとか職に着いたけど今は手取りは月12万くらいだよ。

この状況を打破するために、遅まきながら今は日々少しずつでも技術を積んでいこうと思い、毎日1時間程度、コード書いたり技術書読んだりアウトプットしたりしています。完全SIer脱出マニュアルを読んで、Railsチュートリアルを完走したり、Qiitaで記事を書いたりもしました。GitHubも結構草生えたりして、ニッチなDjangoアプリを開発したりしました。

当初は習慣化するまでしんどかったけど、半年も経てば逆にやらないと気持ち悪くなります。あと自分で考えて自分でコード書いたりするの楽しい。
そうするとだいぶ見える景色が違ってきますね。去年の自分よりはだいぶレベルが上がりました。ただ、レベルが上がるとさらに上がどんだけ脅威か分かってくるので自信は逆に無くなったりしますが、私は元気です(白目)。

おわりに

できればね、自分より若い人にはうつ病とかでドロップアウトしてほしくないなーと思い、以上5冊を紹介しました。ただ、君は読んでもいいし読まなくてもいい。必要なのは今じゃないかもしれないし。必要になったら思い出してくれればいいよ。なんもさ。

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