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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2019年11月の記事一覧

構成の美

自分は数々のライヴを主催してきたが、あまり長丁場のものは好みで無い。企画ライヴでも単独ライヴでも、理想は60分~90分の、スカッと終わるものが良い。これは観客の身になるとよく分かる。長時間のライヴは、まず椅子に座り続けなければならないため、尻が痛む。舞台でだらだらとつまらないことをされると、頭痛もしてきて、吐き気も催す。60分程度ならば、多少つまらなくとも何か収穫はあるかもしれないし、面白いライヴ

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紙屑

とにかくここ最近は寒すぎて、頭がおかしくなりそうだ。外に出るのも億劫で、茶を沸かすこともままならない。厚着をすれば良いのだが、衣替えすら面倒臭くて、冬服は箪笥の奥でカビている。昼間は布団から出られず気が付けば夕方、という塩梅で、日々をしっかりと無駄に過ごしている。昼寝をすれば夜中に眠れないのはどういうわけだ?

夜中から朝にかけて、ずっと考え事をしている。誰にも知られたくない、けれども、こっそり知

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おれの道

いつまでこんなことをしているのだろう。と、いつまでも思っている。自分は、今まで辿ってきた道、そして今いる道、これから行く道、それら全てが自分にとって、正しい道であった、正しい道であるだろう、とはどうしても思えない。

何だか、色々なことを間違えているような気がしてならない。けれども他にどうすることも出来ず、何となく風に吹かれているうちに、泥だらけのぶたはここに立っていた。複雑な迷路の途中、あれ?こ

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冬の亀

生きていればそのうち楽しい素敵なことにぶつかるかもしれない。そう思った瞬間、落雷にやられて丸焦げ。と、いったようなことばかり考えていられるから、人生は楽しいのかもしれない。

年末にかけて、我が店、ライヴ喫茶 亀では沢山のライヴが行われる。中には予約完売のものもあるが、個人的におすすめのライヴを紹介しよう。ラストスパート、冬の亀、最後のダッシュ。

11月24日は、『ルンルン・ショウ』
私が主催の

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物販の宣伝

我が店、ライヴ喫茶 亀を移転するべく、自分はライヴを開いたり物販を売るなどして、細々と移転資金を集めている。本当は金のことなど一切考えずに寿司でもつまみたいのだが、これも宿命、仕方あるまい。

そうして何か物販でも販売しようと決めて、以前はTシャツを作って何枚か売ったのだが、季節も冬だ、Tシャツ制作は一旦止めにした(洗濯したらボロボロになりました、との感想もあり、誠にスミマセン)。

現在販売中の

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脱走

夜中に帰宅する途中、公園に寄って良い感じの落ち葉を拾った。我が家の相棒、沢蟹のかにくんに、ささやかなプレゼントをしようと思ったのである。しかし帰宅して水槽を覗いたら、その愛くるしい姿が無い。ギョエっ!と思った自分はすぐさま辺りを探したのだが、見つからない。

沢蟹には脱走癖があり、無意識のうちに、高いところへよじ登る本能があるらしい。ここ最近はずっと大人しくしていたかにくんであるが、本能がぶり返し

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『理非知ラズ』というライヴに出演します

今度、自作の官能小説を朗読する、というライヴにお呼ばれして出演することになった。場所は「千扇」という京橋にある老舗のラヴホテルである。

自分は、卑猥な妄想ならば常時行っているが、それを官能的な言葉に書き表す、といったことはあまりしない。昔、友人の誕生日に自作の官能小説をプレゼントしたことはあるけれど、所詮はチャチなお遊びレベルのものであったし、こども向け官能小説というものも書いたことがあるが、そ

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恐るべき涙

自分は人前で、ほとんど涙を見せたことが無い。たとえば卒業式、受験の合格発表、誰かの結婚式、葬式など、それらの感動的もしくは悲哀的な場面において、どういうわけか涙が一粒も出て来ない。思えば祖母の葬式の際にも、自分は真顔でいた。哀しみを噛み締めて、けれども表情は真顔のままであった。すると姉に、あんたもちょっとくらいは泣き、と小言を言われて、恥ずかしく思った。

涙腺が干からびて腐っているわけではない。

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ご立派

今日は朝8時に起きた。我が店、ライヴ喫茶 亀で親子コンサートたるものが行われるため、入り時間の9時には店を開けなければならない。夢の途中であったが、無理矢理に体を起こして、嘔吐しながらチャリを漕いだ。

小さなこどもが沢山来て、親子でほのぼのと音楽を楽しんでいた。自分はPAスタッフをしながら、キッチンで、こどもオムライスとおとなオムライスを作った(計15人前!)。途中何度か気絶し溶き卵に顔をうずめ

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ニコニコ乞食

右のアバラ骨と胸骨のあたりがずっと痛い。こないだ舞台で相方に投げ飛ばされて強打したのが原因かもしれぬ。呼吸をするたびジンジンと骨が響き、暗鬱な心になる。

今日は夕方から母方の祖母の家に行った。自分は、父方の祖父と祖母と母方の祖父を亡くしているため、残り一人のお婆ということになる。祖母は一人きりで、犬とともに暮らしている。耳が遠いので、電話をしてもまるで会話にならない。会うときは、自分は声を舞台並

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やがて春

我が家の沢蟹、かにくんは近頃めっきり動かない。といっても、置いておいた餌はこっそりと平らげているようで、身体も以前と比べて明らかに大きくなっている。堂々たる顔つきの沢蟹は、すっかり努力を放棄してしまったのか、ひたすら土管の下でじっとしている。まったく、大したものだ。冬が近付き、寒さも増してきたため、しばらくは休眠するのだろうか。とにかく、主人に似て、怠惰を極めている様子である。自分は、早いところ行

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屁の会

どうもムカつくのは、人は結局、自分のことを受け入れてくれる他人ばかりを探して、自分に賛同してくれる意見ばかりを集める傾向にある、ということで、無論これは当たり前のことかもしれないが、どこか腑に落ちない。そんなことで安心しても、また、ウキウキ喜んでも、マヤカシに過ぎないのではないか。大切なことはもっと別の所に落ちているはずで、しかし我々は、いつも安心を求めるあまり、イエスばかりを探してしまう。

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自分は幼少の頃から視力が悪く、裸眼ではほとんど何も見えぬ。世界がぼんやりとモヤに包まれていて、下手糞な水彩画の中で何もかもが曖昧に動いている。されど今は令和、目が悪くとも、気にすることは無い。眼鏡やコンタクトレンズもあれば、レーシック治療やブルーベリーだってある。しかし、原始の古き時代であったなら、自分のような人間はおそらく即刻マンモスに踏み潰されるかインディアンに弓で射られて、今頃とうに野垂れ死

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