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D45 | はじめに?

はじめにの前に長々と書いてしまって、今さらな感じもいたしますが…笑。
あらためまして、「D45」を手にしていただきありがとうございます。この本は、デザイナーの僕、那珂隆之が日々思うことをまとめたものです。D45の「D」はデザイナーの頭文字、「45」は今の僕の年齢です。38歳のときに「D38」を発行して、次の年に「D39」、その翌年に「D40」…と続いて、ほぼ毎年つくってきた本です。今年は年齢にちなんだ45個のテーマでつづるエッセイ集のようになっています。

コロナさんの影響で、事務所でひとりで過ごすことが多かった今年。この「D45」を書こうとテーマを考えるのですが、昨日と今日で考えが真逆になったり、いろいろなことを考え過ぎてまとまらなかったり…。時代や社会環境が変化し続ける中、自問自答をくり返し、時間だけが過ぎていきました。

今年、自分の想いをまとめておくこと、記録しておくことは、すごくやりたいことだし、数年後に読んだらとても価値がありそうだし、その数年後の自分へのプレゼントとしても(未来の自分が読みたくてワクワクしている)書きたくてたまらなかったのですが、なかなかテーマがまとまりませんでした。

コロナさんの影響で緊急事態宣言などが発表され、動きにくさが出てきたときに、Zoom(ズーム・インターネットを使用したテレビ会議システム)を使ってどこにいても無料で学べるデザインスクールを立ち上げました。動きにくかったり、ステイホームで家にいる時間が長くなるのなら、その時間を有効活用しちゃおう!と、ずうっとやりたいと思っていたデザインスクールを、インターネット上で開校しました。

そのスクールでレイアウトの5原則(近接、整列、強弱、反復、余白)についてお伝えしているときに、どれも大切な原則なのですが、自分は「余白」という原則をとても大切にしていることに気がつきました。余白…。何もない空間? 見えないけれどあるもの? なにかとなにかの間。間(ま)。僕は、自分でデザインしてレイアウトする時も、他のデザイナーさんにデザインをお願いするときも、この間をとても気にしてるな、と気がつきました。そしてきっと、この間の使い方が上手いんだろうな(って自分で言うなよ…ですが。照)とも気がつきました。なにもない空間、間によって、レイアウトがよくなる。デザインにオーラが宿るっておもしろいなとあらためて感じました。

僕は普段から、デザインとは「関係をよくすること」、言い方を変えると「エネルギーの流れをよくすること」と考えているのですが、それって、なにもない空間をデザインしていることと同じだよなと気づき、余白とつながる!と感じました。紙面の上でのレイアウトというデザインでも、もっと大きな人と人の関係をよくするというデザインでも、自分は一見何もない空間、間をデザインしていたんだと、わかったのです。余白だ!

余白。核になるテーマが見つかると、今までが嘘のように、書きたいテーマがするすると出てきてつながっていきました。よく考えると、世界を騒がしているコロナさんも目には見えない存在で、他の病気と違って関知しにくいというところも、余白というテーマでつながりそうだと感じました。

余白。一見なにもない空間。だけどそこには、エネルギーが宿っていて、なにかとなにかの間をつくっていて、それが雰囲気とかイメージをつくっていく。これまで無意識に、とても大切にしてきたけれど、深く掘り下げて考えたことがなかった余白についてあれこれ考えてみよう。

この本は、そんな余白への旅をつづったものです。デザイナーだけれど、具体的なデザインやレイアウトの話は、ほとんど出てこないかもしれません。でも、もっと大きな、関係をよくする、エネルギーの流れをよくする、というデザインを考えるととても大切なテーマだと感じています。

ここからの45このテーマで、どんな余白が見えてくるのか?僕にもまだわかりませんが、一緒に余白への旅を楽しんでもらえたら嬉しいです。
それでは、出掛けましょうか。

いただいたサポートは、これから立ち上げる学びの場のために使わせていただきます。ありがとうございます。i love you.