教員採用試験の倍率低下および公立高校教諭の年収について(2024年1月加筆)

昨今、教員採用試験の倍率低下について、しばしば報道されています。ちゃんと調べた訳ではありませんが、行政職公務員よりも倍率が低い自治体もかなりあるのではないかと感じています。

その原因について一言で言えば、「割に合わない」ということに尽きるのではないでしょうか。モンスターペアレンツ対応や専門外の部活動顧問の強制やICT機器の導入、コロナ対応等、授業以外で莫大な業務があるにも関わらず、「定額働かせ放題」と言われる残業が出ない給与体系(給特法)で、完全にオーバーワーク状態になっています(多くの教員が過労死ラインを越えて仕事をしています)。その結果、教員を目指す人が減り(優秀な学生が教員を目指さなくなる)、新規教員の質が低下していく(もちろん優秀な人もいますが…)、という負のスパイラルが現在進行形で起きています。つまり、かつて聖職と言われた教育職が、かなり「ブラック」になってしまい、この事実が世間に知れ渡った結果、倍率が下がったのです。国も教員の残業時間を45時間以内にすると決めたり、タイムカードの導入を進めたりしていますが、現場の仕事が減る気配は全くありません(年休もほとんど取れません)。実際、産休や育休を取ろうとしても、代替教員が確保できないという学校の話もよく聞きます。詳細は『教師のブラック残業』(内田良ほか編・学陽書房)、『教師崩壊ー先生の数が足りない、質も危ないー』(妹尾昌俊著・PHP研究所)などに詳しいです。

では、本当に教師は「割に合わない」のでしょうか。校種(小・中・高・特別支援)によって、また配属校や教科によって忙しさは全然違うと思いますが(特に小・中は大変だと聞きます)、言うまでもなく公立学校の教員は公務員であるため待遇は比較的恵まれています。特に地方在住であれば、かなり良い方だと私は個人的に思います(恵まれているのに集まらないということは相当ブラックだということですが…)。そこで、教員(臨時的任用、非常勤を含む)を目指そうか悩んでいる方々に向けて、参考になるかわかりませんが自分のおおよその年収を公開してみたいと思います。自分は決してこういうことをするのが好きな訳ではありませんが、教員を目指そうか悩んでいる方々に少しでも参考になればと思い公開します(言うまでもなく、お金目当てだけで出来る仕事ではありませんが…)。また、教員免許を持っていて、時間に余裕がある方は是非とも臨時的任用教諭や非常勤講師の登録をお願いしたいです。本当に人が足りません。

注意して頂きたいのは、以下の金額は諸手当(交通費、住居手当、部活動手当、扶養手当等)を含めた金額なので、あくまで参考として理解してほしいということです。また、自分の場合は、民間企業から教員に転職し、かつ最初の数年間は臨時的任用でした。ちなみに休日の部活動手当は、どれだけやっても3000円弱程度なので、時給換算すると最低賃金以下という最悪の待遇です。個人的には、業務量が現在の7割くらいになって、年収が100万円くらいアップすれば、もっと優秀な人材も集まるのではないかと考えております。是非、文科省と財務省には教員の業務量の削減と待遇アップを検討してほしいところです。

・27歳ー約420万円(手取り約280万円)

・28歳ー約460万円(手取り約320万円)

・29歳ー約460万円(手取り約320万円)

・30歳ー約460万円(手取り約320万円)

・31歳ー約500万円(手取り約350万円)

・32歳ー約530万円(手取り約380万円)

・33歳ー約595万円(手取り約420万円)

・34歳ー約620万円(手取り約440万円)

・35歳ー約670万円(手取り約480万円)

・36歳ー約720万円(手取り約525万円)

・37歳ー約715万円(手取り約525万円)

・38歳ー約730万円(手取り約535万円)

・39歳ー約740万円(手取り約560万円)

・40歳ー約740万円(手取り約560万円)

・41歳ー約740万円(手取り約560万円)

・42歳ー約770万円(手取り約590万円)


*36歳から37歳にかけて減額しているのは、校種が変わって手当が出なくなったからです。38歳から41歳にかけて横ばいなのは、諸事情により
手当が減ったからだと思います。





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