NewsPicksでスタートした、線虫でがんリスクを調べるとするN-NOSEの信頼性を問う連載について、社長に取材したことがある経験からの所感

NewsPicksで、線虫でがんリスクを調べるとするN-NOSEの信頼性を問う連載がスタートしています。

前々から医師が信頼性について疑問視する記事がちょいちょい出ていましたが、今回のは元社員などの関係者の証言も取り揃えており、かなり念入りに準備してきた記事のようです。

第2回の記事にあるように、このサービス誕生のきっかけとなったのが、サービスを提供するHIROTSUバイオサイエンスの社長で当時の九州大学助教だった広津先生が発表した2015年の論文です。

九州大学からのプレスリリース

https://www.kyushu-u.ac.jp/f/6109/2015_03_12.pdf

実はこのとき、広津先生に電話取材して『ニュートン2015年6月号』に1ページ記事として書きました。タイトルは「線虫を使って早期のがんを発見」。

僕としても、記事に出てくる元社員のBさんが言っているように、純粋に面白そうと思い、広津先生も時々笑いながら和やかに取材が進みました。「ゆくゆくは保険適用を目指して臨床研究をやってみたい」「医師がどうやって線虫を扱うのか考える必要がある」みたいなことも言っていましたが、どちらかというと基礎研究寄りの自由な発想で好奇心の赴くまま研究している、という印象でした。

もちろん電話越しの30分だけだったので、それだけで広津先生の考えや人柄がすべてわかったわけではありませんが。

個人的には、線虫という生命がもつ能力を医療・ヘルスケアに応用する試みは応援したいし、線虫ががん細胞の何を嗅ぎ分けているのかがわかれば、線虫を使わずともがん細胞の臭い物質みたいなものをバイオマーカーとして活用するきっかけにもなります。もし、その臭い物質ががん細胞の生存や増殖に関わっているとしたら、それをターゲットにした創薬につながるかもしれません。もちろんこれらは可能性にすぎませんが、基礎研究とはどういう可能性に広がるのかわからないところが難しいところでもあり面白いところでもあります。

だからこそ、基礎研究として今後に期待したいと思っていました。

それだけに、拙速な応用は残念です。そして、なぜこのように先走ってしまったのかに関心があります。もともと広津先生が突っ走ってしまいがちな性格なのか、それとも突き進まざるを得ない事情があったのか。明日の記事はそのあたりに言及しそうなので、最後まで読もうと思います。

参考図書

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