センター試験「生物基礎」を解いてみよう——教科書をちゃんと読もうねというお話
週末はセンター試験が開催されました。生物系のサイエンスライターだし、せっかくなので生物科目の問題を解いてみることにしました。果たしてサイエンスライターと名乗るにふさわしい点数を獲得することができるのか!?(9年連続使っている文章のコピペ)
文系志望が解く生物基礎
この記事では、まず「生物基礎」にチャレンジします。この科目を選択するのは、文系学部志望の受験生です。文系学部を志望する場合、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目選択しますが、多くの受験生は「化学基礎」と「生物基礎」の組み合わせを選択します。
つまり、生物基礎という科目は、文系のほとんどが解く問題と考えてください。問題と解答はいろんな予備校のウェブサイトにあります。
さて、僕の結果は……
50点満点で50点!生涯現役!
教科書を隅から隅まで読もう
傾向としてはいつもどおりで、基本的に知識を問うもの、たまに実験結果から考察するもの、というパターン。考察もそこまで複雑なものではないけど、慣れてないと苦労します。知識を問うものも、教科書ではコラム的な扱いのところから出たので、教科書を隅々まで読んでいないと苦戦するかも。
例えば解答番号6の問題。
手元にある東京書籍と数研出版の教科書だと参考扱いなので、読む優先順位を低くしていると答えにくくなりそうです。ちなみに答えは6番。
今年の問題で気になったのは、問題数がやけに多いこと。今までは3つの空欄を組み合わせで答えるところを3問バラバラに答えさせるものがありました。考察問題では少し時間が足らなくなるかも、ですね。
大学入学共通テストを意識した問題はあったけど
来年からの大学入学共通テストを意識した問題も。センター試験はずっと説明文を読んでから答えるスタイルでしたが、今年は会話文形式が出ました。
ホタルとヒカルのキラキラコンビ✨
実際には会話文であってもなくてもそこまで違いはないです。ちょっと中途半端でしたね。ただプレテストでは会話文が考察になっていたので、来年からは考察問題もしっかり対策する必要があるのは確かです。
さらりと歴史的快挙に触れる
個人的にびっくりしたのがこの問題文。
問題そのものは簡単ですが、驚いたのは問題文のここ。
ある研究者グループは細菌Mの全ゲノムの塩基配列(約100万塩基対)のDNAを合成した
さらりと書いてあるけど、100万塩基対のDNA合成なんて普通の研究室でできるものではないです。そして元ネタは、2010年に『Science』誌に掲載されたクレイグ・ヴェンターの論文なのは間違いないでしょう。
論文では、細菌であるMycoplasma mycoidesのゲノムDNA108万塩基対を人工合成してMycoplasma capricolumという別の細菌に入れます。問題文では細菌Mの合成ゲノムDNAを細菌Cに入れていて、イニシャルも合っていますね。
問題と直接関係ないとはいえ、10年前の論文をもとに問題を作るとか、レベルの高いことをやっているのが今の生物基礎です。
(ちなみに答えは順に6, 3, 2, 1)
今年のネタ枠
他の教科では毎年ネタになりそうな問題が出てくるセンター試験ですが、今年は生物基礎も参戦したようです。
三平が釣りなんてわかるわけないでしょーが!!
おすすめ図書
↑生物基礎を受けるならこれを読んでおけば間違いなし。僕が現役のときからいまだに第一線で活躍している先生。
↑生物基礎の免疫はこれを読んでおけば大抵いける。
↑合成ゲノムDNAに興味があるならこれ。
↑沼でコイとカレイを釣った三平さんの物語。
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