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「〇〇」という言葉を「〇〇」を使わないで説明せよ。

映画「みんなのがっこう」でおなじみの初代大空小学校校長・木村泰子先生。
木村先生は、よく「〇〇」という言葉を「〇〇」を使わないで説明せよ、という問いを投げかけられます。そして、この「〇〇」の中には同じ文字が入ります。
当たり前すぎる言葉はついついそのまま使ってしまうことが多いのですが、この問いに向き合ったとき、改めて別の言葉で言い換えるのは案外難しいものだと感じるものです。

今回は、特に印象に残ったものを挙げていきたいと思います。

「監獄」という言葉を「監獄」を使わないで説明せよ

このことは私の頭の中から一生離れない出来事だと思います。

昨年の5月に、近隣の街にあの木村泰子先生が来る!という情報を仕入れた息子が「木村先生にお手紙を書きたい」と言いだしました。
さっそく先生にお手紙を書いてイベントを開催する事務局に出してみたところ、当日、イベント開催者の目にとまり、先生との座談会でその手紙を披露することとなりました。

転居後の一時期、支援学級に所属していた彼は、あっという間に自信をなくし、なにより、「自分が望んでもいない道に、大人たちだけで話し合って誘導された」という感覚でいたようです。彼は、所属していた空間を、たったヒトコト、「監獄」と表現していました。

その時、木村先生が、
「監獄って言葉を監獄という言葉を使わずに説明せよ」
と投げかけてきました。
この問いに対し、
ぬかるみに足をとられて1ミリも動けない感じ
と答えた時の彼の顔は忘れられません。

一番身近にいた自分の子どものことを全く考えていなかったんだな、と衝撃を受けた瞬間でもありました。

「学習」を「学習」という言葉を使わずに説明せよ

先日のオンラインイベントの時に、ふと、
「学習」を「学習」という言葉を使わずに説明せよ
という問いかけに、一瞬困ってしまいました。

いやぁ…
学んで習うんだろうけど…
なかなか、それ以上の言葉が出てきませんでした。

遡ること、半年ほど前。
ある団体のキックオフの会合にいた私は、似たようなキューを投げかけられました。

学ぶってなんなんだろう、どういうことなんだろう。

このときもシンプルなだけに、「学ぶ」という言葉をなかなかそれ以上の平易な言葉に置き換えることができず、苦労しました。
言葉の源をたどることでなんとなく絞り出したという感じでした。

「学ぶ」という言葉は諸説ありますが、一説としては「真似(まね)ぶ」というところから来ていると言われています(その後の調べで「学」という字は日本書紀(8世紀)から、「真似」は日本霊異記(9世紀)から登場していることが判明したのでかなり怪しい説ではありますが)。
その観点から考えると、自分が信頼する先生や先輩、先人の知恵のなかでこれは素晴らしい!という行動様式をよく観察して真似をしつつも、自分にフィットするようにやり方を微調整することによってオリジナリティを出していくことが本来の「学び」ということではないかと思います。

もっともらしいことを言ったものの、言っている本人も?マークがつきながらの回答でした。

答えは一生考え続けるもの

「監獄」にしても、「学習」にしても、自分周りの背景や感じ方ひとつでまったく回答が変わってしまいます。
そういう意味では、時間をかけたとしても決してイコールの答えを求めることはできず、一生、自分の中で微調整しながら回答を求め続けるものなのだと思います。

ただ、このような「ある言葉を別のよりわかりやすい言葉に置き換えて説明をする」練習は頭の体操にもなります。
同時に、そこにいるみんなで考えてみるといろいろな意見が出てくると思うので、意外性など新たな発見につながることもあります。

クイズ同様、年齢層関係なく誰でもチャレンジできるので、授業の導入部分などに入れてみるのも面白いかもしれません。




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