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แกงไทย

たっぷりの生ハーブと発酵調味料のコク。
東南アジア諸国が欧米列強の植民地となる中で、唯一、1238年の建国以来、独立を守り抜いてきたタイは、その食文化も近年まで謎めいた存在で、海外ではほとんど知られていませんでした。インドやマレー料理の流れを汲むように見えて、実はハーブや発酵調味料などを多用したまったく独自のその味わいは、現在では欧米や日本をはじめ、世界に知られるようになって、人々を魅了しています。中でも、こぶみかんの葉(カフェライムリーフ)やレモングラスなどのフレッシュハーブとともに、ココナッツミルク、とうがらし、シュリンプペーストや魚醤(ナンプラー)、パームシュガーなどで味付けし、辛さやマイルドさ、コク味が複雑に絡み合う「ゲーン」と呼ばれる汁カレーは、まさにタイ料理の傑作です。ハーブの調合によって「グリーンカレー」「レッドカレー」などとも呼ばれます。タイは人口の95%が仏教徒(上座部仏教)であり、僧侶以外には特に食の禁忌はありませんが、南部には人口の5%を占めるイスラム教徒が暮らしており、ハラールフードを使った独自の料理が発展しています。特に、カルダモンやシナモンスティック、クローブ、コリアンダーシード、クミン、ナツメッグなどと、レモングラス、シュリンプペースト、魚醤(ナンプラー)、さらにピーナツペーストやココナッツミルクを使った「マッサマンカレー」は、ムスリムであるアラブ商人がタイに伝えたスパイスと、タイ土着のハーブや調味料の両方がふんだんに使われた、タイ南部ならではの何とも贅沢なカレーです。2011年には、アメリカのCNNインターナショナルのCNNGoにより「世界一おいしい料理」に選ばれました。


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