嶋村直登/弁護士(日本、米国ニューヨーク州及びカリフォルニア州)/IT法務

IT法務の企業法務弁護士/大学教員(消費者法他)/情報処理安全確保支援士。所属する組織…

嶋村直登/弁護士(日本、米国ニューヨーク州及びカリフォルニア州)/IT法務

IT法務の企業法務弁護士/大学教員(消費者法他)/情報処理安全確保支援士。所属する組織とは無関係です。問合せは、https://www.mhmjapan.com/ja/contact/form.php?f=1 まで。CIPP/E/US/登録販売者試験合格。第二東京弁護士会

最近の記事

行動ターゲティング広告の個人情報保護法・電気通信事業法以外の規制

 行動ターゲティング広告 ― ウェブサイトの閲覧履歴や検索履歴などのウェブ上での行動履歴から、消費者が興味を持ちそうな広告をピックアップし、消費者の画面にその広告を表示すること ― は、インターネットの世界では日常的に使われる技術で、日本インタラクティブ広告協会は、ガイドラインも出しているところです。  この行動ターゲティング広告に関する法的規制は、多くの場合、2022年4月に施行された改正個人情報保護法上の規制(個人データの第三者提供、個人関連情報規制)や、2023年6月

    • 「値引き」が法律上問題となる場合

       商品やサービス(以下「商品等」といいます。)を「値引き」することは、商品等を販売する際に日常的に行われているものであり、値引きする際に法律に違法するかどうかを検討することはあまりないかもしれません。  確かに、多くの場合において「値引き」が違法になることはありませんが、次に述べるように、一定の場合には、「値引き」が法律上問題となる可能性があります。 1.抽選値引きの場合  抽選などにより値引きを行う場合には、その値引きは、景品表示法における「景品類」に該当する場合があり

      • 相手方の債務不履行により、危機的状況に陥り、種々の出費をした場合の相当因果関係の範囲(東京地判令和5年3月24日)

         今回ご紹介するのは、原告が、被告に食品缶詰の製造を委託したところ、被告が製造した缶詰から虫(ゴキブリ)が発見された事案です。原告は、緊急事態の対応のために、専門業者に危機管理コンサルティング業務を依頼して費用を払い、また、クレーム等の対応のための交通費及び宿泊費、クレームに対する謝罪のための手土産代等並びにクレーム対応のための会議室代等の費用についても支出し、これらが相当因果関係がある損害であるとして、被告に損害賠償を請求しています。 静岡地方裁判所令和4年11月8日(平

        • 「身勝手」、「いい年こいたオッサン」、「無責任」等の表現について侮辱の成立を否定した事例(東京地判令和5年3月24日)

           今回ご紹介するのは、ウェブサイト上での「身勝手」、「いい年こいたオッサン」、「無責任」等を含む投稿について侮辱の成立を否定した事例です。 東京地方裁判所令和3年1月21日(令和2年(ワ)27250号)West Law 2021WLJPCA01218030 事案の概要事実関係 裁判所の判断 解説  本件は、名誉感情を侵害する侮辱であるとして、オンライン上の書き込みについて、発信者情報開示の開示が請求されたものです。名誉感情の侵害については、最高裁判決(平成22年4月1

        行動ターゲティング広告の個人情報保護法・電気通信事業法以外の規制

          「whois情報公開代行」サービスが悪用されたとしても、同サービスの提供事業者は、不法行為の幇助の責任を負わないとされた事例(東京地判令和5年3月24日)

           今回ご紹介するのは、あるウェブサイト上での違法な情報発信により被害を受けたと主張する原告が、「whois情報公開代行」サービスを提供する被告に対し、当該サービスが、ウェブサイト運営者の連絡先情報を秘匿し、結果、ドメイン登録者が違法な情報を発信することを手助けした(幇助した)として、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案です。請求は棄却されています。 東京地方裁判所令和2年11月25日(平成31年(ワ)8875号)West Law 2020WLJPCA11258001 事

          「whois情報公開代行」サービスが悪用されたとしても、同サービスの提供事業者は、不法行為の幇助の責任を負わないとされた事例(東京地判令和5年3月24日)

          「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」に基づく解除が認められた事例(東京地判令和5年3月24日)

          今回ご紹介するのは、BtoBのオンライン利用規約における「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」に基づいて、会社から対象ユーザーに対する契約解除が認められた事例です。 東京地方裁判所令和5年3月24日(令和4年(ワ)第1263号)LEX/DB25608724 事案の概要事実関係 前提となる利用規約 裁判所の判断 解説  オンライン・サービスの利用規約では、会社が「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」という条項がよく設けられています。ただし、この表現は、か

          「その他ユーザーとして不適当と判断した場合」に基づく解除が認められた事例(東京地判令和5年3月24日)