無門関第四十六則「竿頭進歩」②

 無門関第四十六則「竿頭進歩」について、綴っています。
 公案の現代語訳は、こちら。

 今回は、前回の続き。
 前回予告した、「とってもヤバい話」を、数回に分けて綴る予定です。

 具体的な団体名は、ここでは伏せることにします。
「どこで起ったのか」は、今回のテーマには重要ではないと思うので。

 その会は、農業と酪農を基盤としたコミューンの体をしています。
 会員はその団体の敷地で集団生活を送り、農業や酪農に従事し、生産物を分配して食し、余剰生産物を近隣の住民に売り、そのお金で必要な物資を買う。自給自足のような形で生活します。
 一見、牧歌的な雰囲気です。

 さて。
 その会の施設等を見学し、「ここに入会したいな」と思ったとします。
 すると、その会の人から、入会の前に、ある講習会に参加するように勧められます。これを受けずにいきなり入会することは認められていません。

 それは、その会が行う、特別講習です。
 同じように入会を検討している人達が集まり、それを、既に会員である人たちがとりまとめる形で、行われます。
 7泊8日の、合宿形式です。

 さて。
 まず参加するにあたって、担当者から事前に、「この講習は、一生に一度しか受けられません」と説明されます。
 有意義な何かが得られようと得られまいと、その一回こっきりです。
 受け直しはできません。

 そして、それに納得して、申し込みをし、費用を払い、いざ当日。
 人里離れたところにある会場に着いたら、「貴重品や携帯電話はすべて預けてくれ」と言われます。
 講習に集中できるように、邪魔だと思われるものを預かるだけ、最終日には返すと。
 一生に一度きり。やり直しはできません。
 集中できず終わったら、払った費用が無駄になります。
 真面目なあなたは、財布や携帯電話を、貴重品袋にまとめて預けます。

 初日は、和やかに進みます。
 会の理念が、優しい雰囲気の言葉で説明されます。
 創始者の思想も、少し語られます。
 キーワードは、「我を無くす」「執着を無くす」「固定しない」みたいな感じです。
(※その会が使っているワードではなく、表現を変えてあります)

 お金が要らない世界。
 何でもみんなで共有する世界。
 所有に拘る必要がない。すべてがみんなのもの。
 敷地内見学のときにも目にし、説明されたことが、少しだけ語られます。

 食堂でみんなで食事をします。
 食事メニューは基本的に、会員が作った食材を使って作られます。
 調理は会の人が行いますが、配膳や後片付けなどは、受講者が分担して行います。

 広い部屋で、会員が進行役となる講習にみんなで参加する。
 食堂でみんなで食事をし、後片付けをみんなで行う。
 広い部屋でみんな一緒に寝る。
 参加者は、修学旅行や部活の合宿などを思い出すでしょう。
 楽しげに講習会がスタートします。

 初日は、穏やかに進みます。

 本番は、2日目からです。

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