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芥川龍之介の「藪の中」について、あれこれ綴ります。 未読の方は、青空文庫にテキストがありますから、是非お読みください。 ■概要 非常に短い短編です。 文章の最後まで目を通すだけなら、30分もかからないと思います。 長い時間を必要とするのはそこから先、というタイプの作品。 黒澤明の映画「羅生門」の原作となった小説です。 芥川は「羅生門」という題の小説のほうが有名なので、集客のことを考えて、映画のタイトルと、いわゆるお白洲の舞台設定だけ、羅生門に変えてみた、と
芥川龍之介「藪の中」について、綴ります。 今回は、前半四人の証言について、それぞれ個別に考えます。 次回、後半三人の証言について個別に考え、その後関連させて考えていく予定です。 ■木樵りの物語について 男の死骸の発見者の証言です。 私には、この作中の登場人物の中で、この木樵りの証言が最も信頼がおけるように感じられます。 その根拠は後述しますが、木樵りの証言は、まずそのまま受け取ってもよかろうかと、私は判断しました。 木樵りが発見した死体の状況は以下の通
芥川龍之介「藪の中」の考察について、綴ります。 今回は、後半3人の供述について。 後日追記編集するかも知れません。 なお今回は、3人の供述について、「事実として話していること」と「主観による推測」は記していますが、「嘘や隠蔽」を詳細に判別するということはあまりしません。それは次回以降の予定。 今回はあくまで「こう供述していた」「それによりこう考えられる」程度のことを記す予定です。 ■多襄丸の白状について 本件の容疑者として捕らえられたのは、多襄丸という盗人で
芥川龍之介「藪の中」について、綴ります。 今回はまず、時系列のまとめから。 ■時系列 ほぼ事実と思われることを列挙します。 日時不明 武広と真砂が結婚する。 昨日 武広と真砂がふたりで若狭へ出立する。 昨日午頃 旅法師が武広と真砂を、関山から山科への路上で見かける。 昨日午少し過ぎ 多襄丸が、武広と真砂と出会う。 この間、多襄丸と武広と真砂との間で何かがあり、武広が死ぬ。 昨日午後7~9時 多襄丸が、粟田口で捕らえられる。 今朝 木樵
芥川龍之介「藪の中」の考察を綴ります。 今回から、多襄丸、真砂、武広の供述について、綴る予定です。 今回はおそらく、藪の中に3人が入るあたりまでになるかと思います。 真砂と武広は二人とも、真砂が手込めにされた後のことから語っており、それ以前のことについては供述を残していません。 ですから、多襄丸の供述をベースにして考えます。 ■藪の入り口に着くまで 武広と真砂が、武広の故郷、若狭に向かう途中、多襄丸が二人を見かけたのが、事態の発端です。 偶然目にした真砂
芥川龍之介「藪の中」について、綴ります。 今回から、事件の核心について考えます。 ここからは、3人の供述が、はっきりと食い違ってくるので、捉え方が非常に難しいです。 ちなみに私は現時点で、黒澤明「羅生門」は未視聴なんですが、あれこれ考えた挙げ句の内容が、万一まるかぶりしてたら、どうしよう。 一通り書き上げたら、その後観てみることにします。 今回は、事件の核心の考察の、序章のような感じになるかと思います。 詳細は、次回以降かな。 ■事が済むまでのこと 多