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【前編】話題の新刊!〜「ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの挑戦」を読み解くために

こんにちは!島子屋のちーちゃんです。
ゆるゆると月2〜3のペースでオンライン勉強会をつづけている島子屋ですが、
その最大の目的は、社会を変えるための調査活動の実施にあります。

「屋久島、離島だからこそできる教育ってなんだろう?」
を切り口に、現在さまざまな文献や論文を読み込んでおりまして、
せっかくなのでその一部を紹介したいとおもいます^^
島子屋のことをもっと知りたいという方は以下の記事をどうぞ!

さて、先日の勉強会で取り上げた

私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む
ポール・タフ著 英治出版

非認知能力の大切さが科学的知見から明らかにされ
非認知能力を高める具体的な方法まで言及されていました。
・・・
要するに「非認知能力の教科書」みたいな本。
この本についてはちげさんが以下の記事にまとめてくれてます。

ちなみに著者のポール・タフ氏は
元々は子どもの貧困と教育政策を専門とするフリーのジャーナリストなんですね〜。
ポール・タフ氏の著書は論文が多く掲載されているので島子屋でもたくさん参考にしています。

そしてそして
つい先日、ポール・タフ氏の新刊を入手しました!

ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの挑戦 貧乏人は教育で抜け出せるのか?
ポール・タフ著 みすず書房

ポール・タフ氏がジェフリー・カナダ氏に対して
5年以上にわたるインタビューや対話を通じて書きあげた本。

ハーレム・チルドレンズ・ゾーンという教育プログラムの一環でおこなわれる
とある学校の入学抽選会場の様子からはじまると、まるで物語を読んでいるかのような気分になります。

しかし正直なところ、時系列ですすむ壮大なストーリーは
一読では理解できない部分も多くあり、、

ドキュメンタリーとして読むのも良いんですが
本書に登場する専門用語や論文などの背景知識を頭に入れておくことで
よりわかりやすく、おもしろくなる印象があったので
今回は、ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの挑戦
読み解くための手がかりをポイント解説していきたいとおもいます!

これからこの本を手にとってみたい人はもちろんのこと、
子ども・教育に関心のある人
アメリカの子どもの貧困対策・教育政策について詳しく知りたい人
はぜひ読みすすめていただけるとうれしいです。


【ポイント①】ジェフリー・カナダ氏とハーレム・チルドレンズ・ゾーン

まず私が疑問におもったこと、それは・・・
ジェフリー・カナダって何者やねん!
え?アメリカなのにカナダ?
ハーレム・チルドレンズ・ゾーンっていうのも一体何なんだろう、、
読みはじめた瞬間、カタカナだらけでもう頭に???だらけでした笑

本書の主人公であり超重要人物であるジェフリー・カナダ氏は
ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの創設者です。

ハーレム・チルドレンズ・ゾーン(HCZ)とは、
アメリカのニューヨークのなかのハーレム地区=特別教育地区のこと。

ハーレム地区には、3000人を超える子どもたちが暮らしています。
ちなみに屋久島の年少人口(0〜14歳)は2010年で2000人超。
屋久島と比べてハーレム地区における子どもの人口は1.5倍という規模感です。

しかしながら、ハーレム地区に暮らす子どもの60%が
貧困ラインより下の水準に位置しています。

その子どもたちに対してHCZで何をしているかというと、
あとでくわしく説明するチャーター・スクールを設立、
・3歳以下の子をもつ保護者向けの子育て学級
・公立学校に通う児童のための学習補助と放課後指導クラス
・ティーンエイジャー向けの個別指導
などなど、なんとまあ多岐にわたること。
幼稚園から高校までの学習指導を一手に引き受けていて
さらにはチャーター・スクールの校内には病院まであるんだとか!

HCZは、乳幼児から高校生までを対象とした教育・福祉・医療の包括的なプログラムというわけです。

そして読みおわったあとに見つけたのがこの動画。

ジェフリー・カナダ氏のTED Talks!
おーっと!これを先に見たかったなあ、、汗

ジェフリー・カナダ氏は、このTED Talksにて
ユーモアを交えながらも50年あまり変わらない
既存の教育システムに疑問を投げかけています。

同じことをしていたって当たり年なんてないんだよ!ワインじゃないんだから!!
みたいなこともおっしゃっています。たとえが秀逸すぎて17分があっという間です。


【ポイント②】チャーター・スクールって?

さてさて、HCZの大黒柱ともいえるのがプロセスアカデミーという名前のチャーター・スクール。
わたしはチャーター・スクールといわれて全然ピンとこなかったんですが、

「チャーター・スクール」とは、「チャーター(特別認可)」を受けて開校する、新しいタイプの公立学校のことである。
http://www.hrnet.co.jp/terrakoya/column/j.html より

調べてはじめて知ったんですが、日本にも(小規模)特別認可学校があるようで。

日本の特別認可学校は、過疎化がすすんでいる地域で
たとえば本当は行くはずだった(校区として指定されていた)A学校ではなく
B学校に通っていいですよ〜という制度。
就学すべき学校以外に就学できる制度です。

対して、アメリカの特別認可学校(チャーター・スクール)は
民間や個人が審査をパスして学校そのものを開校しちゃいます。
校風はさまざまで、国語や算数などの教科教育をおこなわない学校もあるのだとか。
チャーター・スクールは全米で2000校(公立校の約2%)ほど。
そんな数あるアメリカのチャーター・スクールの一つであるプロセスアカデミーは
幼稚園から高校までの一貫校。なんと学費は無料!
政府援助と民間企業からの寄付により運営されています。

アメリカにはほかにどんなチャーター・スクールがあるんでしょうかね〜
そんなことも気になりつつ。
日本とアメリカの教育制度も改めて比較してみると興味深いです。

というわけで。
お伝えしたいポイントはまだまだあるんですが
読み解くために重要なカタカナたちをざっくりと説明したところで
また次回にいたしましょう。
それでは、また!

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