見出し画像

【後編】子どもに○○は厳禁?!〜島子屋オンライン勉強会vol.4〜

こんにちは!島子屋のちーちゃんです。
先日の4回目となる島子屋オンライン勉強会。

前編につづき、後編では「モチベーション」を扱います!

ちなみに前編ではマインドセットについての本を解説しました。
興味ある方はぜひご覧ください^^

そして、今回の参考文献がこちら。

画像1

「モチベーション3.0」ダニエル・ピンク、2010、講談社

豪華二本立てで解説している「マインドセット」と「モチベーション」。
どちらも数値化できない内面の力=非認知能力という点では同じですが、意味合いは異なります。

つまりどういうことかというと、
マインドセットが標準装備の心のあり方だとしたら、
モチベーションは、やる気を引き出すためのスイッチのようなもの。

より「質の高い」マインドセットとモチベーションを合わせ持つことで、
子どもの日常、さらに将来はより豊かなものにできるのではないか。

ということで、今回はモチベーションについて理解を深めていきたいと思います!

モチベーションとはなんぞや

画像2

ところで、そもそもモチベーションとは何でしょうか?

モチベーション【motivation】
①動機を与えること。動機づけ。誘因。
②物事を行う意欲。やる気。                 (広辞苑より)


モチベーション=やる気と捉える方も多い気がしますが、
本書では、
モチベーションを①動機づけの意味として使用しています。

また、モチベーション=3つのOSとして例えています。

モチベーション1.0・・・生存を目的とする人生最初のOS。
モチベーション2.0・・・信賞必罰に基づく、与えられた動機づけによるOS。
モチベーション3.0・・・自分の内面から湧き出る「やる気!」に基づくOS。

モチベーションについては以前、
「私たちは子どもに何ができるのか?」という非認知能力を伸ばすための視点から
外発的動機づけと内発的動機づけという形で解説しました。

つまり、ここでいう外発的動機付けはモチベーション2.0、
内発的動機付けはモチベーション3.0ということになります。

もうみなさんおわかりかと思いますが、モチベーション3.0=内発的動機こそが、今を生きる私たちにとって必要なOSであるということです。

報酬は逆効果?

画像3

この事実を裏付けるような、モチベーションについての興味深い実験があります。

自由遊びの時間に絵を描く子どもたちを
①「賞がもらえることがわかっている」
②「賞をもらえることを知らない」
③「何ももらえない」
グループに分類しました。

①のグループは絵に対する興味を大幅に失い、絵を描く時間も少なかった
②と③のグループは絵に対する興味を持ち続け、絵を描く時間も長かった
という結果になりました。

この研究では、元々モチベーション3.0(内発的動機づけ)により行動していたとしても、報酬の存在を知ることでモチベーション2.0(外発的動機づけ)に変わってしまい、その結果としてやる気が損なわれてしまう可能性が示唆されています。

要するに、
私たち大人が良かれと思いやっている子どもへの報酬は、
実は逆効果であるということがいえます。

子どもが自ら「やりたい!」と思っている子どもが
「お手伝いをしたらおこづかいをあげる」
「テストで満点を取ったらゲームを買ってあげる」などと言われ
ご褒美=報酬を得られると知ったその途端に
やる気を失ってしまうおそれがあるということです。

モチベーションがもたらすものとは

画像4

またモチベーション3.0のOSにより、
人は自律性、熟達、目的の最大化を手に入れることができるといいます。

工場のようなただ淡々とこなす仕事と、会社の中でプロジェクトを達成するような仕事をイメージすると理解しやすいかと思います。

要するに、
会社の中で自分で選択する権利(自律性)があり、仕事に没頭(熟達)し、
会社の利益ではなく自分自身の目的を追求(最大化)できるということ。


これが当たり前のように感じる仕事に就いている方も多いかと思いますが、
資本家と労働者という階級が今よりもはっきりと存在していた頃にはなかった権利であり、その時代の動機はまさに「モチベーション2.0」、報酬による外発的動機づけであったのです。

これまでビジネスで例えてきましたが、
このような利益重視のモチベーション2.0から目的重視のモチベーション3.0に移行するということは、

教育のあり方も大きく変化する必要があるということがいえます。

利益を重視するために「みんな同じ」でよかったことが、
「それぞれちがう」目的を最大化させることに重きが置かれるようになっています。
既存の教育制度は、この激しい社会の変化にどれだけ対応できているのでしょうか。

本書の中でも、教育については「子どもを助ける9つのアイディア」として
「モチベーション2.0」に頼りがちな学校社会で「モチベーション3.0」を育む具体的な方策まで言及されています。
(興味のある方はぜひ本を手に取ってみてください!)

おわりに

画像5

さて、これまでざっくりとモチベーションについて解説してきました。

さいごに非認知能力からの視点をお話ししましょう。
今回の勉強会では、非認知能力の個々の能力をはじめて扱いました。
数ある非認知能力の中で、なぜ「マインドセット」を「モチベーション」を題材として選んだのか。

それは、「マインドセット」と「モチベーション」については、率先して質を高める必要があると考えているからです。

たとえば集中力と創造性を例にしてみましょう。

物事を効率よくこなすには集中力が欠かせません。
逆に、アイディアを生むための創造性が高まるのは、さまざまなことに思いをめぐらせる状態であるということがわかっています。

つまり、非認知能力は高ければ高いほど良いというものではなく(そもそも数値で測りようがないのです)、
どの場面でどのように使うかが大切であるということがいえます。

ただし「マインドセット」と「モチベーション」に関しては
どのような場面でも役に立つ力であるということがいえます。

もちろん、ほかの力が重要ではないというわけでは決してありません。
ですが人間というものは、
「成長マインドセット」という標準装置があり、「モチベーション3.0」というスイッチがあるからこそ、自身の力を花開かせることができるのではないか。
2つの力を私はそのように位置づけています。

またまた長くなってしまいましたが、
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は
非認知能力×自然体験
屋久島で教育にかかわるうえで必要不可欠なテーマを扱います。
おたのしみにー!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?