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そうだ、利益をだそう。


 コロナ禍に2店舗を同時オープンさせ、3店舗体制になった「鮪のシマハラ」。私はリーダーとして、当たり前のことを考えるようになりました。それは「利益をだそう。」です。

 正確には利益をだそうではなく、損益分岐点を下げようです。苦戦が予想される2022年度を生き抜くために、つぶれない業態づくりが急務となったのです。

 「鮪のシマハラ」は創業から原価率を無視した店づくりを進めてきました。真にとがった業態は、賢しげな利益計算からは生まれない。想いを込めたマグロを自分たちが納得できる価格で提供する。お客様から愛されさえすれば、原価は後からなんとでもなる。このnoteでも何度もポストした私たちの想いです。

 そして「鮪のシマハラ」は確実に前進しています。3店舗体制になったのです。もうどんぶり勘定は卒業です。苦戦している新店舗を神保町本店がカバーする、しっかりした飲食店企業に変身しなければなりません。「鮪のシマハラ」は黒字になれる店舗から黒字になり利益をだします。

 コロナに苦しんだこの1年間、私たちは原価を下げるためにマグロと徹底的に向き合いました。私たちは、どんなマグロを提供したいのか。原点に戻って考え直しました。

 その答えが、「原価を下げるために、仕入れ値がより高いアイルランド産天然本マグロをメニューの主軸に据える。」です。

 これまで私たちの看板メニューは「マグロの刺身全部盛り」(タイトル写真参照)でした。本マグロとインドマグロの大トロ、中トロ、赤身、を食べ比べて一人前980円。私たちの全てを注ぎ込んだ商品でした。この商品を980円で提供することに意義がある。そう信じて疑いませんでした。

 ただ1,000円以内という価格にこだわり過ぎた結果、提供するマグロは天然物ではなく養殖物でした。ここにメスを入れるしかない。それ以外に私たちが適正原価でコロナ禍を生き抜く方法はない。「やはり天然物だ。天然本マグロを看板商品として扱おう。」私がそう決断するまであまり長い時間は必要としませんでした。

 創業時には持ち合わせていませんでしたが、現在の私にはある信念があります。それは、「適正価格を頂戴することから逃げてはいけない。」です。創業から1年間現場で接客を担当した私は、多くのお客様からこの信念を学びました。

 心を込めたマグロを適正価格で提供する。そうと決まれば簡単です。現在の私たちの看板メニューは「アイルランド産天然本マグロ盛り」。価格は980円から1,380円となりました。アイルランド産天然本マグロのカマトロ、中トロ、赤身、鉢の身、を食べ比べる自信作です。来店者の80%以上が注文する主力メニューです。

 看板メニューの売価を恐れずに上げること、使用するマグロ部位と加工方法を見直すことで、私たちは原価の圧縮に成功しました。

 コロナ前に45%であった神保町本店の原価率は、2021年12月現在で32%です。FLRコストは62.8%です。はい、十分利益が出せる店舗に成長しました。2022年前半は、神保町本店が苦戦する新店舗を支えていきます。

 コロナもまた無駄ではありませんでした。なぜなら、私たちはまた商売の真理を学んだからです。「適正価格を頂戴することから逃げてはいけない。」なんか、もう、「鮪のシマハラ」ますます無敵でしょう。





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