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教育者・指導者(それ以外のみんなも)必見!:アルフィーキッチンを教育者の視点から解く

お腹が痛くなるほど笑うので、何度も見たくなるのですが、何度も見るうちにThe ALFEEの3人のコミュニケーションや行動が、教育現場での理想の姿だなぁ、と長年学校の先生をしている私は思うのです。 (*アメリカで教師をしています)

*2023年6月に再編集・加筆しています。

The ALFEEというバンドをご存知の人は多いと思いますが、その3人がかわいくて、面白くて、中毒性の高い料理番組をしていることを知る人は(一般の方は)少ないのではないでしょうか?
毎年の夏のイベントで購入できるDVDパンフレットに収められている特別映像のひとつなのですが、最近は動画サイトでファン以外の方も見る機会があり、この動画がきっかけでアルフィーにハマる方もいるようです。

*アルフィーさんは公式ゆーつーぶがありませんのでファンの方がアップした動画です。次の夏に公式のDVDが発売された時には是非購入して見てくださいね!

この番組(ではないのですが、便宜上そう呼びます)は純粋に、
前期高齢者・3人合わせて200歳の男性3人(*2023年1月の時点で合計204歳!)がキッチンで何かを作るためにわちゃわちゃするのを楽しむもの
で、これを手本に同じものを作ってみてください、という3分クッキングのような位置付けではありません。

見ていただければわかるのですが、大体どれも奇想天外な高見沢さん(ロン毛:エレキギター)が予想もつかないことをしてドジっ子ぶりを晒し、坂崎さん(メガネ:アコースティックギター)が手ほどきしながらお母さんの様にフォローをし、桜井さん(サングラス:ベース)がツッコミをいれつつもテキパキと動き、高見沢さんを思いやる優しい言葉と美しい笑い声で場を収める、という流れです。

ステージ上では3人とも68&69歳とは思えないパワーで会場に集まる観客を魅了する格好良さなので、キッチンで試行錯誤する様子が可愛いやら面白いやらで、そのギャップにヤラレる人が多いのでしょう。

学校の先生・生徒、お父さんお母さん、教職を取ろうという大学生、みんなに見ていただきたいのですが、もっと枠を広げるならビジネスの場でもチームワークの成功形・理想形をこの番組に見ることができます。
仕事の現場でチームとして働く人・指導者にも以下のリストと共にアルフィーキッチンを見ていただきたい!
そしてそれ以外の方は普通に面白いので見ていただきたい笑!

*番組の様子を交えながら理想の10ポイントを解説します


ポイント1<まずやってみる!>

固定観念にとらわれず、ゴールを想像しながら始めてみる!
独創性を生み、プロセスを考える力や、1で10先のことを予測できるようになるか、など “やってみる”ことの利点は多いです。実験でもリサーチでもものづくりでも、とにかくまず行動する!
米を炊いたことのない高見沢さんも米と水を同時にいれるという “やってみる” をはじめに、色々と新しいやり方を見せてくれます。たまねぎを鍋に入れたり、カツを取り出す下りがそうです。

ポイント2<否定せずフォロー>

チームの中での誰かの失敗を否定してしまうと、チームとしてそこから進めなくなります。桜井さんのように おい、なにやってんだ〜と失敗を指摘しつつ、笑いながらもその失敗自体は否定せずフォローすることはチーム・クラスのモチベーションを保つには不可欠です。

ポイント3<手順(ディレクション)を追う>

ステップを読み、理解し、実践に移す、又はそこに書いていないことも読む、書かれていないことをどう補足するかを考える、などグループでのタスクや個人でもテスト問題を理解する力などをつけるために役立ちます。坂崎さんが得意です。きちんと読みながら一つ一つステップを踏んで料理を進めます(そして美味しそうなマーボー豆腐ができあがります)。

ポイント4<上手にできたら認めてもらう・上手に出来る人がいるならその人に頼む>

主に高見沢さんが桜井さんに色々とやってもらう時に可愛くお願いします(”やって〜やって〜”)そして高見沢さんが上手に出来たことは桜井さんと坂崎さんが全力で褒め、認めてあげます。
誰が何を得意なのか、助けが必要なのかをわかりあうのは大切です。
クラス・チームでは役割分担と共有がうまくやれているかにより、時間短縮、結果の満足度、チームへの信頼度などが変わります。

ポイント5<人の動きを見て学ぶ>

読まずとも、言われずとも、観察することで学ぶことは多いです。成功も、プロセスも、失敗も学べます。色々と苦手な高見沢さんですが坂崎さんと桜井さんが動く様子を見て“そうやってやるんだ〜上手〜”ときちんと見て学んでいることを相手にも伝えています。黙って学ぶのではなく、見ている相手にも言葉にして伝えることによって、感謝や感心、君から学んでいるよ〜というポジティブな気持ちが伝わり相互理解が深まります。

ポイント6<小さな成功を声にして喜ぶ・ポジティブな言葉をかける>

アルフィーキッチンで毎回思うのが3人とも些細な成功を喜びあい、うまく行かないことでも、ポジティブな言葉を掛け合うのを自然にやってのけていて、本当に素晴らしい! 
教師としてこんな風に小さな成功に気づいてあげて、全力で褒めてあげたいといつも思っています。
生徒同士・チームメイト同士がこんな風にコミュニケーションが取れたら無駄な競争心や嫉妬などがなくなり、お互いの個性を認めあう空間が作れると思います。アルフィーの3人が仲がいいのはこのような小さくとも大切なことをおろそかにせず、自然に日常的にやっているからでしょうね。

ポイント7<一歩先の危険を知らせる>

やっている本人には見えない危険がせまると、チームメイトがすかさず声を掛けます。過去の失敗や苦い経験を他の人とシェアする・されることによって“想定内”の事柄が増えていき、より良い方法を見つけるようになります。
桜井さんと坂崎さんが“お母さん”のように動く時はこういう時ですね。高見沢さんには見えていない危険をサッと察知して安全な方向へ誘導する・・・桜井さんの様な上司・教師になりたいものです。

ポイント8<隣が面白いことをやってそうなら遠慮せず見る>

一人で黙々と作業をこなすのが必要な時もありますが、楽しそうな様子が見えるなら・聞こえるなら“なになに〜”と向こうを見るのはいいことです。
見る側は自分がやっている作業(もしくは似ている作業)が違う方法・楽しめる方法で出来ることを知り、見られる方は説明するという機会が生まれ、もっと自分の作業についての理解を深められます。
坂崎さんは一人で懸命に料理をするのですが、隣で楽しそうに笑う高見沢さんと桜井さんが気になるのでしょうね、ついつい“何してるの〜?”と見にいきます。

ポイント9<出来上がったものを美味しく食べる・美味しい美味しいと何度も言う>

アルフィーキッチンではお料理ですから3人で美味しいね!美味しいね!と何度も言いながらそれぞれの努力の結晶(ほぼ桜井さんと坂崎さんの成果)を楽しんで食べます。
ちょっと行程に難があっても、見かけが悪くても、塩と砂糖を間違えても、アルフィーの3人は 心の底から 美味しいねーー上手に出来たねーー と結果を讃え合います。
教室の中・仕事の場で起こるのはプロジェクトであったり発表であったりしますが、全部終えた後に結果を(どうであれ)讃え合うのは次へのモチベーションに確実につながります。
何かを作り上げて、それで終わり。ではなく、終わりを思いっきり楽しんで褒めまくって、あ〜次はもっともっといいものにしたいなぁ、と感じるのは大切な学びです。テストが終わって、プロジェクトが終了して、それを見返しながら良い点をたくさん見つけることがもっと伸びる秘訣です。

ポイント10<たくさん笑う>

一番大切なのはこれかな、と思います。アルフィーは何でも、とにかく楽しく進める!そして一緒にたくさん笑ってどんどん前に進んでいく
私がクラスで一番重要に感じているのは楽しいという気持ちです!
新しい事を学ぶ、みんなに会う、先生と話す、そんな日常が楽しいから学校に来るという生徒が増えるといいなぁ、と願っています。
学校でも仕事でも笑うことはストレス発散になり、一緒に笑えば感情の共有になり、仲間意識が芽生え、互いを支え合うことにつながります。

アルフィーは2023年で結成50年目を迎え、その間ずっと解散の危機も仲違いもなく、文字通り楽しく3人で音楽をしてきました。

そんな人生の大先輩がキッチンでわちゃわちゃする様子から、私たちが学ぶことはもっともっとありますね。
彼らの音楽はいつの時代も本当にかっこいいのですが、いつかの高見沢さんの名言 ”音楽は人間性だ” に納得してしまいます。
カッコよくて、可愛くて、愛溢れる彼らに私たちはいつまでも惹かれ続け、3人を全力で愛し続けるのです。

アルフィーキッチンは面白いなぁと笑うだけではなく、感心や感動や感激に溢れるコミュニケーションのお手本がギュっと詰まった素晴らしいエデュテインメント(edutainment=education+entertainment)なのです!

シマフィー

かっこいいアルフィーさんはこちら!びっくりするほどかっこいいよ!

*アルフィーさんは公式ゆーつーぶがありませんのでファンの方がアップした動画です。カッコ良すぎる姿を確認した後は、是非CDやサブスクなどの”正しい方法”で聴いてくださいね。

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