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転職の壁

2回目の面接の前にレファランスのリストを送って欲しいというボイスメールが残されていた。
夏の初めに近所の大学で求人がありダメ元で応募してみたら、面接に呼んでいただき、その時に面接を仕切っていた教授からの電話だった。

ここ10年以上は現在勤めている高校で(アメリカ東の私立校で教師をしています)面接をする側だったのでどんな質問が来るかは大体予想がついたが、8人の面接官(学部長や教授など)からの質問に正直に答えつつもあまり手応えはなかった。
面接のこちら側に座るのは想像していたよりもドキドキするものだと感じていたが、私は”選ばれなくても全然OK"な状況なのを逆手に割とリラックスしていた。
そんな面接の中で何かが気に入られたのだろう。
2次面接に呼んでもらえるのは最終候補の2、3人なのでちょっと身構える。

というのも我が校はすでに先週から新年度が始まっており、この2回目の面接には休みをとって向かわねばならない。学期始まりであわただしく、また新入生たちの世話や新人の教師のサポートも忙しいために最終面接を受けるべきかどうかちょっと悩んでいる。
といいつつ、この大学で私の専門分野の募集はほぼないのでもし大学職員に戻りたいならばこのチャンスを逃すわけにはいかない。

メッセージを聞いて以来、ずっと心の中で色んな思いがぐるぐるしている。

我が校の全てが好きなわけではないが良いことも多数あり、何よりも愛着がある。
しかし日々の通勤時間が年々ひどくなる渋滞により精神的に辛い時も多い。
州立大学なので退職後に年金がでるのはありがたい。
教授職ではなく3つのキャンパスを取り仕切る管理職なので専門分野とはいえ自分の性格上どうかな、とも思う。
新しいチャレンジはつらくても楽しいし知らない世界で一から始めるのもわくわくする。
お給料は今よりいいと思う。休みは減ると思うけどどうだろう。

色んな思いがぐるぐると巡るがやっぱり転職の壁は生徒たちだ。

辞める、とわかると現在の生徒、卒業生、仲良くしているご父兄、どう思うだろうか。
みんな私はこの学校で退職のその日まで教室にいるはずだと信じているはずだ。
もし本当に転職するなら、彼らが泣くより先に自分が泣くと思う。


まだ最終面接を受けたわけでも、オファーを貰ったわけでもなく、心のぐるぐるは全くもって無駄なのだがやっぱりぐるぐるしてしまう。
いっそのことレファランスの誰かが ”あぁ、シマ先生、我が道を行くで言うこと聞かないのでやめたほうがいいですよ” って言ってくれないかな、とすら思う。

シマフィー

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