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避難訓練(アメリカ版)

日本の学校での避難訓練はどんな事態を想定してのことでしょうか。
地震か、火事か、洪水か・・・そんな天災が思い浮かびます。

私の勤める学校でも定期的に避難訓練があります(*アメリカの私立校で教師をしています)。
校舎内での火事を想定した Fire drill ファイヤードリルが主なのですが、アメリカならではの避難訓練もあります。

銃を持った人間が侵入してきた時を想定した Active shooting lockdown drill アクティブシューテングロックダウンの練習です。

今日はロックダウン訓練の日でした。

何時間目にあるのかは知らされず、普段通りの授業をしますが、突然校内放送が流れ ”銃を持った人間がいます。速やかに指定の場所へ!”と聞こえたら静かに素早く窓がない地下の部屋へ移動します。
電気を全て消し、ひたすら声を潜めて、動かずしゃべらず、セキュリティーのおじさんがドアをノックして ”もう大丈夫ですよ” と告げるまで暑かろうが寒かろうがそこにただじっとしておらねばなりません。

最初の1、2度は生徒たちもガヤガヤと浮かれており全く真剣さが感じられませんが、何度も行ううちに ”こんなに練習するのだから、本当の事件がありうるのかもしれない” という危機感を持ち自然と責任ある行動をするようになってきています。

今日の訓練は15分で終わりましたが、部屋を出る時に生徒たちが静かな口調で ”もしドアを蹴破られたらどうなるのかな” と話しています。
そのグループのフットボール選手の男子が ”大丈夫、俺が得意のタックルでやっつけるから!” と笑いましたが、これまで数ある学校での襲撃で果敢に犯人に向かい、盾になり、犠牲になった生徒たちが全米のあちこちにいることを知っている私は胸がキュッとなりました。
タックルをする、という生徒は普段でも正義感が強く誰にでも優しい子です。彼ならとっさにそんな行動をとるだろう、と思いました。

こんな訓練、いつかなくなる日が来て欲しい。
15歳の子が正義感や思いやりの行動で銃弾に倒れることがない日が来て欲しい。

暗い部屋から明るい部屋へ向かう廊下でちょっとだけ涙でうるうるしてしまった訓練でした。

シマフィー 

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