きっちり3日後に死刑
なんだかぶっそうなタイトルだが、これは今日私が生徒にしたアドバイスなのだ。
彼はヘロヘロに弱っていた。涙をうっすらと浮かべながらガールフレンドに振られたのだがまだ未練があり苦しい、との訴えだった。
ここ何日もご飯が喉を通らず眠れずやる気も起きない、と世界の終わりのような表情の彼だったが話を聞いているうちに、15歳の恋愛も35歳も恋愛も終わりは似たような顔なのだなぁと思っていた。こんな顔をした35歳の男を前に見たことがある。
彼はもうこれから先どう生きていくのかわからない(大袈裟な)と言っていたが、もちろんこれからも宿題をやりテストを受けテニスを頑張り、ランチを食べたりアイスを奢ってもらったしながら生きるのだ。ただ今の彼にはその姿が想像できないのだろう。彼女がいなくなって楽しかった日常が無くなったのだ。
話を聞きながらいろんなアドバイスをしたが、その子は煮え切らないように聞いた。
”先生はこれまで苦しい失恋をしたときどうやって乗り切ったの?”
その答えが ”きっちり3日後に死刑” だった。
何かをくよくよ悩んだり後悔したりしないことに決めたのは22歳くらいの時だったと思う。大きな別れがあった時に、それまでの経験からこれはしばらく落ち込むかもしれない、と我が身が心配になった。
なのでその時に決めたのだ。くよくよの自分は3日間しか生きられない。きっちり3日目にくよくよの私は死刑になる。その後はまた新しく生き返った私が新しい人生を送るのだ。
その言葉を聞いて彼はポカンと口を開けた。
3日間は泣いても喚いても枕をぽかぽか殴っても悲劇のヒロインぶってもいいよ、でも3日後には約束通り終わるんだよ。
”わかった” とやや晴れやかな顔で教室を去ったけれど、15歳へのアドバイスとしてはどうだっただろう。ふさわしくなかったかもしれないな。
私は何度も”きっちり3日後に死刑” をやってきた。恋人に浮気された時、誰かに騙された時、仕事でヘマをしたとき、自分の馬鹿さ加減や力の限界を感じた時。
でももう何年もくよくよな自分を死刑にしていないな。人生が平和で楽しいってことだなぁ。
シマフィー
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