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”人間だから悲しいんだ”から繋がる、動物のコミュニケーション

2017年のシングルですが私は最近またアルフィーにハマったので、ついひと月ほど前にこの曲を初めて聞きました。聴いた時にアルフィーが46年も一緒に頑張ってきたこれまでに色んなことがあって、三人が “長年やってることに意義がある”と胸を張って言う意味がしみじみ響きました。

上のPV見てみてください。46年、すごいよ!人間やってるとホントに色んなことがある。この歌は応援歌であり、慰めでもあり、共感や肯定、それぞれの心に違う角度から入り込んできます。

♪人間だから 悲しいんだ 臆病だから吠えるんだ 人間だから 寂しいんだ 愛が欲しいと叫ぶんだ〜 人間だから 悔やむんだ 不安だから不満になるんだ 人間だから 泣けるんだ だから涙を振り払うんだ♪

ところで人間ではないシマリスは愛が欲しいと叫ぶのでしょうか? 人間だから悲しい、人間以外は悲しくないのでしょうか?

今日は人間以外の動物はどうなのかをみてみます。

*お願い:高見沢さんの歌詞は物理的に 人間だから・人間だけ悲しい と言っているわけではなく、文学・哲学・芸術的に表現しているものですので、どうか私がそれを否定していると取らないでくださいね。

1. 人間だから悲しいのか?

動物同士がコミュニケーションを取るのはもう十分なほど証明されています。あらゆる感情を出すのも記録されています。

蜂が8の字ダンスをして蜜の場所を教えたり
イルカが吐き出した泡でいたずらしたり、貝殻を使ってゲームをしたり
鳥類が鳴き声で危険を知らせたり、ダンスや巣の飾り付けでメスの気を引いたり
ゾウが死んだ仲間に寄り添って時間を過ごしたり

では動物と人間の感情・意識の共有はどうでしょうか?

これまでは憶測の域でしかなかった人間と動物の認識の共有(あなたは友達、Sit と言われたら座るなど)はもちろん、感情の表現までもできることはここ最近いろんな科学雑誌や研究論文で取り上げられています。

その中でもカール・サフィーナ(Dr. Carl Safina) 博士は自著 ("Beyond Words: What Animals Think and Feel") や自身のTED talkの中で、意識、感情、共感・同情などこれまでは言語と共に人間にしかないとされていた(そしてそれを語るのはタブーとされていた)ものは同様に動物にもあると断言されています。

実はこの本が出版されたばかりの2015年にサフィーナ博士とお話する機会があり、私の素直な(無知な)“どうやって動物の感情がわかるのでしょうか?”との質問にお答えいただいたことがあります。

博士は “あなたはどうやって友人が怒ってるかな、照れてるな、恥ずかしいのかな、とわかりますか?” と聞かれ、“表情や声のトーンから読み取ります”と答えた私に、“動物も同じです”と答えられました。“表情や声色で嬉しいか、悲しいか、寂しいか、イライラしているのか、わかることもありますよね“ 

もちろん虫や魚など表情自体が読めない動物もいますが、そう言われると犬や猫やハムスターなどのペットや牛や馬などの家畜も、もっと言えばイルカやゾウなども私たちから見ると笑ったり困ったりする顔をします。

サフィーナ博士は動物は人間と同じように感情を顔に出すとは言いませんでしたが、例えばゾウが “笑っている”写真を見た時に “このゾウは嬉しいんだ” と思ってはいけない理由は何もないと言いました。
悲しい顔をしているときは実際悲しいんだ、と思っていいのです。

詳しい科学的な説明はTED talk (日本語の字幕があります)を見てみてください。面白いですよ!はっきりと話していらっしゃるので英語のリスニング練習にも最適です。

2. 人間だから愛が欲しいと叫ぶのか?

具体的に人と動物がどうコミュニケーションを取るかという問題では, 手話で人間と会話したゴリラのココの話がまず思い浮かびます。残念ながら2年前に亡くなったのですが、現在は2頭、手話を練習しているゴリラがいます。
ココは大体1000語を操り、2000語は理解していたと言います。
言葉を繋いで文章にしたり、そこに見えないもの、例えば感情であったり過去や未来の話もできていました。

これを自分に当てはめてみると本当にすごいのがわかります。日本の中学生高校生が2000−3000語の英単語を覚えるのは大変です。
ある研究では台湾の学生たちの50%は9年間の英語教育ののちに英会話に最も必要な1000語もマスターできなかったとあります。
そう考えるとすごくないですか、人間ではないゴリラが1000語覚えるなんて。

ペットの犬にブザーを使って単語を教えたスピーチセラピストのお姉さんもいます。
日本でも去年記事にされていましたので貼っておきますね。

現在、犬のステラちゃんは約50語のブザーを使って意思表示をしています。単語を組み合わせたり、繰り返したり、質問したり、答えたり、とコミュニケーションの幅はどんどん広がっています。このセラピストさんをお手本に自分の犬や猫に、同じようにブザーを使って言葉を教えている人が増えてるようです。(追記8月13日:現在はどうやってステラちゃんに言葉を教えたかの本がベストセラーになっています。ブザーセットもアマゾンで買えます!そして彼女の動画や本を手本に”話す”ようになった犬や猫の動画もたくさんあります!)

幸ちゃんちのトカゲも”おーい、エサ!”と催促することができるようになるかも。

人類全体がもっと他種との感情の共有に真面目に向き合えたら、乱獲や密猟や、虐待や殺処分などもなくなるのかもしれません。意識を向けて観察してみると身近にいる人間以外の動物が 悲しくて、悔しくて、不安になって、愛が欲しいと叫んでいるはず。

シマリスも時々叫んでます。高見沢さんの愛が欲しいーーーー!

シマフィー

朝聴いても、昼間聴いても、夜聴いてもいい曲!

参考文献

“犬にも感情がある、MRIで確認.” ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版サイト, 13 Sept. 2017, natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/091200113/. 

サフィーナ カール. “動物は何を感じ何を思うのか?.” TED, Oct. 2015, www.ted.com/talks/carl_safina_what_are_animals_thinking_and_feeling?language=ja. 

“Communication.” The Gorilla Foundation, www.koko.org/communication/. 

Hunger, Christina. Hunger For Words, www.hungerforwords.com. 

McNeill, Beth Sagar-Fenton & Lizzy. “How Many Words Do You Need to Speak a Language?” BBC News, BBC, 24 June 2018, www.bbc.com/news/world-44569277. 




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