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どんな風? "Catch the Wind"

ポップで爽やかな3声のコーラスから始まる”Catch the Wind" は1981年発売されたアルフィー3枚目のアルバム、ALMIGHTY に入っている楽曲です。このアルバムはB面がスタジオライブ録音になっていてお客さんの手拍子や短いMCなども入っており、更にはポップス、フォーク、演歌、などのいろんなテイストが詰まった素晴らしいアルバムです!

B面の一曲目、高見沢さん作詞作曲の"Catch the Wind"は歌詞を見ると悲しい心を吹き飛ばすために、風をつかもうとしている様を歌う曲なのかな、と思いますね。それはどんな風なのでしょう。

Catch the wind この胸の悲しみを 青空の中へ 吹き飛ばしてくれ
あなたの面影すべてを やさしい想い出に変えてしまうのさ

どんな風?:”不可能 impossible” という風

風を掴む・捕まえる、というのは無理難題で不可能なことです。それを思うと、この彼にとっては悲しみを吹き飛ばし、やさしい思い出に面影を変えるのは到底無理だ、とわかっているのかもしれません。風を自由に捕まえられるなら、自分の悲しみを吹き飛ばしたい・・・でもそんな風は存在しない、捕まえられない、それがわかっていても”風を掴め”と叫びたい、そんな風に足掻いている可哀想な彼が見えます。彼女の面影がやさしい思い出に変わるのはずっとずっと先のことなのでしょう。

どんな風?:”前進 move forward"という風

Catch (a/the) wind とは普通はヨットやセイルボートが大きく帆を広げて文字通り”風を掴む”ことを意味します。風を受けたボートはスピードに乗って前に進みますので、catch the wind は前進するという意味もあります。彼女との恋や思い出は胸の奥に閉じ込めて自分は前へ進む、という強い意思を表しているのかもしれません。見上げた青い空を大海原に例え、そこへ一人で踏み出し前進する自分を思い描いているのでしょうか。

Catch the wind どこまでも広がる 青空を超えて 涙蹴散らしてくれ
あなたの愛のすべてを この胸に深く 閉じ込めてしまうのさ

オマケ:もう1つの catch the wind

なぜ二人は別れてしまったのか・・・以下のBメロ部分を読むとあまりハッキリと原因がわかりませんが長い時間をともにしたけれども結局は別れを選んだのかなと想像できます。つらい恋を置いて、涙一粒バッグにつめていくのは彼女の方なのか彼なのかも曖昧です。

(1番Bメロ)白いスニーカーを履きつぶすように 夢を使い捨てて 別れる二人 壁に書き残した I love you... so... カレンダーめくる度 色あせていった
(2番Bメロ)愛のパズルゲーム 作りかけのまま 心と言葉が 見つからなかった だからつらい恋は 置いてゆくがいい 涙一粒 バッグにつめてゆけ...!

Catch wind (of/that) 〜 は 〜に感づく、〜の噂を聞く、〜を察知する という慣用句です。気づかれたくないこと・秘密にされていることに気づく、という意味です(*theは使わないので注意)

彼が彼女との恋を捨てて思い出にしたのは・彼女が彼を置いて出て行ったのは、どちらかがもしくは両者がもうこの恋は行き詰まっている・もう先はないのだ、という気配を察知したからなのか。

それとも彼女が心変わりをしたという噂を耳にしたのか、もう二人はダメかも、という雰囲気に感づいたのか、知らないで良かったことに気がついてしまいもう後戻りは出来なくなってしまったのか。

以下の箇所から別れてしまうのは苦しいけれど、それ以上続けてしまうともっと苦しくなるから終わりにしよう、という二人が見えます。

別れるから恋は それぞれの胸で美しく輝く
二人の悲しみもすべて きれいな思い出に変えてしまうのさ

高見沢さんがタイトルに選んだ Catch the Wind・・・たった1つの”wind”というキーワードで短い歌詞の中にも色んな世界が広がります。またまた高見沢さんの感性にホレボレしますね!

シマフィー 


*Spotifyをお持ちの方:この曲はシマリスの”風に吹かれるアルフィーさん”というプレイリストの7曲目です。その他の風に吹かれてる曲も素晴らしいのでぜひ全部聴いてみてくださいね!


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