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【無料】しくじりロー卒~俺みたいにならないための10個の「しない」

※写真は筆者の所属等に一切関係いたしません。関係したいくらいだよ。

 こんにちは!しまだです。

 ロースクール時代の思い出をエセ小説風に書き出してみました。

 有難いことにフォロワーさんから「続きを!」と言っていただくこともできました。

 ただですね、書いてみると下記の悩みが生じていて、筆が止まってます。
 ・一応登場人物がいて、同期が読むと誰か一発で分かる
 ・ロー生活の自省録なので、説話説教くさい
 ・面白くしようとするとローの授業への揶揄・批判が多めになる

 1つ目の点はモデルの許可を得ることとして、2つ目の自省録については先にまとめて吐き出すことで多少緩和されるのかなと考えました。
 何より私はローの授業を活用しきれていないので、批判できる資格はありません。逆にローの授業やシステムを活用して合格されていった方は何人もいます。

 そこで、今からロー時代又は入学前に戻れるとしたら、こういうルートを回避すればロー生活を有意義にしながら合格できたかなと考えるようなポイントを、10個の「しない」とともに書き出すこととします。
 今後ローに入学される方にとって少しでも参考になれば幸いです🤡

※筆者は中堅and小中規模のロースクールでの経験に基づき記しています。
 上位and/or大規模ローではかなり勝手も違うことがありますので、その点ご留意くださいませ。
 また、筆者がローに在学していたのも平成20年代中盤です。現在のローとは学習環境が異なる恐れもありますのでその点もご留意ください。

 あと、実験的に「末尾で投げ銭用の課金枠」を設けております。
 スキだけつけていただくのも大変ありがたいですし、ねぎらいとしてご利用いただけますと飛んで喜びます。あんまりないと拗ねます。 

 先に10個の「しない」を挙げます。
1 ローに入れば大丈夫と思わない
2 予習しすぎない
3 予備校本を捨てない
4 盲目的に買わない
5 過去問検討を遅らせない
6 予備試験から目を背けない
7 「1年目の合格」を放棄しない
8 議論から逃げない
9 自主ゼミを多用しない
10 無理にやる気を出そうとしない

1 ローに入れば大丈夫と思わない

 学部4年生のとき、予備校のカリキュラムに圧倒され挫折→上位ローは
悉く不合格→何とか中堅に1校引っかかるという有り様でした。 
 しかも合格が決まるや否やさらに遊び呆け、「勉強はローに入ってやればいつか受かるっしょ!」という体たらくでした。

 しかし入ってみて、そして今になって思うのは「ローの授業はある程度の『基本的知識』があって初めて有効に使うことができる」ということです。
 
 そりゃそうなんすよ。法曹教育を学部にそれまで在籍していた「学者」の方がやるということは(その当否はさておき)、提供する授業は既存の知識に対する「疑問点」の検討が中心となるのは自明の理です。
 ※最近でこそロー教授側も試験を意識して「あてはめ」チックな検討にも目を向けているきらいがありますが、少なくとも私が在籍していた当時は抽象論に対する検討が主戦場でしたし、今もそういう意識の教授が相当数いるはずです。

 「疑問点」を持つことを許されるのは「既存の知識」がある者のみです。
 大工になりたいのにノミもカンナも知らないという愚かな私に、「この道具はどういう種類のものがあるのか」と教授が滾々と説明してくれても無益極まりないのです。

こんな画像あるんですね。

📒「ローに入ったら勉強漬けだから今のうちに遊んでおこう」と考える学部生の方がいらっしゃったら一応忠告いたします。
 予備短答に合格してるならどうぞどうぞ大手を振って行ってらっしゃい。 一番最低限の「基本的知識」は担保されているでしょう。
(ご参考までに有料記事を紹介しておきます。もしよろしければ)

 そうでない方は、短文事例問題集1冊を習得しておきましょう。それこそがロー生活を生き抜く上での一番の「保険」となります。
 これをしておかないとローの授業を活用しきれず、私を始めとするロー校舎の裏に転がる無数の骸の一つになる恐れがあります💀
 
こちらもやり方は有料記事を書いたのでご参照をば。

2 予習しすぎない

 ロー生活において(お金がないことの次に)悩ましいのは、授業に対する予習の時間をどれくらい取るべきか、という点かと思います。

 本当に悩ましいこの問い、、、正直言って正解はないです。
 ソクられ防止のため、法的理論の正しい理解のため、期末を見越した授業の理解度のため、予習をすべき大義名分というのはいくつも存在します。

 そして授業を提供する教授にとっては、学生が自分の要求した課題をこなし判例を読んできてくれれば授業自体は円滑かつ有益に進んでいきます。何よりその教授にとっては授業の中で議論が円滑に進めば気分もよく「学生が伸びた」という理解か誤解か怪しいものを得ることができ、彼ら彼女らにとってはまさに自己実現を得ることができます。
 そんなこんなで教授サイドが「予習はこの程度で良い」と言ってくれることも期待しにくい構造です。

 しかしながら、予習よりも本来大事であることがあります。復習です。
 このときの「復習」は、当該授業のゴールである期末試験に向けてのものではないです。ロー生がゴールにしなければならない司法試験受験のための知識の定着整理です。 

 と偉そうに宣っておりますが、実際私のロー生活における予習と「復習」の比率は既習2年時はヒドイときは9:1という相当バランスを逸したものでした。3年になってからは要領を覚えて比率が変わりましたが、司法試験対策の遅れは顕著でした。

 ローは「温暖な樹海」だと思っています。

ミッドサマーは見たことないですがこんなイメージ

 入っているときは(期末試験を除き)苦しむことは少ないですし「学生」という立場でぬくぬくすることができます。
 ただ、学年主任や研究科長のような人を除き、ローで授業を受け持つ教授の大半はその学生のその後の人生に責任を持ってはくれません。にもかかわらず、彼らは自らに課した(課された)使命に基づき、自らの提供しうる”法教育サービス”を善意のままに提供します。そして学生は「教授の言うことを聞いていたら正しい方向に進める!」と信じ込み、ローの授業の予習復習を中心作業とします。
 その結果、教授の言うことをしっかり聞いていた”優秀な学生”が知らぬ間に勉強の方向性を間違い、かつそのことを誰も指摘しないために本試験通過に苦しむ、最悪の場合は失権するという事例が少なくないのです。

 この問題、法科大学院制度を「是」として存在する以上、これに基づき授業を行う教授が必ずしも悪者とは言えません。彼らは彼らなりに一生懸命です(私も何人もの教授の方々に目をかけていただきました)。
 ただ、その法科大学院制度自体が「否」なる存在、言ってしまえば「司法試験の教育は予備校がすべきだ」という誰も言い出せなくなった暗黙の了解を取り戻してしまえば、たくさん”正しく”勉強した学生が落ちるという不幸は減るのではないかと思ってしまうばかりです。

 ここまで後ろ暗い法科大学院制度への恨みつらみを見苦しくさらしたこと、大変失礼いたしました💦

📒実際にこれから通う人、もう入っている方にとっては制度の文句を言っていても始まりません。ローの授業は試験勉強のために活用しましょう。具体的には以下の点に留意してもらえればと思います。
・予習時間を計測し、最低限これと同程度の時間を本試験対策に充てる
・授業で扱われた論点・項目が手持ちの予備校教材・論証でどのように説明されているかを最低限確認する。
・もう少しできるのであれば、当該単元の短答を肢別で解くor当該単元の短文事例問題集を解く(過去問起案ができればそりゃ受かるよね)

 本試験との連続性を意識してロー生活を送ってください。


3 予備校本を捨てない

 基本書にするか予備校本にするか、この問いがロー入学者をどれだけ悩ませるものか、、、少なくとも私はロー生活の間に迷走し続けました。
 予備校のインプット教材&短文事例問題集を携えて入学→教授の授業用の教材を言われるがままに買い、加えて基本書を買っては試し結局合うものに巡り合えず→結局最初に持っていた予備校教材+基本シリーズに落ち着くも予備校教材を使っていなかったためほぼ一から検討し直しでした。
 
 はっきりとは覚えていないですが、当時ローの授業で予備校本を携えていって教授がいい表情をしているという授業は少なかったものと記憶しています(場合によっては目の敵)。
 
 今でこそロー生が予備校本を持っていても(おそらく)目の敵という場面は少ない、それ以上に学者が書いた予備校本といった趣の基本書の台頭のおかげで教材選びにも困らなくなっているのではないかと推察します。
 
 ただ、そもそも基本書に無理やり変えなくてよいのです。両者は
 基本書=学者が体系や記述間の論理的関係などを気にして書いた説明書
 予備校本=予備校が司法試験を解くために基本書の説明を加工した説明書
 という違いはあるものの、どちらにしても法律学習の「説明書」である点には変わりありません。

 基本書には試験で使いにくいという弱点があり、予備校本には体系的理解や矛盾について自分で考える必要があるという弱点があり、どちらにしてもそのままで「完璧な1冊」であることはありえないのです。

 そしてどちらにしても、司法試験や予備試験の過去問を解く中で「本当に大事な知識は何か」「本当に必要な知識の使い方はどのようなものか」を検討し続けることでしか合格にはたどり着けないのです。

 だから、予備校で学んだ方が予備校教材の弱点を埋める以外の目的で基本書を買い直す必要なんてないのです。

 
📒ロー入学時に予備校vs基本書論争に巻き込まれそうになった方は、自分の手持ちの教材を大事にしてください。
 特に予備校本や教材をメインに据える方は、ローの授業を通して「予備校教材の説明の是非」「予備校教材がどのような点を工夫したり省略しているか」みたいな点を検証するという姿勢で臨んでいってください。必ずや自分だけの武器となります。

 私からしたら、呉基礎本だってまごうことなき「基本書」です。

4 盲目的に買わない

 ちらっと見た方もいるかもしれない、現在非公開の小説においてこのような文を書きました。
 お蔵かもなのでここで供養します(というか引用を試したい)。

 ロー2年目の3年生になったころ、勉強の方向性が見えず、1冊の演習書を試してはもう1冊、基本書がダメなのかと思い次の1冊、と生協に通っては自習席の書棚を肥やす日々が続いていた。それでも一向に成果らしいものは出ない。
 というか成果が出なくて当然なのである。なぜなら本を買うことが目的で、買うことによって安心を得るという「書籍購入中毒者」となっていたからである。1冊1冊を疎かにするだけでなく、冊数を増やすだけで重要な解くべき問題を周回できずにいたために必要な実力がつかなかったのである。
 なお、嶋田と同じくらい基本書・演習書を自習席にこさえていた学生がもう一人いた。おそらく周りからは二人とも「〇〇書店」だの「東名生協〇〇支店」と呼ばれていたのではなかろうか。付け加えると二人そろって1発合格はしていない(彼、元気にしているかな。)

法科大学院よ、さようなら(3)より

 親に申し訳なくなるレベルで基本書・演習書を買い漁っていましたが、本当に実力に寄与しない買い物でした。(本当にお恥ずかしい)。

📒教材を買うときには必ず「習得目的」を明確に持ちましょう。
 また、その教材でその習得目的を得ることができるのか、試しに解いたり確認して検証しましょう。
 最近一番危ういなと思うのは「予備校の宗旨替え」です。変更は慎重に!

5 過去問検討を遅らせない

(5~7は似たり寄ったりな話が続きます)

 ロー時代の私は、無駄に潔癖な「完璧主義」でした。
 
 ローの授業の到達度が低い、論証規範を暗記していない、周りに比べて書くレベルに到達していない、そんな御託ATフィールド全開で起案することから逃げ続けていました。
  本当の意味で本格的に過去問検討を始めたのは、1回目の受験を終えた後でした。何という体たらく。

 予備試験受験生となってからこの「完璧主義」の呪縛から解かれ、学習の中心を過去問検討に据えることができました。この点が合格に寄与したことは間違いないです。
(アガ石橋先生がYoutubeでおっしゃっていた「完了主義」って言葉、大好きです。以下動画間違ってたらごめんなさい🙇)


📒「書けるレベルなってから書く」と言っていたらいつまで経っても書き出す日は来ません。
 シンジ君に倣って、一緒に書き出しませんか?早ければ早いほどいい。

やります。僕が書きます!

6 予備試験から目を背けない

 学部時代から「実力が足りない」ことを言い訳に予備試験受験を全く考えていませんでした。
 今考えると短答だけでもいい経験ができるのに本当にもったいないなと思います。特に、お尻が決まっている予備試験の方が勉強にメリハリがつくため、ローでのんべんだらりと過ごしているよりも何倍も伸びるという点を享受し損ねたことが最大の後悔です。

 何よりもったいないなと思うのは予備論文の過去問検討を疎かにした点です。個人的見解ですが、予備と本試験の問題はそのままでないにしても相互に「出し合い」を行っています(実は地味に本試験と予備口述もそういう関係にあるのではと見ています。そのために口述を再度解く気にはなりませんが、論点を見ておくのは良いかもと思います)。
 下手な予備校問題で予想するよりも何倍も出題予想になると思います。

 本試験だけしか受けないロー生も絶対に検討すべきです。
(予備過去問検討についてはこちらも記事を書きました。)


📒実力が足りなくとも準備をして予備受験に挑戦してみましょう。
 挑戦しないなら予備過去問は覚えるまで検討しましょう。

7 「1年目の合格」を放棄しない

 在学中受験のなかった当時、卒業後するに来る受験1回目は全く合格する気がありませんでした。
 合格発表も全くドキドキせず、確か旅行の帰りにさらっとスマホで確認して「ハイダメでした~」と家族に報告してました。

 ただ、本当にこの態度は良くないです。何が良くないかというと、

「知識というのは、1年ごとに死ぬのです。」

 
 これ、当時お世話になっていた指導担当の弁護士先生に言われた言葉なのですが、その時はよく意味が分かっていなかったです。
 今になるとよくわかるのです。一年ごとに同じような熱量で論点や法律知識の学習をしないと、「分かっているつもり」になっている知識が実際の現場で使えなくなることがあるのです。

 私の場合は1年目での合格を捨てたことで、ロー在学時に学んだはずの知識をほぼほぼ殺していたことになります。知識のジェノサイドですね。
 そんな人間が、そこからの1年間でロー在学時の知識を取り戻す&過去問検討も行う&自己の弱点を補う、なんてできるわけがないです。

ここ行くと未だに胸が痛みます。

📒実力不足でも構いません。
「1回目で合格する」と胸に誓い周りに宣言して突撃してください。

8 議論から逃げない

 どこのローでも似たような話かもしれませんが、特に刑事系科目について同級生が議論していることが多かったです。
 議論の中心に友人がいたので一緒にいたのですが、相当の場面で前提知識などを「知ったかぶり」して聞いているため、議論に参加できたことの方が少なかったです。
 
 これ、超もったいない。
 友人たちとああでもないこうでもないと議論することが、法律学習を強固にするものとして有効なツールでした。
 今はTwitter予備校で皆さん盛んに議論をされていますが、実際に顔を突き合わせて議論することの方が何倍も効果的に議論ができることもあります。

 議論に限らず、ローに入った以上はその環境から得ることのできるメリットは最大限享受しましょう。

写真は談話室のイメージです。こんな談話室がローにもほすい

📒間違ってもいいから議論に参加してみましょう。
 分からないことはできる同期に聞きましょう。

9 自主ゼミを多用しない

 議論を盛んにしてくる同期と勉強を一緒にしなくなり、徐々に別学年の「おんなじレベルの人」とともにゼミをし始めました。

 これ、一見いいように見えて実は本当に意味がない。
 そもそもおんなじレベルだからお互いの不足点を補いきれない
 そのくせおんなじくらいだから相手を傷つけないよう気も遣う
 おんなじくらいがゆえに指摘されても変にプライドが勝って受容しない

 私の自主ゼミ活用が良くなかったのかもしれませんが、いくつやってもこういった自主ゼミが上手くいきませんでした。
 自主ゼミは有効な側面もありますが、学生同士では限界もあります。

📒指導弁護士がついてくれる会を中心に据え、勉強スケジュール管理のためくらいで自主ゼミを活用するにとどめる、というのも有効な手段かもしれません。

10 無理にやる気を出そうとしない

 最後の受験年、私は追い詰められていました。
 前年の順位は2600番くらい、成績表もAが一つもありませんでした。
 
 気持ちばかりが焦り、「よーし!今日はやったるぞー!」と気合を入れて初日に10時間勉強をしていました。
 上手くいけばそれが1か月続いたこともあります。
 
 ただ、全体の学習時間的には良い結果を生んだとは言えませんでした。
 次の1か月でやる気が落ちて勉強時間が激減したのです。

淡々と行きましょう。私の好きな言葉です。

 この試験はとにかく長期戦です。
 本番が毎年1回しか来ません。

 なので1年間の戦い方が非常に大事です。
 毎日「やったるぞー!」で続くほど全員が強くはないはずです。

 なので私は「淡々と」やることを意識しています。
 1年の計画を立てたら、あとはできる限り淡々とそれを実行する。

📒1年間の戦い方・戦略を
淡々と毎日やるべきことをやる。やる気になるべく左右されない。


「法務博士 私の苦手な言葉です」

 以上をまとめると、下記のように行動すべきこととなります。
・入学前に予備短答に受かっておく
・予習と復習のバランスに気を付け、本試験を常に意識する
・予備校本を便利な「まとめノート」と考えて使い続ける
・教材を追加で購入する時は目的意識を明確に持つ
・過去問検討から逃げない
・予備試験から逃げない
・1年目受験から逃げない
・議論から逃げず、分からないことは恥ずかしがらずに聞く
・自主ゼミ利用は慎重に
・毎日淡々とやる

 この記事が皆さんにとり少しでも参考になれば幸いです。
 失礼します。

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