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透明板のゆうれい 01

『透明板のゆうれい』は、コンビニのコピー機のネットプリントを利用した表現の発信方法の実験(遊び)として始めました。

個人的に想像したドローイングとテキストを1枚のA4の紙に貼り、
それをコンビニのコピー機からスキャン&アップロードし、
受け取り手によってプリントアウトしてもらう仕組みです。

送り手と受け手は、互いの気配をコピー機のガラス面を通して
触れ合う(触れ合えない)ことになり、
それは幽霊のような透明な存在が浮き上がってくる体験かもしれない、
と考えました。

この「透明板のゆうれいのアーカイブ」では、
発信したデータをアーカイブします。

● 「01」のアーカイブ

●制作にまつわるはなし
(ここからは記録として)

 人同士、人と物の間にある境界が可視化された日常を通し、シールドの板の向こう側の世界は本当にこちら側と繋がっているのだろうかという疑問がうまれた。シールドの向こうにいる友人の姿はときに滲んだり、ときに自分の顔が写り込んで像が重なったりする。また、周囲の光を反射し現象の中に二人とも消えたりする。すると、境界と思っていたものがすべてを飲み込むブラックホールのようでもあり、混沌とした未分化の空間が広がっているようにも感じられた。

 この実験で発信されるものは、おそらくとても個人的な感情を背景にしているが、送り手と受け手の中間点となる(同時に物質として境界にもなる)コンビニのコピー機がこの世とは違った空間からの転換装置として機能することになる、かもしれない。

 またいくつかの悲しいニュースを通し、最初に描くのは人の姿にしたかった。
 昔見たアンドリュー・ワイエスの《幻影》という作品と習作群を思い出した。これは、オルソン・ハウスのシリーズの一つで、いつもは閉じられている部屋のドアを開いてみるとそこには一人の男が立っていたが、よく見ると曇った鏡に映るワイエス自身の姿だった、というミステリアスな体験からうまれた作品だ。(参照:『アンドリュー・ワイエス-創造への道程』図録)

 身体は誰のものでもなく、過去と現在の交錯する現象を写した瞬間にすぎないという印象が、この企画の骨子となっている気がする。

 ドローイングはいくつか描いたなかで、本番に使ったものが一番現象的で、山や川のようなざわめきや歪みが混じり込んでいてセレクトしたが、後から見てもあまりいい形ではなかった。表現の模索がつづくので楽しいけれど。

 テキストに関しては、実はすでに「02」をアップしたが、検討したい部分でもある。ちなみに、1行8文字を21行で168字の設計にしているが、偶然にも168時間は1週間となるようで、コピー機にアップする日数も7日間とした。

 原画は、背景の色紙にドローイングとテキストの紙を貼り付けているのでうっすらと立体があるのだが、スキャンしたデータは完全にフラットになっているのがおもしろい。もちろんオリジナルのほうが物としてはいいのだけれど、複製のほうがのっぺらぼうのようで、なんでもなさがいいかもしれない。色に関してはスキャンの時点で原画とはかなり異なるし、さらにプリントアウトされるので一層成り行きとなる。鮮明さも然り。セブンイレブンは色とメリハリが強め、ファミリーマートは若干青みだがデリケートな色幅はセブンより広いよう。

(記録は以上)

このようにまとめると、少し違ったビジュアル作りも試してみたいので、
表現や内容を月ごとに刷新したいなと思いました。
無目的、無計画なので変化していくことになりそうです。

末筆ですが、「01」のプリントアウトを試してくださった方、
ありがとうございました。
プリント代を負担いただく上に能動的に行動してもらうので、
遊びに付き合っていただき感謝です。
もちろん、こちらのデータで楽しんでもらえるのも嬉しいので、
できる限り続けられればと思います。

最後に「02」の部分を少しだけ。

●「02」のプリント方法

セブンイレブンかファミリーマートに設置のコピー機から、ネットプリントより、以下の登録番号を入力しプリントください。なおプリント代金は、1枚につき60円をご負担いただきます。プリント可能期間は、8月31日 23時59分まで。
〈登録番号〉
・セブンイレブン
AT9U2BN2
・ファミリーマート
6B4QKQUJYW
※ファミマの場合は「Tomeiban-no-Yurei_02_200824.jpg」を選んで、「引きのばし印刷」からA4サイズを選んでください。

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