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木と人間の共生の道を探る(out woods代表 足立成亮さん/林業建築家 陣内雄さん)

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回目

【本日の講師】
out woods代表 足立成亮さん/林業建築家 陣内雄さん

お二人はアウトウッズという団体を創設し、北海道で林業を営みながら、山を自分たちの表現と捉え、林道の整備や、建築、ウッドデッキの整備、遊び、学びの場所として、美しいランドスケープをデザインされてきました。2021年には、林野庁主催「WOOD CHANGE賞金賞」を受賞誰ています。


地球温暖化への危機感

陣内さんは、バブル最前線の30年前から「地球温暖化」や「持続可能性」について、考えられてきたとのこと。現在は、自分で伐採した木を建築に繋げるという活動をされており、自身の家や地元のパン屋さんを手がけられました。

私個人の話ですが、3週間ほど前に『人新世の「資本論」 』という書籍を読み、そこから環境問題について、以前よりも真剣に考えていました。
既に有名なベストセラーですが、まだお読でない方はぜひ!いまの資本主義社会や日常生活について、深く考えるきっかけになりました。
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だからこそ環境問題に向き合い、林業をされているお二人の話は興味深く、とても学びが多かったです。


「ずーーっと、やってける林業」

そんな陣内さんの言葉で1番残ったのが、「ずーーっと、やってける林業」。
聞いた瞬間、なんて強い言葉なんだろう…!と感じました。口語で素朴だからこそ、陣内さんの想いが強く篭っている。最近は、「サステナビリティ」「環境保全」「SDGs」といった言葉をよく耳にしますが、画一化された言葉は耳触りは良いものの、どこか遠くて他人事のように感じてしまいます。

地球が本当に危機的状況の今、必要なのは表層的なスローガンではなく、陣内さんのように目の前のことからコツコツ変えていき、行動から裏打ちされた率直なメッセージを発信し続けることだと思いました。


森と人とをつなぐ装置としての道

もう一つ心に響いた言葉は、足立さんの「森と人とをつなぐ装置としての道」。足立さんは、木こりをされているのですが、その活動の中でも特に、「森林作業道」という人工的な山道を作ることに注力されています。(※「森林作業道」とは、人や建機が山に入ったり、木を運び出すときに使う道を指します。)

道を作るということは、人が山を開発する行為ではあります。しかし、足立さんの道づくりは、人間が欲望の赴くままに山を開発するのではなく、山に感謝の気持ちを持ち、人間が山に貢献し(手入れ)、自然と人間の良いバランスを常に考え抜かれた上での行動だということが伝わりました。
「自然か人間が滅びる」ではなく、どちらも共生できる道を探るということですね。


木と人間の共存を考える

お二人とも、「足るを知る」を理解されていて、絶対にやみくもな資源の搾取を行われないところが、とてもかっこいいと思いました。林業がずーーっと続くように、必要最低限の資源を森からもらう。同じ地球上の生物として互いを尊重し、お互いの心地良い境界を探りながら生きていく。人間が資本主義のもと、長い間見失ってしまっていた大切なことを、信念を持って守られてきたことに心から尊敬しました。
私自身、これまでは資本主義社会の原理に則って、「もっともっと」と消費を重ねてきました。そして、自分が理解している以上に多くの環境を破壊してきたのだと思います。
この行動の積み重ねの結果、いま温暖化をはじめとし、破壊し尽くしたことによるツケが回ってきています。「どうにかしなきゃ!」と焦る気持ちが多くありますが、「もう間に合わないかもしれない」と考えてしまう自分もいます。でも考え方や生活をここで変えなければ、地球に未来はありません。

だからこそ私はここ1年ほど、「足るを知る」ということを考え、無駄な消費を控えようとしてきました。また一次産業を直接支援することもあります。ただ、まだまだ自分の「足る」や「取るべき行動」について悩むことが多いのが現状ですし、やはり「私一人が変わったところで、地球は守れるのか…?」と不安になることが何度もあります。

でも今回のお話を聞いて、「愚直に行動し続けるしかないんなだ」とどこか腹が括れましたし、「コツコツとした積み重ねでしか、変化は起こせないんだ」と分かりました。
あらめてですが、自分の違和感を大切にし、何十年も目の前のことに取り組み続けられてきたお二人を心から尊敬しますし、私も諦めずに行動し続けたいと思います。

もしこのnoteを読み、「少しでも地球の未来のために何かしたい」「何かできることはあるのだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、冒頭でご紹介した『人新世の「資本論」』をぜひお読みください。
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