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【返済は経費!?】借入返済のあるある勘違い3選


はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

様々な属性の法人経営者や個人事業主の方とお話ししますが、会計や経営数字にアレルギーを持たれている方は多いです。

実際、税理士は常識だと思っていることでも、お客様からすれば非常識なこともたくさんあります。

ということで今回は、私が法人経営者や個人事業主の方と話しているなかで気づいた、借入返済に関する「あるある」の勘違いを3つ紹介していきます

勘違い①:返済は経費になる

借入の返済をしたらお金が出ていくから経費になる、という錯覚になりますが、これは間違なので注意が必要です。

通常、借入から返済までのおおまかな流れはこのようになるかと。

①借りたお金が入金される
②借りたお金で物やサービスの支払をする
③借りたお金を毎月分割で返済する


このうち経費になるのは②だけです。

借入の返済である③でも経費計上してしまうと、②と③で経費が二重計上されてしまいますよね。

だから③で経費計上してはいけないということになります。

この1つ目の勘違いは、大多数の方にとってみれば当たり前といえば当たり前の常識かもしれません。

が、実際世の中には返済は経費になる、と思い込んでいる事業者の方はいらっしゃるので注意喚起させていただきました。

勘違い②:返済は節税になる

①の結果論ではありますが、経費にならないということは返済しても税金が減るわけではありません。

返済すると税金を圧縮できると勘違いしている方がいるので要注意です。

金融機関から融資を受けて節税効果があるのは、支払利息です。

支払利息は経費になり、税金を減らす効果があるからです。

もっとも、税金が少なくなるだけで、支払利息を払うとお金が減るのは変わりありません

たとえば、売上100万円、支払利息(経費)20万円、税率30%、だとすると。

【支払利息がない場合】
税額
→売上100万円×30%=30万円
手元に残るお金は
→売上100万円ー税額30万円=70万円

です。

【支払利息がある場合】
税額
→(売上100万円ー支払利息(経費)20万円)×30%=24万円
手元に残るお金は
→売上100万円ー支払利息(経費)20万円ー税額24万円=56万円

です。

税額は30万円から24万円減りましたが、手元に残るお金も70万円から56万円に減りましたよね。

で、このロジックは、支払利息に限らず設備投資や経費を使って節税しようとしたのに、結果的に手元にお金が残らないという矛盾の正体です


念のため、お伝えしておきますが、金融機関から融資を受けることを否定しているわけではありません。

融資は株式を公開(上場)していない街の中小企業が取り得る唯一の外部からの資金調達手段です。

借りられる場合は借りた方が資金繰りが安定します。

勘違い③:利益は最後に残るお金

利益が出たから通帳の残高はその分増える、というのは勘違いです。

なぜなら利益から出ていくお金があるからです。

で、利益と一言でいっても損益計算書をみるとたくさんの利益が付く科目が並んでいるかと思います。

こちらは一般的な損益計算書です。

個々の科目の説明は本題とズレてしまうので省略しますが、一年間の全部の収益から全部の費用を引いた残りの利益が、一番下の当期純利益だと思っていただければ。

話を戻しますが、問題になるのは、この当期純利益が手元に残るお金になるという錯覚です。

決算書の仕組みや読み方は割愛するとして、実は当期純利益から借入の返済が出ていきます。

損益計算書と借入の返済の関係をカンタンな図にするとこんなイメージになります。

つまり、当期純利益が7あっても、返済が6あれば、手元に残るお金(繰越金)は1になってしまうということです。

利益があるのに手元にお金が残らない、という方はこのお金の流れの構造が理解できていない可能性があるので、この図をよく見返していただければと思います。

要は、本当に手元に残したいお金(繰越金)に目標金額があるなら、返済を考慮した利益を生み出す必要があるということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

事業者さんによくある勘違いを3つ紹介してきましたが、自分も勘違いしていた、というものがあれば要チェックしていただければと思います。

特に3つ目に関しては、資金繰りに直結する話です。

資金がなくなれば倒産や廃業に追い込まれることになるので、上で紹介した図のお金の流れの構造は最低限理解していただくことをおススメします。

ただ、この図は収益や費用の発生と、現金が動くタイミングのズレを考慮していません。

たとえば、12月分の売上(収益)だけど振込は1月のケースってありますよね。

このズレに関しては別途資金繰り表などを使って管理していく必要があるので、その辺りについてはブログで解説しています。

正確な資金管理をしたい方はご参考にしてください。

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