見出し画像

税理士に依頼したら得をする?損をする?~この計算方法で判断してみよう~


はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

いま3月上旬ですが、個人事業主の方は確定申告できましたでしょうか?

終わった方は本当にお疲れ様でした。

まだ奮闘中の方も、3月15日までに提出すればとりあえず面倒な作業は手から離れるので、もう少し頑張っていただければと思います。

ところで、自力で申告した方は

  • これくらい余裕だったから来年も自力で

  • 思ったより大変だったから来年は税理士に

どちらの感想ですか?

後者の方であっても税理士に頼んだらお金がかかるので、そう簡単に決断できる話ではありませんよね。

ということで、この記事では税理士に依頼したら得をするのか損をするのか、を判断するための考え方をお伝えします。

私自身が税理士なので、どうしてもこういう内容だとセールスレターっぽくなってしまうのですが、なるべく客観的・合理的な内容になるように意識して書いていきます。

得するのかが分かる計算方法

よく、税理士を選ぶメリットとして、「経済的なメリット」「精神的なメリット」の両面から説明している記事を見かけます。

「経済的なメリット」とは、正しい申告を期限内にすることで、節税や無駄なペナルティを支払わなくて済む、というものです。

「精神的なメリット」とは、日々の経理や確定申告書作成の業務から解放されるので、気持ち的にラクになる、という内容をよく見かけます。

確かにこれらのメリットはあるのですが、どれくらい税金が安くなったのか、や、気持ちがラクになってどれくらいお金が増えたのかまで測ることはできません

そこで、次の方法で税理士に依頼した場合のメリットを数値化してみていただければと思います。

①:必要作業時間を測る

まずは、日々の経理や確定申告作業にどれくらいの時間を投下しているか測りましょう。

起業して2年目以降の方は、今年1年でかけた時間を集計してみてください。

  • 領収書や請求書を整理した時間

  • 会計ソフトに記帳した時間

  • 納税手続きに要した時間

  • 税務署からのお尋ねに対応した時間

  • 決算に要した時間

  • 確定申告書の作成と提出に要した時間

などなど、です。

これらの集計時間は、お金をかけなかったけど、犠牲になった自分の時間でです。

集計してみると意外と多かった、意外と少なかった、想定通りだった、色々な感想が出てくると思います。

起業(開業)して1年目の方は、まずは数ヶ月分、自分の経理をやってみてください。

そしたら何となく、1か月間で経理にどれだけ時間が必要なのかが見えてくるはずです。

次にそれを12倍してください。

事業年度は基本的に1年(12か月)なので、1年トータルでの経理作業時間を算定します。

最後に、確定申告作業や税務署への手続き業務として、1ヶ月の必要時間の5か月分を足してください。

つまり、1年を通じた必要作業時間は、1ヶ月の必要作業時間×17か月分になります。

1ヶ月の必要作業時間が3時間であれば、1年間の必要作業時間は3時間×17か月で51時間です。

もちろん、その人の得意不得意や業種で多少の個人差はあります。

とはいえ、作業をするのに最低限必要な時間を確保するためにも、まずは概算値で目安を知っておいていただければと思います。

②:自分の時間単価を決める

次に自分の時間単価を決めてください。

時間単価とは、お客様に請求する料金のベースとなる、自分の1時間当たりの売上です。

既に決めている方はその数字を使用していただければと。

そんなもの考えたことはない、という方は1時間1万円を参考にしてみてはいかがでしょうか。

というのも、1日8時間、週5日働くと、1ヶ月の労働時間は約160時間になりますよね。

で、このうちずっと売上を上げる行動をできるわけではなく、それこそ経理や、取引先や同業者との付き合いの時間が3割あると見積もると、1ヶ月の売上貢献時間は約112時間です。

この場合、1時間1万円とすると、月商は112万円になります。

起業したら月商100万円というのは重要なメルクマールがありますが、これを達成できます。

裏を返せば、月商100万円以上を目標にする場合、1時間1万円の単価レートを基礎に考えておかないと厳しいということになります。

もちろん、本業ではなく副業でビジネスをやっていらっしゃる方は、ビジネスの優先順位は低いので、もっと単価を低く見積もるのも全然ありです。

目的が違えば稼ぎの目標も違ってくるはずので。

③:必要作業時間×単価を求める

最後は①必要作業時間×②時間単価をしてください。

これにより、1年間を通じて経理や確定申告にどれくらいのコストをかけたかが分かります。

上の例によって、1年間で51時間必要で、1時間の時間単価が1万円だとすると、1万円×51時間=51万円を犠牲にしていることになります。

裏を返せば、本当なら追加で51万円の売上を上げることができたけど、それを手放す選択をしたといえます。

つまり、まずは税理士報酬の予算を考えるときに、この51万円がひとつの基準になるということです。

この例の51万円以下で満足いく税務顧問サービスを受けることができれば得をしますし、それ以上を払う必要があったらプラスαを払うような見合う価値があるかジャッジをすればよい、ということになります。


自分の時間が浮く以外の金銭的メリット

上記で紹介した計算方法は、自分の時間コストに税理士報酬が見合うかどうかで考えるものでした。

時間コストが浮く以外には、次のような金銭的なメリットがあるかと思います。

  • 節税漏れ防止

  • (間違って申告していた場合の)余計な税金支払い回避

  • (間違って申告していた場合の)制裁金等の支払い回避

最低でもこれらは期待できるかと思います。

これらも考慮に入れて税理士に依頼するかを決めると、より損か得かを正確に判断することができます。

おわりに

まとめると、税理士に依頼するかどうか考えている方、予算を検討している方は、自力で対応する場合の

必要作業時間×自分の時間単価=投下コスト

をまずは見積もることをおススメします。

依頼するにしろしないにしろ、結果的にトータルで一番損をしない選択をしていただければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?