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街中で自分と瓜二つの人と出会った話

事実は小説よりも奇なり。

と言いますが、祖母から聞いたウソのような本当の話です。

地方の田舎で暮らしていた祖母が、ある日、街中へ出かけた際の話。向こうから、見たことのある顔をした女性が歩いてきました。いや、会ったことはないのですが、どうも見たことがある。と思ったら、なんと祖母自身の顔に似ている。

すれ違ってからも気になってしかたないので、しばらくその後をつけた祖母は、思い切ってその女性に話しかけます。「あなたのお父さんは誰ですか?」

なぜ、いきなりそんなことを聞いたかというと、頬骨が高いところとか、両目の間が離れているところとか、祖母は特徴的なひいじいちゃんの顔とそっくりだったのです。

その女性が自分と似ているということは、もしかして父と縁がある人ではないか?父のきょうだいの子ども、つまり祖母から見た従兄妹ではないか、と思ったのです。

女性は凛とした態度で、「父は、サトウダイゴロウ(仮名)と申します」。祖母の父、つまりひいじいちゃんの名前もサトウダイゴロウ。「じゃじゃ、なんたらや!」と祖母はひっくり返りました(祖母は岩手の人)。まさかの隠し子発覚。

女性から話を聞くと、父親は家にいることはめったになく、あまり父親らしいことはしてもらっていないが、自分の父親はサトウダイゴロウその人で間違いないとのこと。ひいじいちゃんは大工の棟梁をしており、相当羽振りが良かったので、いわゆるお妾さんの子どもだったようです。

祖母がいくつ頃の話なのか、その女性に対して祖母が自分のことをどのように説明したのかは、聞いていません。お妾さんの子どもというと、育児、進学、就職、結婚など何かと大変だったろうとは想像しますが、ひとり親家庭と考えると、ままあることではあります。

ちなみに、私の母もこの話を知らなかったそうで、母の記憶では、ダイゴロウさんは脳卒中の後遺症で手足が不自由な、やさしいおじいちゃん。しばしば、孫として移動介助などをしてあげていたそうです。そんな人が、まさかの妾&隠し子発覚。母は「あの顔で!?よくまあ!」と、ひっくり返って驚いていました。(ひいじいちゃんも祖母も、イケメンや美人の部類ではない(笑))

余談ですが、妾といえば三木武吉という政治家に、こんなエピソードがあります。

政敵に「こいつは妾を4人も囲っている。こんな人間に任せられるか!」と非難された際、「4人ではなく5人であります。5を4と数え間違えるのは、小学1年生でも恥。今や役に立たない5人ですが、だからといって捨て去るような不人情はできず養っているのであります!」と答えて聴衆から喝采を浴びたそうです。現代の政治家がこんな発言をしたら、一発アウトでしょうね(笑)

さて、街中で自分と似ている人を見かけたら?ドッペルゲンガーより、隠し子を疑った方がいいかもしれません(笑)


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