夢野ワールドへようこそ!/夢Q夢魔物語

久々に夢野久作の読書感想です。

こちらの本は友だちに誕プレとして頼んで買ってもらいました。
(ほかにも夢野久作の本を何冊か買ってもらいました。ありがとう友だち)
友だち曰く「癖つよ表紙」だそうで。

『夢Q夢魔物語』というタイトルからどんな話か想像できませんでした。
しかし、読み進めていくほどにページをめくる手が止まりませんでした。

感想

夢野久作というと「ドグラマグラ」「瓶詰の地獄」などが有名だと思います。

ですがこの本はマイナーな作品を多数集めています。
そのため、今まで出会ったことがないお話に出会うことができ、こんな話も書いていたんだ!と新鮮な気持ちで読めました。

夢野久作の思考や考えがひとつわかったような気がします。

久作らしいジワジワくる怖さもあれば、クスッと可愛らしいお話もあって、読むスピードが全く緩みませんでした。

またひとつひとつのお話が短いため、サクッと読めます。
短編であるにもかかわらず起承転結がハッキリしていて、かつ曖昧な終わり方も多いので、飽きません。

・光明か暗黒か
・クチマネ
・キキリツツキ
・白椿
・青水仙、赤水仙
・縊死体
・亡魂の錯覚
・三つの眼鏡
・哀れな兄弟
・書けない探偵小説

もう一回読みたいお話!どれも本当に面白い

猟奇歌も読めた!

さらに嬉しいことに『猟奇歌』も収録されていました!

Amazonで「猟奇歌の本出ないかな~」と探すくらい、ずーと気になっていた短歌です。

それがまさか収録されているとは思わず、目次を見て声を出すくらいビックリしました。

猟奇歌とあるように、猟奇らしさをテーマに詠んでおり、リズム感もよく背筋がゾクリとする内容が多いです。
身近にいる人がおかしくなったり血肉に成り果てる、そんな情景が頭に浮かんでしまって想像力が掻き立てられます。

まだほかに猟奇歌があるなら、すべて読んでみたいです。

まとめ

夢野久作は今でいうエログロ、アングラ文化を築いた作家の1人だと個人的に思います。

知名度はなく教科書にも載らない、まさに知る人ぞ知る作家です。
しかし読めば読むほど、その言い表せない魅力にハマっていきます。

なにより、独白体形式や書簡体形式がすごく、まるで自分もそこにいるような臨場感を味わえます。

スッキリした終わりではなく、後味が悪いお話が多めなのも魅力の一つです。

非日常感を味わいたいなら、ぜひ読んでみてください。

此夕方の夕陽の壮観は今でも忘れられない程で大自然の宝庫の中に秘蔵されたあらゆる深刻雄大な色彩を惜し気もなく大空に打ち撒いた様で火焔万丈眼も眩み心も亡する計りであった

作中「二人の幽霊」より気に入ったフレーズ


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