![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141173188/rectangle_large_type_2_5488ace56e60f2b91aa8c57463f15ca1.png?width=800)
「客」
“どんな人も皆 懸命に生きている
自分からすれば些細と思うことであっても
当人にとっては大変な事である”
・
「カスハラ」
カスタマーハラスメント
お客からの無理な要求や
理不尽な態度の事を言う
なんでもハラスメントにするのはおかしいという論調があり自分も全くその通りだと思うのだけど「じゃあどうしてそういう社会になったのか?」という事に焦点を合わせる事も、また無い。
問題の根っこを捉えようとしないので本質的な解決もないと思う。
もしくはどこか思い当たる節があり、それは自分達にとって都合が悪い事なので言わないだけかも。
それは世の常かもしれない。
・
昔、東京は台東区。飲食店やキャバクラ等が賑わうナイト街の近くのカラオケで働いていた。そういう土地柄だしお客は酒も入るため深夜は特に盛り上がる。
客層は様々でサラリーマン、ホストやキャバ嬢、金曜夜はオタク軍団が、たまにヤクザ屋さんに闇金屋さん。
この地域は一年前に闇金屋さんが一斉摘発された為少なくなっていたようだが、それでもたまに来ていた。そういう事に手を染めるのは若い子達というのは昔から相場が決まっている。若い容姿に着崩したスーツ姿は背伸びに見え少し滑稽だった。
酔った人々は“人間が丸出し”になる
当然そこには様々な人間模様がある
今回の話は
そこで日夜繰り広げられた人間模様の話。
・
カスハラ①
〜冴えないサラリーマンとキャバ嬢〜
アフター(女の子勤務時間後のデート)
同伴(女の子勤務時間前のデート)
キャバクラ好きなら知っているこのワード。
(自分はキャバクラ嫌いです)
キャバ嬢は決まって
同伴の場合はキラキラ元気で
アフターの場合は死んだ目をしている
そんなあからさまな態度でサラリーマンは怒らないのかな?と言えば、怒らない。
というか、気が付いていない。
アフターで来る場合
入店オーダーは決まって1時間のみ
ワンドリンクは入店時にフロントでオーダー
(キャバ嬢が率先してオーダーを促す)
キャバ嬢のオーダーは
8割レッドアイ(ビール+トマトジュース)
2割シャンディガフ(ビール+ジンジャーエール)
サラリーマンのオーダーは人によりけりだけど大体ビール
入店の30分後には必ずフロント外線が鳴る
相手はキャバ嬢でトイレからかけている
「○○ルームです。延長は不可と伝えてください」そう言い残す。
15分前に退店コールをして「ご予約が入っておりますのでご延長はできません」と丁寧にお伝えする。5割は納得する。
残り5割は粘る。部屋を変えて延長して欲しい等。ここは大体キャバ嬢の方が折れて30〜1時間延長になるケースが4割。(先程の電話で最高30分まで等の指示が事前にある)
残る1割は延長延長延長となり
朝方ラスト8時まで。
退店時にキャバ嬢はゲッソリしているが、サラリーマンの方はというと入店時と変わらずひょうひょうとしている。
けど中には
たまに激レアさんサラリーマンがいる。普通にフリータイム飲み放題で入店してキャバ嬢も楽しそうにして適度な時間で帰る。そしてラストまでは絶対にいない。
この2人の違いは言わずもがな。
ここはナイト街の一角
店員とキャバ嬢が共に一芝居打つ東京の夜
すると大体またお店に来てくれます
・
カスハラ②
〜1番怖かった人の話〜
トイレの清掃は1時間に最低一回はする
お客は酒が入っているので結構汚れる
週末のある日
トイレに清掃へ入ると床に男性がうつ伏せで倒れていた。
目をひん剥いて
瞬きできずに眼球だけ動いている
声も出せず
身体も動かない
どう見ても危険な状態
身体が動かせない所を見ると
頭を強打した可能性もあった
意識を確認し、上長相談し救急車を呼ぶ、その後ルームに行ってお連れ様達にそれを伝えると、驚きの一言が。
「あー!アイツそのままでいいですよー!テキーラ沢山飲ませただけなんで!ほっといてー!」
戦慄した。
そう言ってその集団は、何も無かったかの様にまた爆音でカラオケを始める。
同僚なのか友達なのかは知らないが、連れが明らかに危険な状態なのに「ほっといてー!」の一言で済ます冷徹ぶり。
ヤクザ屋さんより、闇金屋さんより、よっぽど怖かった。
おそらく倒れていた男性は嫌われていたか、イジメられていたんだと思う。
その後、その男性がどうなったかは分からない。
人の心を無くした人は一番怖い。
・
カスハラ?③
〜続・1番怖い人?〜
昼は11時から朝方8時までの営業
最後の話は、都内で深夜働いた経験がある人は8割くらいは体験しているであろう話。
このお店、深夜2時くらいになると月に一回くらいの頻度で業務システムが上手く動かなくなる。
オーダーも、レジも、全て一つのシステムで動いているのだけど、動作が重くなり思う様に動かない。
普通なら再起動させるのだろうけど、ここでは「そういう直し方」はせずに別の方法を取る。
再起動しても直らないからだ。
先ずは5階厨房に内線
「お酒とお塩お願いしまーす」と伝える
するとスタッフが商品の日本酒を開け
外の非常階段、その踊り場ある
専用台に盛り塩と共に酒をお供えする
それから大体5分以内に
システムは復旧する
私含め深夜メンバーは殆どの人が店で
“見た”事がある
ゆえにこのオペレーションは特に何事もなく
スムーズに執り行われる
従業員は“何を”見たか?
それは言わずとも、わかると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?