【超短編小説】 森の中の邂逅
「この辺でいいか……。」
随分山奥へ来た。
山道を登って眺望を楽しんだ後、獣道へと入る。少し歩いた先に、太く泰然とした木と、その隣に鎮座している古く大きな切り株を見つけた。
少し休憩しよう、とその切り株に腰を下ろす。
青々とした木々囲まれ、空を見上げると木漏れ日の向こうに、紺碧の空が広がっていた。今の季節では暑すぎる陽射しも、平地と比べて高い位置にあるこの森山では、暖かな柔らかい陽射しに変わる。
人生最期にはうってつけの場所だ、と思った。木々の間から小さな町並みが見える。自分