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「闇鍋」

A爺「人生最後の晩餐だ。鍋に好きなものを入れるんだ」
B爺「なんでもいいんじゃな」
A爺「そうだ。めちゃくちゃ入れてくれ」
A爺、B爺、C爺は、思うがままに具材を鍋に詰めた。
C爺は静かに“後悔”を鍋に入れた。
A「C爺、何を後悔したんだ?」
C爺「・・・」
B爺「A爺、いろいろあるんじゃよ」
B爺は“先に逝った妻との思い出”を鍋に入れた。
A爺は本当に好き勝手入れるB爺とC爺につられ、“過去の栄光”を鍋に入れた。
C爺は“他人に優しくしなかった後悔”を入れた。
B爺は“妻と初めて出会った日”を入れた。
A爺は“会社の出世”を入れた。
C爺は“結婚しなかった後悔”を入れた。
B爺は“妻に愛情をもっと伝えればよかった”を入れた
A爺は“仕事ばかりしていた後悔”を入れた。
A爺、B爺、C爺は次第に後悔を思い出すようになっていった。
A爺「闇鍋を主催したのは、私だがもう辞めにせんか・・・」
B爺は「そうじゃな。せっかくの飯がまずくなる」
C爺「…私は後悔は多い。戻れるものなら戻りたい。だが叶わぬ願いだ」
C爺「私ができることは、この一瞬を後悔しないように、このまずい闇鍋は食べないことだ」
C爺はそれだけ言うと、席を立とうとした。
A爺「C爺。たしかに人は誰だって後悔する。私もそうだ。」
A爺「ただこの一瞬を後悔しないためには、この闇鍋を食べることだ」
C爺は振り返り、眉をひそめた。
A爺「闇鍋だが、中身は普通の美味しい鍋だ」
A爺「最後に皆と鍋を頂こう」
B爺も温かい表情で迎えていた。
C爺「私は後悔ばかり選んでしまうな」
3人の爺は最後の晩餐を食べた。


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