堀高士

陸上競技短距離コーチ、ボブスレー選手

堀高士

陸上競技短距離コーチ、ボブスレー選手

最近の記事

東海豪雨のお客さん

2000年の東海豪雨の時、僕は某フィットネスクラブで働いていた。 土地の低い名古屋西部に位置する場所だったので、出勤途中で車が浸水。運転席、助手席両方のドアから水が入ってきて、足元はずぶ濡れ。それでも車は止まることなく何とか駐車場にたどり着いた。 フィットネスクラブ周辺も浸水していて、膝のあたりまで水に浸かるところもあった。館内もいわゆる床上浸水で営業どころではない。モップや雑巾、ありったけのタオルで床を拭くのが朝イチからの仕事だった。 そして何より驚いたのが、一人、ま

    • 判で押したような毎日

      お盆休みが今年は例年より多く9日もあったけど、遊びに出かけることもなくほとんど同じ毎日を過ごしていた。 同級生や卒業生たちとの飲み会や、お墓参りなどの行事も連休前半ですべて終わり、残りの1週間は本当に何の予定もなかった。 とりあえず規則正しい生活をしようと決めていた。 陸上部の合宿(長野)や東海選手権(岐阜)もパスして、これで自分がグータラな連休を過ごしていては選手たちに申し訳ない。合宿でビシビシとしごかれてる時に涼しい自宅で昼間から飲んだくれていては選手に顔向けできな

      • 明日から黒姫合宿

        お盆休みのど真ん中に部活の合宿がぴったりと重なり、先生から合宿どうする?行く?と打診を受けたけど、「黒姫は遠い」という身も蓋もない理由で不参加。 そのかわりと言ってはなんだが、他の部活の日は精力的に頑張ろうと思っていた。 一昨日は中京大の記録会。午後3時スタートと、暑さに配慮されたスケジュールでも激アツだった…。タータンからの照り返しが凄まじく、飲んでも飲んでも体のどこかから水分が蒸発していく。審判を務めた中京大の学生のみなさん、ありがとう! 昨日は学校で練習。 アメ

        • 絶妙なバランス

          中学高校は赤川次郎、大学では東野圭吾にどっぷりハマってミステリー小説ばかり読んでいた。 ミステリーファンならアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」は必読の書で、最高傑作の呼び声高い。これまでも何度か読んでみようと本屋で立ち読みしたんだけど、1939年の作品で登場人物も多い。翻訳された文章も古めかしくて字も小さい。読み切る自信がなくて諦めていた。 2010年に新訳版が出ていることをこのほど知り、今度こそはと思い切って読み始めた。文章も易しく読みやすくなり、字も大き

        東海豪雨のお客さん

          シンプルな練習

          誰も関心のない情報だと思うけど、15年ほどコーチをやってきて今日初めてタンクトップを着た。それくらい梅雨明けをした名古屋は暑い。 先生方はインターハイに出かけて留守なので、残った部員たち(ほぼ全員だが)は学校で練習。 ウォーミングアップとしてミニハードルジャンプチャレンジ。 ハードルの間を徐々に広げていき、どれだけ広い間隔まで跳べるか。地面を後ろに蹴っていては体は前に進まないよ。と言うのは簡単だけどやってみると難しい。 本メニューは超ショートスプリント。 10m、2

          シンプルな練習

          合同練習

          今日は旭丘高校と合同練習。なぜ一緒に練習することになったのかはよくわからないけど、いつもと違う雰囲気だから選手の良い刺激になる。 メディシンボール投げも人数が多いから眺めも壮観だった。 ボックスを使った脚の運びのドリル。ちょっとやってみたけど全然できなかった。さらに「あ、堀さん大丈夫ですか?気をつけてください」と足元の段差を気遣われる始末… 合同練習といえばお約束のエンドレスリレー。 7人で1チーム、170mを5本。 7人いれば休憩も少しあるから5本くらい余裕でいける

          ホームジム

          この土日は愛知県選手権があったので、学校での練習を2日とも見ることになった。「やりたい練習をやっていい」ことを条件にコーチを引き受けてるところもあるので、2日とも本当に好きなことだけをやった。 サッカーの試合があってグラウンドが使えなかったので20mと40mの坂道ダッシュ。短い距離と時間で力を全部出せという偏った練習メニューになってしまいがちなのは、自分の競技歴にある。 陸上競技歴は中高大の10年だけど、社会人から始めたボブスレーは倍の20年。そのボブスレーを押して走るの

          ホームジム

          厚底スパイクとウェイト

          暑くなることが最初からわかっているので、夏になるといつもより1時間早めて8時から練習開始。 日本選手権に出場した吉田紗弓選手も部活に復帰して、「選手」から「さゆみ先生」に変わる。久しぶりに2人体制の練習となり、この利点を活かさない手はない。 男女に分けて動き作りのドリルとウェイトをローテーションする。自分はウェイト担当だ。 昨年あたりから急速に普及してきた厚底スパイク。選手が持っているものをいくつか手に取らせてもらって、個人的にいろいろ思うところがあった。 1.サイズ

          厚底スパイクとウェイト

          声優の凄み

          本を「聴き」ながら寝ることが習慣になってしまい、毎晩スマホからボソボソと読み聞かせをしてもらいながら寝落ちしている。 後味が悪い、暗い、切ない、怖い、系の本も好きでよく読むけど、寝る時に聴くのは明るい、楽しいというハッピーな作品が多い。やっぱり嫌な気分になって寝たくはない。睡眠の質にも影響しそうだし… 半沢直樹や陸王でおなじみの池井戸潤の新作、「俺たちの箱根駅伝」、読んでみたいけど上下巻で4000円に尻込みして聴く本で妥協することにした。 箱根駅伝を目指す大学生たちの激

          声優の凄み

          オッペンハイマー

          映画、ダークナイトシリーズやインターステラーを見てからクリストファー・ノーラン監督のファンになって、新作ができれば必ず映画館に見に行っていた。 アカデミー賞を独占したオッペンハイマーもすぐに見たかったけど(日本公開だけ大幅に遅かったし)、大会が重なったり体調がイマイチだったり週末に行くことができず、平日のレイトショーに行く元気もなく半ば諦めていた。3時間の長尺なのもなかなかきつい。 それでもやっぱりこれは見ておかなくては!と意を決してチケットを取った。 オッペンハイマー

          オッペンハイマー

          気の弱い男

          トレーニングを終えて車に戻ると駐車場はすでに満車になっていて、順番待ちの長い車列ができていた。 陸上の大会があるのでスタート時間までの間、車内で涼みながらおやつを食べたりちょっと休憩するつもりだったのだけど…順番待ちの車からの視線が痛い。10台近く並んでいる車の運転手や助手席の人たちがこちらを見ている。 「出発しないの?」「もしかして休憩しにきただけ?」もし自分が逆の立場だったら間違いなく期待を込めてじろじろ見てしまう。 降り注がれる視線にいたたまれなくなり、日陰になっ

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          オークリーの帽子

          25年くらい前、マリナーズのイチロー選手がかけていたサングラスが話題になった。あのスタイリッシュなデザインのサングラスはなんだ? サングラス=「レイバン」だった時代。ティアドロップやウェイファーラーといった今も変わらぬ定番の形。でも、イチローのかけていたそれは見たこともない近未来的な優美さと鋭さで、日本の特にスポーツ選手の心を鷲掴みにした。 イチローのサングラスが欲しい! 「ネット検索」なんて言葉すらなかったので、そもそもどこのメーカーのサングラスかもわからない。調べよ

          オークリーの帽子

          総体3日間

          いつも堂々と顔パスで競技場を出入りしてるけど、実際のところ居場所がない。 部活の顧問でもなく大会の審判や役員でもないので審判控え室には入りづらい、というかそもそも競技場に入っちゃいけないのだ… それならスタンドにいればいいのだけど、屋根がないのでめちゃくちゃ暑いし総体ともなると狭いスタンドは隅から隅まで観客でぎっしり。 建て替え工事が始まる前の本競技場の頃は大きな屋根付きスタンドがあって、テーブルもある記者席があって、選手が集まる陣地も広かった。わりと優雅にのんびり過ご

          総体3日間

          新入部員かけっこ教室

          10人くらい1年生が入部したとつい2日前に聞き、そのうち半分が陸上初心者らしいと判明して腹をくくった。 今日の練習は総体に出場する先輩たちをスルーして、新入部員に力を注ごう。 細かい説明は全部省いて(いつも大ざっぱだが)、大きく歩幅を広げて走ってみよう、次は歩幅を小さくしてみようとか、だいたいこんなもんだろうな感じで走ってもらう。 あとはスキップ、立ち幅跳び、懸垂で終わり。 毎年毎年、張り切り過ぎてシンスプリントや腰痛やさらには疲労骨折や、そんな1年生が出てくるので、

          新入部員かけっこ教室

          最後にエネルギー切れ

          1年生のみが出場する今日の大会、スタート時刻の3時間以上前から競技場に行き、まずはジムで自分のトレーニングをすませた。 この朝トレが後からボディブローのように効いてくる… 今回はマネージャーが不在なので久しぶりに自ら動画撮影をしたけどやっぱり腕が落ちてるなあ。納得いく撮影ができなかった。そんなことより選手の走りをしっかり見ろよって話だが。 自己ベストを更新する選手もいて上出来といったところだけど、まだ1年生の4月、先は「とても」長い。ケガには気をつけて慎重にいきたい。

          最後にエネルギー切れ

          シーズン開幕戦

          迂闊だった…。 競技場横を流れる山崎川沿いの桜並木が満開で、花見客でいっぱいになるのを忘れていた。そして駐車場が整備中で例年に比べてスペースが狭くなってることも。 夏でも冬でも関係なく週に4日はトレーニングに行っているので、瑞穂競技場に行くことが日常的になりすぎて、桜咲くこの季節が非日常になることを考えてもいなかった。 朝9時頃にのんきに到着してみたらすでに満車で駐める場所がない。大慌てで少し離れた体育館横の駐車場へ直行して残り3台分となったスペースに滑り込んで事なきを

          シーズン開幕戦