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あなたは駄菓子屋で何を買う

大工時代、自分自身にとても良かったなと思うことは、良いものに触れることができた点だと思う。
例えば、無垢板を貼った後、オイルを塗った時にみるみる木目が綺麗に浮き出てきて、まるでだるまの目を描くような、命が宿るようなあの感覚を味わえたこと。
日本でも業界では知らない人がいないような左官屋さんが壁を塗って、その壁の断面を目で、指で感じられたこと。
そしてこの見出し画像にある、十和田石という天然石を使ったお風呂に入った時の、足の感覚。
全てが新鮮で、恐らくあの工務店に弟子入りしていなかったら、知ることもなかったであろう「良いもの」に触れられたことが自分の人生での大きな財産になっている。
自分の家のお風呂を作る際、迷ったが、十和田石を使うことにしたのは、あの触れた時の身震いするような感覚を忘れられないからだ。

よく親方は、「普遍」という言葉を口にされていた。
3次元が今だとすれば、4次元は時間軸だとおっしゃっていて、
4次元の建築というのが、「普遍」
過去も今も未来も、いつの時代の人が見ても「素敵だ」と感じる建築。
その建築をしたいとおっしゃっていた。

親方は一度脳の手術をしていて、ほとんど現場には出ていなかったのだが、
親方の哲学を休み時間によく聞くことがあって、安易に言葉にできないほど感銘を受けているし、尊敬している。

私は親方のように極めることはできない人間だが、
良い材料を使えば、「普遍」は作れると思って、無垢板、漆喰、天然石など、
材料にこだわるようにしている。
あの時味わった感覚を1人でも多くの人に感じてもらうために。

話は変わって、
今日の題で問うた質問。
「あなたは駄菓子屋で何を買う」

今はもうほとんど見なくなった駄菓子屋、
私が小さい頃はまだ家の近所には必ずあって、小学生たちの溜まり場になっていたが、皆さんはいつも買うお菓子というものがあっただろうか。
最近その話になった時に「あぁ、俺って昔からそうだったんだな」と感じたので、その話を書こうと思う。

駄菓子屋にあるものといえば、ゼリー系のお菓子だったり、水に溶かすとジュースになる粉だったり、シンプルな煎餅系だったり、アイスみたいなものがあったり、くじみたいなものもあったり

私は、そんな数ある駄菓子の中で、ほぼ100%買っていた駄菓子が一つある。
それが「きなこ棒」だ。
地域によってきなこ棒の種類はたくさんあるだろうが、
私のよく行っていた駄菓子屋のきなこ棒は、爪楊枝に刺さっているタイプの細長いきなこ棒、一本10円、爪楊枝の先が赤色に塗られていたらあたり、もう一本もらえるというものだった。

これをほぼ必ず買っていた。
どんなに喉が渇いている暑い日も、口の中からからでも買っていた。
なぜか。
数ある駄菓子の中で、一番当たる確率が高かったから。
一番10円という決まった金額の中で、10円以上のパフォーマンスを発揮する確率が高かったのがきなこ棒だった。
当時はそんなこと言語化して考えていたかと言われればそうでは無いが、ほぼ必ず買っていたあたり、言葉にできないが何かを期待して買っていたのは間違いない。
だって喉乾いてても買っていたんだから。

そう思うと、多分次によく買っていたのが、あたり付きの10円の乾麺みたいな奴、くじ系。
俺あたり付きばっかり買っていたなと。

昔っからコスパばっかり考えていた、本当に人間味のないくだらない買い物の仕方をしていたなと。
でも、人間性出ているなと感じた。

みなさんはいつも買う駄菓子はありましたか?
なぜ買っていましたか?
案外自分を知れるいい機会になるかもしれないですよ。

ではまた。

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