妄想ストーリーメーカー シカタミカ

本業は起業家専門のライティング代行屋。 noteでは写真に合わせてストーリーを書く、妄…

妄想ストーリーメーカー シカタミカ

本業は起業家専門のライティング代行屋。 noteでは写真に合わせてストーリーを書く、妄想ストーリーメーカー。 そして、虚構の中に実在する人物を描く『深夜図書館』も新たに執筆中。

最近の記事

昼間の月

この投稿は写真を元に妄想した、架空のストーリーです。 ============== 昼間の月は存在感が薄い。 あってもなくてもいいと思うほど。 「どうせ私なんか」 今日何度目かの『どうせ』を女は呟いた。 男はそれを聞きながら、溜息を吐きたくなるのをぐっと堪える。 「私っていつもこんな感じじゃない?」 昼下がりのカフェで男と女が向き合い、話をしている。 「いつも私は蔑ろにされてる。きっと居ても居なくてもおんなじなんだよ、私なんて」 「いや、そんなことないと思うよ」 男は

    • 深夜図書館 ~第一話 心を軽くする人~

      ここは『深夜図書館』 そして私はこの図書館に通い詰めている物書きだ。 この『深夜図書館』は虚構の世界に存在する図書館である。 しかし夜12時を過ぎると、現実世界の住人が時折迷い込んでくるのだ。 今夜はどんな人物がやって来るだろうか。 第一話 心を軽くする人今夜も私は一人、図書館で原稿用紙を広げている。 静かだ。とても静かだ。図書館はやはりこうでなくては。そして物書きにはやはりこういう環境がよく似合う。 物書きの中にはカフェのような賑やかな場所で書く者もいるようだが、私は

      • 哀しい存在 ~忘れ去られしものの声~

        この投稿は写真を元に妄想した、架空のストーリーです。 ============== 「どうしてこんなことになってしまったの?」 私は声にならない声を上げた。 まさかこんな形に終わりが来るなんて。こんな寂しいところに、たった一人で置き去りにされるなんて。 出会った頃には、いや、彼と出会って共に過ごすようになってからも、一度だってこんなことが起こるなんて想像したことはなかった。 「用がなくなったらポイ。そういうもんだよ」 と言う人もあるかもしれない。 だけど、彼は、彼だけ