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「髑髏に色を塗る」

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中編第三作目。
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#小説

「髑髏に色を塗る」⑦完

「ごめん、埋め合わせは必ずする。友達が大変なんだ。行ってやらないと」  木下は後藤に向か…

死角 計
3か月前
1

「髑髏に色を塗る」⑥

 居酒屋で柳と赤羽の二人は卓を挟んだ。普段は水で済ませることの多い柳にしては珍しい光景だ…

死角 計
3か月前
2

「髑髏に色を塗る」⑤

 睡余に申し訳なさを感じつつ、先に起床した柳は家主に声を掛けた。シャワーは借りたが洋服は…

死角 計
3か月前
2

「髑髏に色を塗る」④

 足が重い。息が詰まる。淀んだ空気を吸わなければ維持出来ない生命活動に嫌気が差す。穏やか…

死角 計
3か月前
1

「髑髏に色を塗る」③

 木下から呼び出しを受けた土方は有楽町にあるカラオケボックスに来ていた。  何故こういう…

死角 計
3か月前

「髑髏に色を塗る」②

 記憶に押印されたあの美しき手を顧みる。  土方は自宅で今日の事変を反芻していた。あんな…

死角 計
3か月前
4

「髑髏(しゃれこうべ)に色を塗る」①

 美しさは細部に宿る。それは物理的な意味であり、比喩的な意味でもある。  見てくれで伝わる品格は、門の入り口として最も重要だ。所作で伝わる慎重さは、軽はずみに生きていない証左として。言葉を交わして伝わる感性は、己との距離を測る物差しとして。  入りたくなれば、近ければ。立ち寄ってみたいと思うのが動物として自然と言えるのだろう。  花を生ける。青々とした茎や葉は力強く生い茂る一面の緑を彷彿とさせ、先端に展開する花弁は鮮やかな青色の大海を想起させる。その色彩はまるで手中に一つの