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ああ、憧れのハスキー

長雨に打ち付けられて、足場を見失っては沈みゆく日々だ。ここまで雨とは憂鬱に降るかと知らしめる。本を読む気にもなれなくて、仕事の休み時間は車窓から降る雨を眺めていた。旋律とて、心地よく感じていた内にはどんなリズムにさえ軽快に変化したが、今はザアザアとだけ、それだけが地球の果てまで続いているように感じさえする。一日程度なら、そんな日もあるさと俯瞰できるのだけれど。

雨の音に聞き飽きては、プライムミュージックを適当に流す。耳にタコができる程聴いた女王蜂も最近は下火で、夏の日差しを見られずに去ってしまうに違いない。聴こうと思って聴いたわけではない音楽はどれも大した特徴を見出せずまた一つ深いため息をつくが、ふと、それは雨の音にリズムを奪われてしまったせいだと気づく。お手上げだ、お手上げ。

と鬱々と面倒人間になっていた鹿田だが、とある曲が流れたときに一気に目が覚めた。慌てて歌手名や曲名をチェックする、なんだ、なんだこの声。そしてなんと心の琴線に触れる音楽だこと。

それは、アイナ・ジ・エンドっていう人の、『金木犀』という歌だった。

なんて心地の良いハスキーな声、それでいて所々、アコースティックギターの、あのキュッていう心地いい音がする。歌声なのに

一気にのめりこんで移動中ずっとその人の曲を流し続けていた。ほんと、ほっとする声なんだよね。それで少し調べてみたら結構有名な人だった。

僕は一度のめりこむと、ひたすらそのアーティストしか聴かないから、あまり多くのアーティストは知らない。しかしそのくせ一耳惚れが多いので、ジャンルはそれなりに幅広かったりする。

だから歌手の知識は疎い。

よくよく調べると、グループに属していて、またソロでも活動しているらしいことを知った。あの歌声は、今年の素敵な収穫になったなよ。しばらくまたバカみたいに嵌って、鹿田は聴き続けることだろう。僕は男だけれど、あの綺麗なハスキーボイスは憧れてしまう。

そういえばまたジャンルがドカンッと飛ぶが、去年の冬頃は、演歌の真田ナオキに嵌っていた。(ほら、ジャンル幅広いでしょ)また、真田ナオキさんもハスキーな声がいいんだよね。知ったきっかけの曲は「恵比寿」という。YouTubeにも上がっているから是非見てみてくれ。ちなみに吉幾三の弟子らしく、師匠の前で歌う動画が上がっていて、吉幾三が感涙していたよ。

真田ナオキさんはもともと声に特徴がないことを気にしていて、海で声が嗄れるまで大声を出したり、酒でうがいをしてとことん喉を潰してあの声を作り上げたらしい。いやはやすごい根性だよね。それでいてかっこいいし、うらやましいわ。

鹿田も音痴という特性はどうしようもないが、声も不安定で実は多少コンプレックスがある。そんな中ハスキーボイスに対しては、かなりの憧れを抱いている。かといって今すぐ海へ行くわけにもいかないし。日本酒もない。ではビールで代用できまいか?酒は酒だ。なんとかなるだろう。

などと言い訳をして晩酌に入るので今日も唐突に終わる。

ハスキーな声で歌いたいわ。

じゃね。

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