アバターモデルを作ったお話(ツール編)
2年半前にVRChat用のアバターモデルを作成して以来の自分用アバターモデルの作成を軽くメモ。
前回作ったモデルはこちら。
VRChatの自作アバターの上限が2万ポリゴン時代のものなのでポリゴン数は少な目。等身は低めかつ派手目にして情報を増やしつつ誤魔化すデザイン。
今回はちょうど個人所有のMAYA LTのライセンスが切れたタイミングで「Blenderの練習の為に作ってみるかー」という軽い気持ちでの作成です。
あ、仕事ではSoftimageとMAYA使ってます。
【思ったより難航したBlenderの習得】
9月半ばに軽い気持ちで始めたBlenderでの作業。「Blenderは情報も多く、検索すればだいたい出てくる」そう思ってましたが、MAYA習得の際にも壁になった「バージョン違い」と「基本構造を知りたいのに出てくるのは手順だけ」の2点がやはり壁になってきました。
自分は荒く作ったものをエッジと頂点を必要な部分にコツコツと増やしていくスタイルなので、Blenderのナイフトポロジーツールを多用して作成してましたが、作成した頂点が2重頂点になることが多く、且つ一括で二重頂点をクリーンナップしてくれる機能も無いので荒モデルをMODToolで作成し、そのモデルを元にBlenderの機能検証をする方向に変更しました。
(ちなみに、MODToolのfbxエクスポーターはバージョンが古く、そのままではBlenderでは読み込めなかったので、一度Windowsに入っているペイント3Dで一度読み込んで保存することでBlenderで読み込めるようにする謎テクニックを使用しました。)
ある程度出来たところで、髪の毛の作成に移りますが、ここで「xizmoだと髪の毛を作るのが楽そう」という謎ひらめきと共に迷走します。
結果として今作ろうとしているモデルには合わずデータは使用してません。単純な短冊形状のモデルなら断然xizmoの方がやりやすいのかな…。
【全く理解が追い付かないリギングとウェイト調整】
ここが最大の理解できないポイントでした。いや、理解できてるんだけど「なんだそれ?」と思わざるを得ないというか…。
一枚目:骨を配置した状態です。ここでアウトライナ上でアーマチュア(骨)とメッシュのグループが完全に分かれている事に気が付き、いろいろ試した結果、骨とメッシュは親子関係を持つのではなく、参照する形式なのだと気が付きます。
今まで、適当に荒く作ったモデルを骨の子供にしてポーズを取らせてボリュームやシルエットを確認していた自分にとって「え?いちいちスキニングかコンストレインせなあかんの?」と軽くキレます。
二つ目のキレポイントがスキニングです。この謎の球は骨が持つウェイトの影響範囲を可視化したものです。メッシュの表面に合うようにうまく設定すれば調整の手間が少なくて済む、素晴らしい機能だと思います。
うまく機能すればの話ですが。
画面中央あたりのメニューの「半径 エンベローブ」あたりの数値でこの球の大きさを変更できますが、左右対称編集をONにしていても左右対称にならず、シーンをロードしなおしたり意図しないタイミングで球の数値が元に戻りますし、左右対称ではなくなります。
機能すればスキニングの初期段階がものすごく楽になると思っていたのに残念です。中途半端です。
あと個人的に、スキニングのデータとして頂点グループを採用しているのは悪手だと思います。骨が増えるとリストが長くなり情報を探すのに時間がかかるからです。Blenderは全体的にリスト型のUIが多いですね。これ、今後ネックになってきますよ。
とりあえず、自分の中でリギングとアニメーションに関しては「Auto-Rig Proが標準搭載されるまでは触れなくていい」という結論になりました。
【結論2020初頭版】
実はBlenderのスキニングとリギングで躓いているタイミングでMAYA2020が発表され、「MAYA LTも2020版になったぞ!」という情報が流れたのでBlenderを触るのを止めMAYA LTを購入しました。
現状のBlenderは自分が始めて触ったMAYA 2015より劣っています。というより、「Blenderじゃなくちゃいけない」部分が無い。
・機能が足りてない/手順が多い
・親子関係に疎い基本設計
・リスト型のものが多いので、作成するデータが複雑になると情報を取りに行く労力が増える
・モード変更時に操作やレイアウトを個別設定するメリットの薄さ
など、荒が目立つ。
現状だと、プロがわざわざ無料に飛びついてストレスを感じに行くメリットは無いです。最近、公式が「アーティストの為に」みたいな形で声明を出したので、これからアーティストがストレスと手間を感じないようなアップデートをしてくれることを期待します。
【作業ツール打ち分け】
さて、今回作成したモデルはこちら。
作業打ち分けとしてしては
メッシュ:MAYA LT2020
UV展開:3dcoat MAYA LT2020
テクスチャ:ClipStudio 3dcoat Mindtex2
とコンパクトにしました。
今回のモデル作成で一番の収穫は、MAYA 2020がかなり優秀だと解った事。
軽いしわはMAYAのスカルプトツールだけで行けることが解りました。
この辺り、縫い目やモールド等の小さい凹凸はどんなツールでも作れるが、服のしわや自然物のある程度大きな凹凸はスカルプトツールでの作業が理想で、人体の凹凸、服の細かめのしわ程度ならMAYAのスカルプトツール内で完結できる上にリトポにするにも法線マップにすにもMAYAだけで済むようになったのはかなり作業のストレスと手間が減りました。
UV展開は慣れた3dcoatで行ったが、再配置はMAYAのUVエディタで行いました。移動、反転、回転、整列などがパネルにまとめられ、基本的に1クリックで完結し作業ストレスが減りました。
次回はたぶん「VRM編」になります。このモデルをVRMとして出力する部分を書きます。
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