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サウナーと行く2回目のサウナ

「久しぶり、コロナも落ち着いてきたし会おうよ」

数年前に最後に会った友人と連絡を取った。最後に会ったのは、都内のスーパー銭湯だった。サウナが流行する前だったので、正直一緒にサウナ行こうと言われたときは行くか迷った。(約束したちょうど数日前に別の友人からバーで複数のゲイに絡まれた話を聞いたことも関係していたのかもしれない、絡まれた彼は非常にかわいらしい顔をしている。因みに私はストレートだ。)彼はサウナにポカリスエットを持参していた、浴場に飲み物を持ち込んでいい事を知らなかった私は非常に驚いた。高校の授業で電子辞書持ってきてないの?みたいな雰囲気をふつふつと感じた。当時サウナの入り方を知らなかった私は、サウナ→水風呂→何もしない(整う時間)のサイクルを数回実施することが新鮮だった。そして銭湯に来たのに湯船に浸かる時間の方が少ないことも衝撃的だった。「オロポ」と呼ばれるポカリスエット×オロナミンCの飲み物を始めて聞いたのもこの日だったはずだ(最初はおろしポン酢かと思った)。

そして今回、駅でサウナーの友人と待ち合わせをした。彼は少し遅れて来て、久しぶりに会ったのにも関わらずぬるっと話し始めて、そのままつけ麺を食べた。つけ麺はあっさりしていた。そしてスーパーでポカリスエットをしっかりと買い、(素知らぬ顔をして買ったが、自分はあの頃から成長しているんだという誇らしい気持ちだった)以前と同じスーパー銭湯に向かうのであった。到着すると、満員なのでお待ちくださいと整理券を配布された。サウナに入るまでに待ち時間があるなんて!それだけサウナが人気になったという証拠だろう、流行を感じた。

 時間差で脱衣所に入り手早く準備をしてから身体を流し、サウナに入る。中は最大7人程の少し狭い部屋で、順繰りと人が出たり入ったりしている。サウナ内で本を読んでいる猛者までいる(サウナで読み終えた本の行方が少し気になった、しわくちゃの本は本棚に戻るのか、そのまま捨てられるのだろうか)。

そして見慣れない緑色のスナフキンのような帽子をサウナ内で被っている人物がいた。あれは「ヒルナンデス!」のサウナ特集で見たサウナハットというものではないか?お目にかかるのは初だった。汗を滴り落とさないい実用性とファッション性を両立したアイテムだ。希少性の高いサウナハットは、90年中頃に流行した、人物を複数の若者が徒党を組んで襲撃、暴行し強奪する「エアマックス狩り」ならぬ「サウナハット狩り」の対象となる危険性のあるアイテムである。しかしまあ、ファッション性に関しては、帽子の下は全裸なので、なんとも間抜けに見えるのであった。全裸に帽子、全裸に帽子。そんなことを考えながら私達も1セット終えた。体の芯からぽかぽかと浄化されて、ポカリスエットを2人で飲み(少年漫画で主人公が修行後、師匠と共闘する気分だった)、2セット目に向かうと、友人は何やら見慣れぬものを取りだした。

「100均で売ってる髪束ねるやつだよ」

そう言ってメッシュのアミアミを手にサウナに入ったのだ。実用性のみを重視し、あくまでも流行りにはのっていないことを無言で古参を表現する友人が恰好よかった(少年漫画に出てくる主人公の師匠にあたる人物が、主人公の成長を目の当たりにした際に、自分も新しい能力を身に着けたことを開示して師匠の威厳を見せつけているシーンが重なった)。サウナ室内にアミアミとサウナハットと読書家がいる光景で、読書家の次に格好良かった。もちろん全員それ以外は全裸だ。全裸にアミアミ、全裸に帽子、全裸で読書。密閉された空間の中で解放感のある気持ちになれるのがサウナの醍醐味なのかもしれない。銭湯から出た後の珈琲牛乳の味は言うまでもない。

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