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500円玉貯金
500円玉貯金を始めた。
以前も始めようとした経験があるが「貯金のための専用貯金箱買うなんてあほらし、マック行こ。」
と思って始めることができなかった。おそるべしマック。
きっかけは昨年の夏。大学生の時から6年間ずっと使っていた二つ折りの財布を買い替えた。それまで数千円くらいの変な柄のついたものを、アルバイトもしていないのにブランドの2万円くらいするものに買い替えたので、結局皮がてかてかになっても買い替えることができずにいた。それだけ思い入れがあった。
ところが夏の初めに会社の人とランチに出たとき、「それ私が元カレにあげたのと同じやつだー」と言われて以来、カブトムシみたいにてかてかしたその財布が気になり始めた。いい機会だったと思う。そう言われていなければ今でもカブトムシだっただろうし、500円玉貯金もできていなかった。
新宿の伊勢丹にドキドキしながら入って、てかてかよりも少し明るめの茶色い二つ折り財布を購入した。短パンをはいて行ったことを少し後悔した。自転車だったら前使ってたものを店側で処分してくれるが、財布はそうもいかないので、家には新品のピカピカと、てかてかの両方が存在した。
今後使い分けることもないし、何かお金以外のものを入れることも変だなと思った。USBとか絆創膏とか頭痛薬とか色々試してみたけど、「これだ!!」の感覚は現れなかった。
そこで500円玉を何枚か入れてみたところ、すごくしっくりきた。財布だから当然のことだった。
とりあえず、てかてかの財布がいっぱいになるまで集めてみようと思う。「これが欲しいから貯金する!」という訳ではなくて、「財布に500円入ってるから移し替えるか」くらいの熱量で結果半年続いた。
これからどれくらい貯まるのだろうとか、その500円玉を使って、劇的に欲しいと思えるものができるのだろうかとか、自分のことなのにすごい他人事のように感じる。出席が足りなくて単位を落とした、同じ授業だけれど一回も話したことのない同級生を見たのような感覚。
どんなに頑張っても、きっと彼の顔はきっと思い出せない。
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