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香川で暗闇で一人になれる場所1選。

スパンッと、体の感覚のほとんどがシャットダウンされた。

人間、本当の真っ暗闇に染まると、安心できる場所だと分かっていても少し恐怖を感じるようです。唯一残された感覚は、ひんやりと冷たい壁に沿わせた左手の触感のみ。

暗闇の迷宮を進む約100メートル、10分間。

ここで人は、新しい自分に出会えるのか?

弘法大師・空海が生まれた地、香川県の善通寺。「お遍路さん」で知られる四国霊場の第75番札所、街の名前と同じ総本山・善通寺が、そこにはあります。

善通寺の御影堂(みえどう)という場所は、空海の生家があったとされる場所に建てられた寺院で、「戒壇めぐり」というスポットが有名です。

寺院の地下に作られた文字通り暗闇の通路の中を、歩くのです。自己を見つめ直し、新しい自分と出会うために。

左手を壁に沿わせて、進んでいきます。(注:中は迷路のようになっているので、わんぱくなお子さんはマジで迷子になってしまいます)

戒壇めぐりという行いはお恥ずかしながら地元民の僕も知らなかったのですが、映像作家の尾野慎太郎さんという方にインタビューした際にお聞きし、体験してみたかったことでした。


暗闇に身を任せると、人間がいかに視覚に頼って生きているのか? 普段どれだけの情報にさらされているのか? が分かります。

最初は「たとえ暗闇で行き先を見失っても、スマホに触れば明るくなるし」などと邪念が渦巻いたのですが、数歩も歩けばそんな感情すらなくなって。

途中、明るい部屋に入って、大日如来像と相対することになります。(派手だった)

大日如来像は宇宙のシステムそのもの。全の中にあり、我々個の中にもある存在。

つまり、この暗闇も大日如来の一部であり、戒壇めぐりをすることは宇宙とつながると行為であるようです。

たった10分ほどの暗闇行ですから、「ディスカバー新しい自分!」ということになったかというと、まったくそんなことはないのですが。

しかし先に書いたように、いかに人間が情報というものを頼りにして生きているのかを客観的に見つめ直すことができました。

情報をシャットアウトしようと思えど、視界の端にほんの少し文字が入っただけでも、意識を持っていかれてしまいます。

情報に常時さらされているのが当たり前のなかにあっては、それを遮断することが非日常になってしまう。

絶つ時間を持つことも大事だな。

新しい自分はまだ遠いです。まずは振り払わねば、雑念を。

そんなとき、きっかけを作ってくれるのが善通寺の戒壇めぐりなのです。


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