シジュウハッテ

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アッシーの1日(最終話)

激闘の末、郡司アナに打ち勝ったアッシー。 ボロボロの身体で玄関のドアを開けると、警察、自衛隊、特殊部隊、記者が周辺に散乱していた。 警察「おい!人が出てきたぞ!!」 後藤「こ、こんにちは。」 部屋から出て数秒のうちにアッシーは警察に確保された。あと10秒ほど出て来なければ突入していたらしい。 「ていうか、なんでこんなことに?」 大勢の記者による猛フラッシュを浴びながらアッシーはそう疑問に思った。近くの警察に聞いても自衛隊の掛け声でその声は掻き消される。辺りを見回す

    • アッシーの1日(8)

      落ち着け、落ち着け 自分に何度も言い聞かせる。 腕を縛られてはいるがこんなに細い女性だったらもしかしたら逃げられるかもしれない。 とりあえず縄を解いてもらえるか試してみよう。 「僕のアフロを置いて行くので一度縄を解いてもらえませんか?」 焦ってよくわからないことを口走ってしまった。 郡司アナはこの男は何を言っているんだと言う顔をこちらに向けている。 「えーと、つまり、このアフロを全部剃って置いていきますので一度縄を解いてもらえますか?」 「きれいな形が残ったまま

      • アッシーの一日 (7)

        ―PM18:36― アッシーがはっと目を覚ます 長い時間床に倒れ込んでいたようだ 身体がバッキバキである 起き上がろうとしても起き上がることが出来ない 手足がロープで縛られているみたいだ 「なんだこれ、どういうことだ!!!」 必死にじたばたもがいてみても一向にロープは解けない。 どうやら蝶々結びではないらしい。 ロープを切れるものを探そうと辺りを見回すと、見慣れない景色が拡がっている。 どうやらここは自宅ではない。 そして周りには誰もおらず、部屋の中っぽ

        • アッシーの1日(6)

          早朝から立て続けにアッシーへ悪戯が働いたため、彼の体力は限界寸前にある。よりによって朝から自棒を慰めるとは思ってもいなかった。 「腹が、、減った、、、。」 この一言から彼は後藤アンダルシアでなく、疑う余地もない程に井之頭五郎になった。いや、松重豊か。どちらでもいい。 「焦るな、俺はただ腹が減っているだけなんだ」 そう口ずさみ、極上の朝食を求め外へ出ようとすると頭の中で一瞬の出来事がフラッシュバックする。 「金が、、無い、、、。」 彼は昨日、酔っ払ってきまぐれクック

        アッシーの1日(最終話)

          アッシーの1日(5)

          「ガチャッ」 「ガチャッ」 勢いよく開けた玄関のドアを閉める。 カッコつけられるほど心に余裕はなかった。 「え、こんな急に家なくなんの?」 アフロ頭の中でこの言葉が30分ほどこだました後荷造りを始めた。 だが不幸中の幸い後藤アンダルシアという男はミニマリストなので1時間弱で荷造りは終わった。 時刻はまだ7:36 さてどうしよう。とりあえず家のことはどうにかなった。しかし、さっきの電話が問題だ。 ――――――――――――――――――― 「Who…who are y

          アッシーの1日(5)

          アッシーの1日目 (4)

          -AM4:36- アッシーは一人しかいない夜明け前の薄暗い部屋にこだまし続けるその電話に、結局出ることはなかった。 その理由は単純明快。 平日毎朝放送中の「Ohaにょん!」にて推しの郡司アナを目撃してしまったがためである。 アッシーは先程のあれだけ悩まされたハサミをすんなりと地面に投げ捨て、正座しながら視聴した。 それはアッシーが平成が産んだ生粋のテレビっ子モンスターだからという訳では無い 彼は彼女に心の全てを奪われていたのだ……。 アッシーは今までの人生で

          アッシーの1日目 (4)

          アッシーの1日(3)

          自宅へ戻りいつも通り玄関へ入り、いつも通り靴を雑に脱ぎ散らかし、いつも通り彼にとって神聖なる空間であるリビングへ入ろうとすると、只ならぬ違和感を感じた。 彼はこのアパートに引っ越してから誰一人この部屋に入れた事がない。しかしこの瞬間、彼が必死に築き上げた城が崩れ落ちる恐怖が彼を襲った。 「Calm down man.」 彼の口から思わず母国語が繰り出された。彼は幼い頃から父親からこう教わっていた。 "Danger is no danger.” この言葉がアッシーの頭

          アッシーの1日(3)

          アッシーの1日(2)

          背中に寒気を感じる。 その理由はこの静寂だけではない。20時間の睡眠の間に怖い夢を見た気がする。 「なんで夢の内容って思い出せねーんだろうな。」 なぜか口から出ていた。 アフロ頭を叩いて思い出してみる。 なにも思い出せない。思い出すのはきまぐれクックのことだけだ。また恥ずかしくなって少し足早になる。 そうしていると目的地のコンビニに着いたがなんのためにコンビニに来たのか思い出せない。 酒は昨日しこたま飲んだし今日はいいかと思い、とりあえず缶コーヒーを手に取り会計を

          アッシーの1日(2)

          アッシーの1日 (1)

          青年が気だるそうに目を覚ます 頭には鈍器で殴られたような酷く重い痛み ぬるく気の抜けた炭酸水のペットボトルに手を伸ばし、思わずため息をこぼす そして重く閉ざされた記憶を慎重に手繰り寄せる ―― 彼は2日前、渋谷で行われたお魚系YouTuberきまぐれクックのオフ会に参加した。 夢にまで見た憧れの人に会えるのを何ヶ月も待ち望んでいたが、結局最後まで一言も話すことが出来ずにオフ会は終了した。 彼は悲しみに暮れ、帰宅後オフ会のビンゴゲーム大会で手に入れた2等の黒霧島を飲み漁

          アッシーの1日 (1)

          シジュウハッテです。

          千葉県出身 無所属 大学生 お笑いトリオの 「シジュウハッテ」です。 普段は漫才やコント、ラジオや映像クリエイトなども行っています。 今回は時間を有効活用するために連続リレー小説を3人で行うことになりました。 初回は「アッシーの1日」全9回(予定)をお送り致します。 素人が書くお話なので心を広くして読んでいただけたら嬉しいです。これから沢山お世話になります。 ラジオアプリ『ANCHOR』にて週7回のトークラジオをトリオでやっています。知らない奴らの知らない話を聞い

          シジュウハッテです。