【小説】あと86日で新型コロナウイルスは終わります。
~コロナ禍でのマイバッグ~
木曜日。
勤めているクリニックはお休みなので、アキナは午前11時にスーパーに買い物に行った。平日のこのくらいの時間帯が比較的空いているからだ。
いつものように、入り口に置いてある消毒液で手を殺菌して、カゴを一つとった。
『家呑み応援企画』と題して、一つのトレイに数種類のお総菜が入ったコーナーが人気だった。
逆にいうと、飲食店の客足がまだまだ戻っていないということでもあった。
レジ袋が有料になったため、アキナもエコバッグを持参していた。
(地球に優しくなるのはいいけど、1回使用する度に洗濯しなくちゃならないんだよな)
食品をエコバッグに詰め替えるとき、エコバッグは台に触れてしまう。その台は、1日に数百人は使っている。たとえ台に触れないように食品を詰め替えたとしても、その食品を直前に誰かが触れていたとしたら、やはり、エコバッグは使う度に洗濯したほうが安心できた。
ホテルに戻るとエレベーターに乗った。降りる階のボタンを指の腹ではなく、手をグーにして関節で押す。部屋に戻ると、手を石鹸で入念に洗う。着ていた物に除菌スプレーをかける。ここでようやくマスクをはずす。顔を洗う。
これらのルーティンワークは、コロナが収束しても一生続いていくだろう。
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと86日。
これは、フィクションです。
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